(資料)同盟の統一と団結のために 中央委員13名連名緊急アピールおよび宣言
「民学同の危機に際して全国全同志に訴える」(1975-04-19)

中央委員13名連名緊急アピール
1975年4月19日
(説明)本年三月に予定されていた第十四回定期全国大会を直前にして、同盟内に生じた諸困難は、一部「常任委員」同志による第八回中央委員会開催拒否、 第十四回全国大会無期延期という事態を招来した。
以下は、組識的混乱を同志的、かつ理性的に解決すぺく, 「民学同の危機に際して全国全同志に訴える」と題して四月十九日に発表された中央委員十三名の連名アピールである。
[1] はじめに
全国の同志諸君!. 民学同は今日重大な組織的危機の中にある。 しかも、この危機にあって、本来これを建設的、同志的に解決すべき中央委員会、並びに全国大会が全く開催されずに放置されている。
事態の根本的問題は、中央委員長はじめ四名の「常任委員」同志による、常任委員会一名差多数を唯一の根拠とする同盟の規約無視、組識内民主主義の破壊である。 この危機とは、「常任委員」四名の同志が現在同盟指導部内に生じている若干の意見の相違を理由に、中央委員会の圧倒的多数者の意志を無視して、中央委員会、全国大会の招集を無期限に延期し、同盟の機能をマヒさせていることから生じたものである。 そして、このことの背景には、看過し難い同盟趣意・規約からの理論的、思想的、政治的逸脱が存在している。
こうした事態に及んで、我々、中央委員会(二十一名)内の圧倒的多数である十三名は、同盟趣意・ 規約の立場の断固たる擁護ー全国学生運動の統一と発展のために、中央委員としての自覚と責任において、全国全同志に事態の一切の真相を明らかにすると共に、同盟の統一と団結の回復、その強化にむけ、全同志の建設的な努力の結集を呼びかけるものである。
全国、全同盟員から要請されていた中央委員会、全国大会の開催による強固な意志統一と政策・方針の決定が、何らの正当な理由もなく、一方的に、無期限に延期された重要で看過しがたい事実を要約するならば、以下の4点である。
1、中央委員会で討議継続中の全国大会草案が、中央委員会で提案さえされなかった草案まで含めて全く一方的に機関を無視して下部討議におろされたこと。
2、中央委員会機関紙『デモクラート』が、この異常な事態を無視して、一方的に、常任委員会の決定さえも無視して、発行され、組織破壊行為を扇動する「主張」、その他民学同の趣意・規約とは全く無縁な小ブル急進主義の諸論文を掲載し、現在も続けていること。
3、全国大会代議員まで選出が進んでいた事態の中で、圧倒的多数の中央委員会開催要求が、規約も機関も無視して一方的に拒否され、一名差による常任委員会決定の名をもって、大会から中央委員会、支部委員会、支部総会まで無視した行動が、現在に至るも取り続けられていること。
4、このような一部常任委員の行動が、中央委員の圧倒的多数から全く孤立し、各大学支部総会でも完全に拒否されるという当然の事態の前に、突如「スパイ行為」、「組織破壊活動」なるものをデッチ上げ、「事情聴取が必要」の名の下に、中央委員会開催、全国大会開催を一方的に拒否していること。
以上である。
以下に、常任委員四名による同盟の趣意・規約からの逸脱と組織破壊活動の真相を具体的に明らかにしたい。
[2] 事実経過
①デモクラート60号(1月発行)「主張」が一部常任委員の独断で掲載される。
デモクラート60号「主張」は後述するように、民学同の趣意の立場とは根本的に相反する内容を「主張」している。
しかも、重要なことは、この「主張」自体が常任委員会において何ら議論・検討されることなく、一部常任委員の全くの独断によって掲載発表されたことである。
②デモクラート61号「部落解放研運動の課題と任務」が、常任委員会、全国GCの討議なしに掲載される。
この論文は、特に大阪府委員会、及び常任委員会で、組織活動強化に関する問題と関連して、部落解放運動を反独占闘争一般に解消する偏向、誤りが確認され、次号デモクラートで訂正論文を発表するとの確約がなされたが、その後、この約束は破られている。
③第7回中央委員会決定の無視
(イ)第7回中央委員会に報告された「大会草案」をめぐる重大な論争点、問題点を並記して下部討議に付す、との中央委員会の確約は守られず、事実上、一方的な一部常任委員見解がそのまま下部討議に付された。
(ロ)同中央委員会では「大会草案」は決定ではなく、「同盟各級機関で討議ののち再検討する」との確約を破棄し、デモクラート62号が突如発行され、「主張」「大学闘争の一教訓」「平和共存と階級闘争」「恐慌の教訓」などの記事で、一部常任委員会見解が、あたかも、中央委員会の見解、「正式決定」であるかのように発表され、主張された。
しかも、この「主張」には、中央委員会で、一切討議が行なわれていない「組織活動強化に関する特別決議」があたかも中央委員会の「正式見解」であるかのように掲載発表されているのである。
※なお、この62号発行については、3月16日、H中央委員長とY書記長との間で「デモクラート大会特集号は発行しない(大会後の発行が本筋)」との確認がなされていたが、3月17日、突如、Y書記長に対して、H中央委員長から「発行する」との連絡があり、Y書記長は、印刷所で、第1回目の校正の際に初めて原稿を見るという有様であった。
この時、Y書記長は「内容に問題があるので絶対に賛成できない」と反対したが、同盟OB、I氏などが、どのような権限によってか発行の正当性を主張。
<一体、デモクラート62号は誰が執筆し発表したのか!?H中央委員長すら前日に「発行しない」と確認しているにもかかわらず、翌日にはゲラができていた!つまり、何者かの手によって、遅くとも16日の朝には印刷所に入稿されていたのである。この全くあるべからざる事態をN編集局長はどのように説明するのか!?>
※7中委決定によれば「大会草案」「組織活動強化に関する特別決議」は討議中のはずである。しかし、デモクラート62号は、24日に配布された。大阪市大、関西大両支部では、このこと(=中央委ですら討議中であるにも関わらず62号主張において、「特別決議」「草案意義と任務」が中央委員会の正式見解であるかの如く発表されたこと)自体、一部常任委員による組織内の民主的討議を全く否定した行為である、として、62号の撤回を支部総会の圧倒的多数で決議している。更に、関大支部においては、60号の「主張」批判、61号「部落解放研運動の課題と任務」批判を支部委員会見解として発表している。市大支部においては「大会草案第1次案」に対する見解を明らかにしている。
4 3月26日、H中央委員長、一部常任委員、第8回中央委員会の開催を拒否
(イ)同日、午前8時、常任委員が開催され、①中央委員T(市大)、I、T(関大)、関大支部委員長S各同志の事情聴取が中央委員会開催の前提だ。②理由は、T(市大)中央委員に関しては、組織破壊行為、T、I(関大)中央委員、S関大支部委員長に関しては官憲を利するスパイ行為とみなすという全く根拠のない決定を、何の討議を行なうこともなく、4:3で強行採決した。
この常任委員会には、同盟OB、H氏が参加し、H中央委員長はじめ、N、U、M常任委員を直接指揮し、この決定に反対するY書記長の発言を封じながら、強引に採決するという事態であった。
(ロ)同日午後1時、予定されていた第8回中央委員会にもH、N、U、M4常任委員は現れず、(中央委員会会場の階下のロビーに座り込んだまま!)朝の「常任委員会決定」を、M(学大)、K(阪大)中央委員に報告させた。
M(学大)、K(阪大)中央委員に報告を依頼した理由は、「常任委員会の中には、(委員長として)信頼できるメンバーがいない。最も信頼できるのは、M、K中央委員だけなので・・・」とのことである。
(ハ)結集した中央委員のうち9名はただちに、この事態に抗議し、大会から大会までの最高決定機関である中央委員会で、全てを解決すべく、規約第14条にもとづいて、即時その開催を要求した。この要請を受けて、Y書記長、S、K常任委員が説得にあたったが、「事情聴取が先」と拒否された。Y書記長、S、K常任委員からこの報告を受けて、9名の中央委員及び中央委員会参加者が四名の常任委員の説得にあたった。この時にも四常任委員の脇に同盟OB、H氏(この時には「青年同盟準備会のメンバー」とも「一市民」とも語る)が同伴し四常任委員を指揮した。一中央委員が「スパイを官憲が送りこみ同盟を監視している恐れがあるのなら人目の多いロビーより中央委員会会場で事情聴取を行なったら」と提案したが、人目の多いロビーでやると四常任委員は言いはった。
5 理由なき「事情聴取」(査問)の真相
ここで四常任委員が中央委員会ひきのばしの唯一の口実とした「事情聴取」なるものの実態を明らかにしておく必要がある。
(イ)市大支部委員長であるT中央委員に対する「容疑」というのは、「組織破壊行為」をしたという理由である。
市大支部では第7回中央委員会の決定を受けて、23日支部総会、24日各班会議、25日支部総会が開催された。
7中委に出席した市大支部委員会では、中央委員会の討議において出された批判的意見を考慮して書き直されたはずの「第2次草案」が第1次草案とほとんど変わっていないものであり、中央委員会での論争点も明らかにされていないという事態の下で、市大支部委員会として常任委員会草案に対する「修正案」を第8回中央委員会に提起することを決定した。
「事情聴取」の理由書によるとこのことが組織内民主主義の破壊行為であるとしているのだが、全くのいいがかりである。なぜなら、こうした民主主義的討議をへて、同盟の正しい全国方針を確立する事業に参加するのは全同盟員の権利でもあるし、義務でもあり、23日の支部総会の中で当日参加したH中央委員から「手続き上問題がある」との指摘を受け、同志的な話し合いの中で修正案としてでなく「上申書」として提出することを支部総会で確認している。
(ロ)関大支部のI、T中央委員、及びS支部委員長に対する「容疑」は、「スパイ行為」だということである。
理由書によれば、この「容疑」とは、「同盟員の前で、デモクラートの編集に参加しているOBの名をあげよ」と要求したことである。
これは全く奇妙な、根拠のない誹謗である。民学同は大衆組織であり、その機関を含めて秘密組織、あるいは非公然組織でもない。周知のようにその全国機関紙上に民学同の基本路線を誤らせるような奇妙な主張や論説が相次いで掲載されていることを多くの同盟員の不審の声が上がっているとき、その筆者について正式の機関の席上で質問することがなぜ「スパイ行為」になるのか、デッチ上げもはなはだしい。
(ハ)その他、理由書は大阪市大、関西大支部の諸決議にひとつひとつクレームをつけている。そして3月25日、いみじくもM常任委員が語ったように、「関西大、大阪市大の両支部で時を同じくして、常任委員会批判がおこった事の中に分派活動の疑いがある」というのである。
なんという同盟員蔑視の思想!思い上がりであることか!平和と平和共存、反独占民主主義、学生戦線の統一と反独占諸勢力の統一戦線形成をめざす全国全同志の精神は、いかなる組織的、理論的、思想的偏向に対しても断乎たる勇気をもって闘う健全性をもっている。ましてや、一部常任委員のなせるこの間の目をおおうばかりの同盟趣意・規約からの逸脱行為の数々をまのあたりに見て沈黙をつづけるほど全国の同志はオメデタクもなければ無責任でもない。
(二)こうしたまったくいわれなき「事情聴取」は本来まったく受ける必要のないことであるが、四常任委員が一部OBの「指導」のもとにダダッ子のように「事情聴取」「事情聴取」と叫ぶ事態にいたって、「容疑」をかけられている3中央委員及び一支部委員長は、新年度が目前にせまり中央委員会を早期に開催する必要から、四常任委員が居所さえ明らかにせず、逃げ回るという事態の中で唯一のパイプとして、これを受けることを敢えて承諾した。
(ホ)第1回目のI・T中央委員及びS支部委員長に対する「事情聴取」は、26日午後5時、同盟事務所で行なわれるはずであった。しかし、開始されたのは某喫茶で8時30分であった。常任委員会でも「事情聴取」の詳しい内容について全く討議されておらず、PM11時 「事情聴取」を行なえないまま時間切れでその日は終わった。
(へ)第2回目の「事情聴取」は27日AM9時である。(これは、中央委員会開催と同時刻である。)この「事情聴取」に参加したのはH、M、Y、S常任委員、I、T中央委員、及びS支部委員長、及び一切発言しないという条件付きでS元統一会議議長である。論議はこの間の一連の「異常な」事態に対する見解をH、M常任委員に求めるという形をとることになった。
討議は批判・反批判という内容になり、反批判につまったH、M常任委員は、沈黙をつづけ、Y書記長は、事態を収拾するためにH中央委員長との個別会談を求めた。「会談」の中で、Y書記長が「何故、この間のOBのH氏 、元議長のS同志が、ことごとく会議に介入しているのか」と問いつめると「青年は俺を信頼していないからだろう」とH中央委員長は、意外な答えをした。
一方、M常任委員との論議は、特別決議のスローガンの問題点とその批判にうつったが、M常任委員は、我々の批判に対して反論せず、沈黙を続けた。そして、M常任委員は討論を拒否した。この事態を見つめて、S元議長はY同志につめより、午後3時から再度「事情聴取」を行なうことを要求した。
(ト)第3回目は、難波の某喫茶店で4時30分から行なわれた。まず、I中央委員、S元議長をそばに、常任委員会が開催された。この中で、Y同志と2常任委員が、「事情聴取」を中央委員会開催の絶対的前提条件にするのか、一定期間で切って、「事情聴取」を行ない、その結果に関わらず中央委員会を開催するのかと質問をしたところ、四常任委員は「『事情聴取』をやってから中央委員会を開催する」と答えにならない返答を繰り返すばかりであった。Y書記長は争点を記述していたが、その文章をH中央委員長が取上げたので、「それは私の個人的メモだから返してほしい」とつめよったところ返そうとしない。 3常任委員は、H中央委員会長への説得をS元議長に求めたが、らちが明かず論議は平行線をたどる中で、S元統一会議議長の「帰ろう!」との「指令」で四常任委員は退室してしまった。こうして、全国大会を明日にひかえていながらその方針がなんら提起されないという「異常事態」に立ち至った下で正規の中央委員会開催だけが正しい解決の途であると考える3名の常任委員と1名の中央委員は、その後を追った。
(チ)先に街頭に出た5名の後を追ってY書記長を先頭に4同志が「大衆運動の方針はどうするのか」と問い詰めるとH中央委員長は「常任委員会で出す」と発言した。Y書記長が「君は民学同をつぶす気か」とはげしく・・H中央委員長はただうわごとのように「事情聴取、事情聴取」と繰り返すばかりであった。Y同志の粘り強い説得にもかかわらず、彼らは一切聞き入れようとはしなかった。
(リ)この事態を一団から30m程離れて「監視」していたS元議長は、U、N常任委員を呼びつけ常任委員会の開催を提起させた。事態の深刻さを感じたU同志はじめ四人の常任委員は、ようやく中央委員会開催に関するY同志の説得を納得しはじめた。ところがその時元統一会議議長S同志が、U,N同志を呼びつけて「指令」を下したことから事態は一変した。結果S同志に押し切られた四常任委員は、Y同志他2常任の説得を拒否して、明日再度「事情聴取」の理由書整理のために常任委員会を開催することを約して別れた。
(ヌ)28日、Y書記長、S常任委員が常任委員会の開催をまっていると、U常任委員だけが現れた。先に述べた理由書を見せ、「これが『事情聴取』の内容だ」「俺は3人(H、N、M)の常任委員に全権委任されている。だから四票ある。常任委員会は成立している。」と放言して、ソソクサと逃げ帰ってしまう始末である。
これで常任委員会は「成立」したことになり、したがって4対3の多数決で、U常任委員の持参した理由書が「可決」されたということにされた。
(ル)この「理由書」に基いて、同日、市大支部総会に現れたU、M常任委員は「今日2時半某で『事情聴取』をする」とT中央委員につたえ、T中央委員は総会をぬけて指定の場所で待ったが現れず、喫茶店を二転三転し、ようやく5時30分にH中央委員と元議長SとT中央委員の間で「事情聴取」が行なわれた。T中央委員は「修正案」を提起したことについては、解決済との判断の下に、支部委員会として「修正案」を支部総会の場に提起したことを確認した。更にこの件については「H中央委員長も参加した3月23日支部総会で解決ずみ」として、そのことも「修正案」問題についての確認書に付記するようH中央委員長に要求したが、H中央委員長は頑強にこれを拒否した。
(ヲ)翌29日、T中央委員に対する2回目の事情聴取が行なわれた。H中央委員長は、高圧的に「今日は自己批判を取る」と語った。これに対して、T中央委員は、それは中央委員会で取り扱われるべき問題で、常任委員会は、そのような権限はないとこれを拒否した。この「事情聴取」の中で、逆にT中央委員の詰問を受けることになったU常任委員は「お前は何故それほど自信があるのか」「俺は、もう罷免してほしい」と言い出す始末、あげく、論議中、H中央委員長は「トイレに行く」といったまま、又U常任委員は「電話をかけてくる」と席を立ったまま再びT中央委員の前に姿を現わさなかった。
6 大阪府委員会の私物化
(イ)大阪府委員会の開催拒否
大阪四大学平和団体連絡協議会(四平連)が、4.19平和集会を提起したので、I府委員会副委員長(中央委員)、M(市大)、I(市大・中央委員)府委員が府委員会開催を要求したが、M(常任委員)府委員長、U常任、府書記長は、「大阪府委員会は、常任委員会が指導するから」と、開催を拒否した。
更に、府委員会も開かれていない状況の下で、彼らは4月16日、4.19インドシナ連帯集会のビラ、民学同中央委、大阪府委員会の名で配布した。
(ロ)4月17日、突如、府委員会が開催された。しかも、T府委員(市大)・中央委員、T(中央委員)府委員会副委員長、S関大府委員は、スパイ容疑がはっきりしたので呼ばない。」と連絡すら行なわれず、事実上の権利停止を行なったのである。
7 常任委員会も開催されず、デモクラート63号、64号が発行される
(イ)4月15日阪大支部に、「組織活動強化に関する特別決議」を印刷したデモクラート63号(二面裏表)がまかれる。16日これに対して、T中央委員、市大支部委員長は、「常任委員会は開催されたのか」「組織活動強化に関する特別決議は、中央委員会では決定されず、論議すらされていない」と問い詰めたところ、H中央委員長は「現在常任委員会の数は7名とも6名ともいわれている。だからその過半数以上を占める4名の常任委員で、常任委員会が開催され、63号の発行を決定した。」と答え、また、府委員会の存在をも無視して、「今後、市大支部の直接指導を常任委員会が行なう事を決定した。」などと発言したのである。
(ロ)4月17日は、T(市大)、I・T(関大)同志を排除した大阪府委員会の場で、デモクラート64号が発行されていることが判明。これは、中央委員会での論議を一切無視、保障せず、なし崩し的、一方的にデモクラートの発行がなされていること。すなわち、デモクラートが完全に、一部常任委員に私物化されていることを物語っている。
8 常任委員会の多数派を利用したOBの名による常任委員会への介入は何を意味しているか?
(イ)事実経過が示すように、それは中央委員会(大会から大会までの同盟の最高決定、指導機関)の全ての無視である。9名の中央委員の中央委員会開催要求を常任委員会の「指導の名の下に拒否する。デモクラート62号は、発行しないと確認しながら、次の日には、初稿が刷り上がっている。中央委員長すら知らない内にデモクラートが発行されている。中央委員会で論議すら行なわれず、確認されていない内容が、「中央委員会の正式見解」の如く発表される。しかも、同盟のOBがデモクラート発行の正当を主張したり、中央委員会開催拒否の指揮をとる。一体民学同は誰が責任を持って指導しているのか!?中央委員会と常任委員会との間には指導・被指導の関係など全くない。
大会から大会までの最高決定指導機関は中央委員会である。これらの一連のOBによる同盟私物化を許すことは出来ない。また、同盟の最高指導者としての立場を一切放棄し、自らもこれに加担し規約を蹂躙している四常任委員の行動は、指導者の名に値しない上に、その政治的責任は厳に問われなければならない。
(ロ)3月26日以後、四常任委員は、中央委員会開催の絶対的前提として事情聴取に固守している。しかし、その本音は、中央委員会、全国大会を開催するならば、圧倒的な少数派に転落し、孤立するのを恐れ、自らの破産を繰り延べたいがためである。「俺達4人に反対する者は全てスパイだ!組織破壊者だ!」とヒステリックに叫べば叫ぶ程、全国の同志は冷静に事態を見極め、同盟の輝かしい伝統を守り、全国200万学友に責任を負う立場を貫徹し同盟の統一と団結を固めるであろう。
(ハ)OB H氏・元統一会議議長S同志は、常に全ての会議、全ての事情聴取に出現している。H中央委員長の発言でも明らかなように、H中央委員長を信用していないが故につきそっている。OB、H氏・S元議長は何を恐れているのか、それは、H中央委員長が原則的な立場に立ち戻ることによって、OB、H氏・S元議長を中心とする一部青年による民学同の基本路線とは無縁な、新左翼的政治路線、トロツキズムへの屈服、民学同を学生党に変質させようとする試みが根本的に失敗する事を恐れているのである。我が同盟の輝かしい歴史と伝統は、後述するように、二度にわたる分裂の苦い経験を通じて、そのような試みと断固闘って来た。我々はここに、再度宣言する。民学同に対するOBの名による、元議長の名による一部青年の「指導」(=実は同盟の私物化、引き回し)を断固拒否する。
[3] 民学同の基本路線を否定する理論的思想的誤謬を批判する
事実経過の中で明らかにされたような一部常任委員による組織内民主主義の蹂躙、同盟分裂策動の背景には、同盟趣意の立場とは根本的に異なる重大な理論的、思想的誤謬がある。
デモクラート60号「主張」61号「解放研運動の課題と任務」62号「主張」「平和共存と階級闘争」「大学闘争の一教訓」63号「組織活動強化に関する特別決議案」64号「主張」「常任委声明、趣意規約の歪曲について」等、一切の民主主義的手続きを経ることなく、矢継ぎ早に発行され、中央委員会内にその掲載について重大な反対意見を生んだこれらの諸論文は、看過し難い原則上の誤り–同盟趣意からの著しい逸脱–をその中に含んでいる。
その誤りの特徴は ①危機待望論、②大衆連動の軽視と否定、③主体形成至上主義、学生党的傾向、総じて小プル急進主義的偏向である。
①危機持望論
「恐慌の嵐の中では、高度成長期に眠らされていた階級意識が呼び起こされ」「ある者は日和見主義で腐敗し、ある者は、階級関争の能力を鍛え上げ、やがて来る決戦の準備をする。」(デモクラート60号、主張)
このような、一見革命的な、だが、思い上がった論調の中に、我々は「危機」に対する根本的に誤った姿勢、評価があることを見抜かねばならない。
この主張は、階級意識の発展は「恐慌の嵐」を必要としているという考え方に基づいており、それを突き詰めると、恐慌に伴う反動の激化と、ファシズムをも歓迎しかねない危機待望論である。「悪ければ悪いほどよい」式のこの路線からは、恐慌を回選し、危機を援和させるという、今日最も緊切な平和と平和共存、反独占民主主義の広範な動労大衆の生活を守るための現実的方策は出てこないだけでなく、反対に、経済恐慌の中で益々その重要性を增している資本との反独占的な日常闘争への取組みを階級協調主義であり、反動的だとして排斥し、結果、大衆運動の戦線に分裂の因をつくることになりかねない。
この下で語られる「やがてくる決戦」は何か、それは、「ファシズムか革命か」という主観的で極左的な図式の押し付けである。
我々はこのように「勇ましい」姿を幾度か見てきた。 それは「水爆戦争の廃墟の上に社会主義を建設する」といつた毛沢東のような「革命家」であり、えせ「社会主義」を掲げて人類を悲惨な戦争にひきずりこんだファシストたちであった。
西ドイツのタカ派ミュトラゥス (キリスト教社会同盟党首) はこう語っている。
「国の経済情勢や失業率はとことんまで悪くなった方がいい。そうしたら国民は、西独が今とっている道の誤ちに気づくだろうから」「インフレの高進、失業の増大、結構じゃないかね。国家財政の破綻ももっと進んだ方がいい。 とことん進むと我々の意見や警告に聞く耳を持った者が出てくるだろう。 大衆の意識に異変が起らなければならない。 (3・18毎日)」、右と左の「危機待望論」はこのようにその結論で全く一致してしまうのを見る。
このように危機の激化に「展望」を見出し、人民に「ファシズムか革命か」の選択を迫るのはファシストに通じる手口であり、我々の路線とは断じて無縁である。
②大衆闘争の軽視と否定
(1)平和共存、反独占民主主義の否定
「危機の根本的出口は社会主義以外にない。」これは独占資本主義と今日の国家独占資本主義の下では一般的な公理である。 我々にとっては、我国の現条件の下でいかにしてそれに接近するか、いかにして社会主義革命を実現し得るような階級的力関係を作り上げるかの具体的政策と方針こそが間題であるのに、デモクラートの諸論文や「特別決議」は、ただ一般的にこの公理だけを繰返し、そのことによって、それへの接近をもたらす大衆運動の発展を妨げていることが問題なのである。全般的危機の出口が社会主義以外にないこと、国家独占資本主義又は社会主義の物質的前提を成熟させること(社会主義の前夜であること)、こうしたことは国際的に承認され、我々もまた何度も確認してきたことである。我々はほかでもない社会主義への展望をひらくためにこそ、今日、反独占民主主義の闘いの発展、それへのたゆみない取組みを進めているのである。
我々の主要な任務は、今日の経済危機の下で一般的教条を繰返すことにあるのではない。重要なことは、大衆にとって具体的な危機の現われを解決するための政策、展望をさし示し、それを闘い取る広大な統一戦線の形成にこそ全力を上げることである。 そしてこの闘いの中で、窮極の目標、根本的な出口がどこにあるかについて、日常闘争の中で、結集する大衆に対し、たゆみなく宣伝し、それが大衆自身の共通の合言葉として自覚されるようになるまで高めることこそが必要なのである。
②セクト主義、分裂主義
この困難な闘争を回避するために、大衆運動に対しては「窮極を語らないのは改良主義、日和見主義」と決めつけ、なまぬるい広範な統一行動、統一戦線よりは、意識的に「純化」された少数派の分裂の方がましだという、戦前の福本イズムはだしのセクト主義、分裂主義を彼らは勇ましく鼓吹しているのである。だが、そのあとについて来る者は、ごく少数の同類だけだということにやがて気が付くことになるであろう。
③主体形成至上主義 学生党的偏向
誤りの第三の特徴は、我同盟に学生党的性格を要求し、それへの脱皮のために、組織内民主主義の破壊とデマゴギーを用いても「粛正」「純化」を成し遂げようとする主体形成至上主義、学生党的偏向である。 これは、我同盟の基本路線を体現する組織性格「大衆性、科学性、戦闘性、民主主義」を内部から解体するものである。
デモクラート60号「主張」は「前衛党の確立抜きにして大衆闘争の前進はありえない。」と語り、民学同の活動の一切を党確立のための活動に従属させようとしている。又、結成されるべき青年同盟の性格をも「労働者階級とその思想的、理論的指導者の革命的で戦闘的な最良の分子を結集した力(特別決議)として入口を狭め、敷居を高くして、事実上の青年共産党に返信させようとしている。
トロツキズム諸流派が何度も繰返してきた誤り、小ブル急進主義の焦り、凡百のインテリゲンチャー的空語空論は、我々に全く無縁であるのみならず、このような革命的空論は、その事によって、かえって真の前衛党再建の必要性を遠ざけ、そのための活動を挫折させてきたのではなかっただろうか!?これらの誤りを合理化するために持ち出されたものが、デモクラート64号の「趣意・規約の歪曲について」という記事であり、「特別決議」である。それはこう書いている。「我が同盟からその基礎にある強固な世界観的一致、思想的統一性を意識的に排除し、抜き取り、民学同の活動を単にあれこれの「具体的」問題や、特定の局面における部分的で一時的な意見の一致にのみ基く『統一戦線的』活動、あるいは雑多な思想を持つ『活動家集団』の水準まで引き下げるものは、民学同の組織を内部から掘り崩し、組織解体を招来するものである」(特別決議)と。
我が同盟は、我が国の「全ての民主的学友」を結集すべき大衆的政治同盟である。そして、その一致点とは、同盟趣意・規約の承認であり、そのもとにおいて積極的に活動することであり、それ以上の資格を要求していない。「特別決議」のいう「雑多な思想」とか「部分的で一時的な意見の一致にのみに基く統一戦線」が何をさしているかは定かではないが、要するに言いたいことはこうであろう。即ち、趣意と規約だけでは「雑多」な部分が民学同にもぐり込む、科学と民主主義の思想というだけでは世界観は弱すぎる等々。もしこのような主張がなされるとするならば、その背景には、彼らが趣意の立場—-同盟の基本路線に確信を持てず、それに何らかの「戦闘性、革命性、原則性」を新たに「付加」することによってしか満足できない小ブルエリート主義、一般同盟員と民主的学友に対する蔑視、それとの団結ではなく、その特別の分裂をこそ目的としているといわねばならなくなる。
我同盟の基本路線、平和と平和共存、反独占民主主義、統一戦線は、それ自体として、言葉の真の意味における戦闘的な戦略的意義をもっている。国家独占資本主義の下にあって、我がの基本的立場は、新しい民主主義”反独占民主主義=人民t歴民主主義の政権を闘いとることを通じて社会主義に前進する、最も大衆的でかつ戦闘的な路線なのである。
この路線に基いて展開される様々な分野での闘争、自治会活動、平和運動、解放運動、文化サークル運動の中で、多くの民主的学友は同盟のまわりに結集し、更に自覚的に同盟に結集してくる。 その動機は様々であり、それぞれの理論的、思想的、政治的到達段階は様々であるが、同盟の活動を通じて科学と民主主義の理論を学び、真の民主主義のために献身的に、首尾一買して闘う強固な思想を我がものとし、自己を鍛えていくのである。こうした大衆的性格の故に、一層徹底した組織内民主主義を保証し、常に正しい政策をわがものとする努力と、それを通じた同盟員の理論的、思想的、政治的水準の向上がはかられねばならない。この努力、指導を放棄し、今日の事態のように、組織内民主主義を根本から否定し、急進的少数者のあせりとも言うべき主観的願望を同盟に押し付けようとするのは、大衆の中に「無知」を見、生き生きとした実践に学ぶことを嫌悪し、一般的中小的理論とその宣伝だけによ・・・・
そして何よりも忘れてならないのは、この小ブルエリート主義とそれに基づく頑迷なセクト主義こそ、戦後の学生運動を幾度ならず分裂と抗争に導いた原因の一つであったことである。
社学同結成(=反戦学生同盟の否定、解体)に始まる学生戦線分裂の苦い損失に充ちた経験に学び、セクト主義と分裂主義、「左」右の日和見主義による学生戦線の分裂と各都道府県学連の崩壊、自治会そのものの機能マヒの中で、関西三府県学連の大衆的で戦闘的な闘いを基礎に学生戦線統一の旗を高く掲げ、大衆闘争の先頭に立ち、その利益を擁護する人々によって、12年前に民学同は結成された。
我々の諸先輩、先進的学友によって守られ、同盟趣意に体現された立場こそ、日本学生連動の統一と発展の基礎である。その立場に対して、又しても開始された攻撃によるこの立場の否定及び学生戦線の分裂、抗争の再生産を導かずにはおかない。それゆえにこそ我々は、断乎としてこのよな攻撃を排除し、民学同創立以来の正しい路線と組織を守りぬく決意である。
社会の激動期、いわゆる「危機」の時期においてこそ、このことは強調されねばならない。
我々は一層、民学同の民主的、現実的路線とその大衆的統一の旗を守らねばならない。そうすることによって様々の色合いの小プル急進主義の思想が、学生インテリゲンチャーを把え、学生運動を不毛化させる危険からこの運動全体を守らねばならない。 我同盟自身経験した過去二度にわたる不幸な分裂も又、小プル急進主義に毒された人々による同盟趣意からの逸脱と、それを押し付ける組織の官僚主義的ひき回し、組識内民主主義の蹂躙に始まった。
「特別決議」が呼号し、一部常任委員が規約を無視してまで行おうとする「組織強化」=「純化」とは決して我々にとっての目新しい試みではない。 この小プルエリート主義、セクト主義の行きつく所は、大衆闘争からの遊離、「小数理論家(活動家)集団」への転落、そして深まる孤立感とそれがもたらす相互不信、内ゲバであることは、過去の幾多の経験の示すところである。
こうして事実上、我が同盟の基本性格、基本路線の立場の放棄は、行きつくところ、平和と平和共存、反独占民主主義の歴史的意義を低め、これを空論的な「社会主義革命」論を現実の大衆運動に対置し、そのことによって社会主義そのものをも遠ざける結果となる。
我々は、ここに以上あげたような、基本において同盟趣意を否定する見解、又、この誤れる見解を、同盟機関、機関紙の私物化、規約の乱暴な蹂躙によって押し付けんとする一部諸君の策動を断じて許すことはできない。
(1975・4・19)
【宣言】
(1)一部常任委員は、中央委員会の開催、全国大会の開催を頑なに拒み、「常任委員会」を僭称し、同盟の分裂を策している。我々は、彼らの策動が同盟組織、機関とは一切無縁であることを宣言する。
(2)従って彼らが「常任委員会」「中央編集局」等を僭称し、行っている一切(「デモクラート発行を含む)を承認しない。
(3)我々13名の中央委員は中央委員会の圧倒的多数を代表するものとしての責任を自覚し、中央委員会の開催、ならびに全同盟員を結集する全国大会の早期開催のために全力をあげて闘い、その成功に責任をもつものである。
中央委員会書記長 Y(理科大)
中央委員会副委員長 S(東洋大)
中央委員会編集局次長 K(明治大)
中央委員 S(理科大)
同 S(理科大)
同 O(立大)
同 K(法政大)
同 H(明治学院大)
同 S(埼玉大)
同 I(大阪市大)
同 T(大阪市大)
同 I(関西大)
同 T(関西大)
註:本文章は、ガリ版刷りのパンフから、テキスト化したものである。よって判読不能な箇所について「・・・」等の表示を行なっている。
なお、簡略版は、民主主義学生同盟 機関紙「新時代」(62号・改題1号1975-06-12)にも掲載されている。