<<「自公過半数割れ」の実態>>
10/27 投開票の衆院選の結果は、投票率53.85%で戦後3番目に低く 低投票率で有利であったはずが、自民単独過半数どころか、自公過半数さえも達成できず、自公政権は大敗した。
主要政党の得票結果をそれぞれの増減でまとめると、以下の通りである。
◆衆院選比例代表の政党得票数の増減
【得票増】
前回 → 今回
立民 1149万票 → 1156万票(7万票増)
得票率 19.9% → 21.1%
国民 259万票 → 617万票(358万票増)
得票率 4.5% → 11.3%
れいわ 221万票 → 380万票(159万票増)
得票率 0.9% → 3.3%
【得票減】
自民 1991万票 → 1458万票(533万票減)
得票率 34.6% → 34.6%
公明 711万票 → 596万票(115万票減)
得票率 12.3% → 10.9%
維新 805万票 → 510万票(295万票減)
得票率 14.0% → 9.3%
共産 416万票 → 336万票(80万票減)
得票率 7.2% → 6.1%
社民 101万票 → 93万票(8万票減)
得票率 1.7% → 1.7%
◆衆院選小選挙区の政党得票数の増減
自民 2781万票 → 2085万票(696万票減)
得票率 48.4% → 38.4%
立民 1721万票 → 1574万票(147万票減)
得票率 29.9% → 29.0%
国民 124万票 → 234万票(110万票増)
得票率 2.1% → 4.3%
維新 480万票 → 605万票(125万票増)
得票率 8.3% → 11.1%
議席を256から191へ大幅減の自民は、比例区で1991万票から1458万票で533万票の減。小選挙区ではさらに696万票の大幅減である。
議席を32から24へ減の公明も、比例区で711万票から596万票で115万票減。公明は、2005年の衆院選では、比例で898万票の最高記録を出していたが、1996年以降の現行制度で過去最少記録となった。党首交代したばかりの石井代表は落選し、辞任する事態である。
小選挙区を含め議席を98から148へ大幅に増やした立憲民主党は、比例の得票数は前回の1149万票から1156万票で7万票の微増であった。小選挙区では、147万票も減らしている。
議席が7から28と4倍増となった国民民主党は、比例で259万票から617万票で358万票の大幅増。小選挙区でも110万票増で、得票率も倍増させている。
議席を43から38へ減らした維新は、805万票から510万票で295万票の大幅減である。ただし小選挙区では、大阪では全選挙区を制覇、125万票の増である。維新の得票率は、比例区では、得票率 14.0% → 9.3%への減少であるが、小選挙区では、得票率 8.3% → 11.1%への増である。
れいわ新選組は、前回の221万票から380万票で159万票増え、議席も3から9に3倍増を獲得している。
対して、共産党は、比例区で416万票から336万票で80万票も減らし、得票数380万票のれいわを下回る結果となった。裏金問題暴露で共産党に追い風が吹いていたにもかかわらず、議席もれいわを下回り、小選挙区を含め10から8への減となった。次々と明らかになった党の非民主的体質への固執、裏金だけの共闘はあり得ないと立憲との共闘を拒否して、野党で唯一議席を後退させた共産党の責任は大である。即刻、指導部は辞任し、党の抜本的改革に着手するべきであろう。
<<石破政権、いつ倒れてもおかしくない>>
石破首相は、勝敗ラインに「自公過半数」を掲げていたにもかかわらず、大敗してなお、辞任どころか、「連立拡大なのか、閣外協力なのか。いろんなやり方がある」と述べ、政権居座りを決め込み、政権維持のための野党取り込みに躍起である。
対する野党勢力は、数の上では過半数を獲得したものの、野党各党はバラバラで、過半数の力で野党連合政権を形成する意志や機運は全く存在しない状況である。
むしろ、国民民主と維新は、“第二自民党”とも言われるとおり、両党とも、いわゆる「部分連合」(パーシャル連合)に色目を使い、それぞれに個別に機会を狙っている、というのが現実と言えよう。
したがって、当面は、石破政権は「少数与党政権」として発足しなおし、局面局面で個別協議、個別取引で事態を取り繕っていく公算が大であろう。
しかし問題は、そうした事態はむしろ政局の危機的状況を次から次へと積み上げ、石破政権はいつ倒れてもおかしくない、何がきっかけになっても危機的局面を迎えてしまう事態を作り出していく、追い込まれていくことが確実であろう。何よりも、避けがたいのは、来年夏の参院選をこのような状態で迎えた場合、自公勢力は再び大敗してしまうという現実に直面することである。
石破首相は、10/28の記者会見で、「結果を真摯に受け止め、心底から反省し、生まれ変わる」と表明しながら、「選挙期間中、中国、北朝鮮、ロシアの軍事活動が拡大、活発化した。日本の安全保障環境がいかに厳しいか訴えてきた。防衛力の抜本的強化に引き続き取り組む」、さらに「憲法改正の発議を目指す」ことまで言及し、「生まれ変わる」どころか、まさに「軍事オタク」路線を前面に打ち出した。
こうした路線に対して、生活諸要求とともに、反戦・反軍拡・軍事費削減、緊張緩和と平和外交の広範な統一戦線を改めて再構築することが求められている。
(生駒 敬)