【投稿】レーガン空港・航空機墜落事故とトランプ政権

<<ウソ、でたらめのトランプ会見>>
1/29、現地時間午後9時頃に発生した米ワシントンDC・レーガン・ナショナル空港間際で発生した米軍用ヘリと民間航空機の空中衝突墜落事故は、2001年11月以来、生存者なし・全員死亡の米国で最悪の航空機墜落事故となった。米国家運輸安全委員会は、事故の公式原因を調査中で、軍用ヘリの高度が問題となっているが、まだ発表されていないし、発表できる状態ではない。
 1/30、にもかかわらず、トランプ大統領は、この事故は、米連邦航空局 (FAA) におけるバイデン政権の多様性、公平性、包摂性 (DEI) 採用慣行に影響されたと一方的に主張、記者から「証拠はあるのか」と問い詰められても、答えられずに、バイデン前大統領が航空管制官の採用基準を弱めたと非難し、ブティジェッジ前長官率いる運輸省が「重度の障害を持つ管制官」の採用を優先したと主張。トランプ氏は、「FAAは、同局のウェブサイトで説明されている多様性と包摂性を重視した雇用イニシアチブの下、重度の知的障害、精神疾患、その他の精神的および身体的疾患を抱える労働者を積極的に採用している」ことが事故原因であるかのように偽り、
実は、トランプ政権発足とともに、連邦職員の大量解雇に乗り出し、空の安全維持に貢献した主要職員の解雇、停職処分に強引に着手していたことには一言も言及せず、まったくの頬かむりを決め込み、責任逃れに終始したのであった。

しかも、今回の事故は、FAAの長官マイク・ウィテカー氏が辞任したわずか数日後に起きた事故である。長官の任期は通常5年であるが、ウィテカー氏は、スペースXのCEOでトランプ大統領の最大寄付者であり、世界一の富豪でもあるイーロン・マスク氏が、フロリダ州スペースコースト沿いでの安全違反を理由にスペースXにFAAが課した60万ドルの罰金を課していた。マスク氏はこれに怒り、反発し、ソーシャルメディアでウィテカー氏は「辞任すべきだ」と繰り返し攻撃、ついに昨年12月にウィテカー氏は辞任を発表していたのである。そしてトランプ大統領はいまだに後任を指名していない、その中で起きた事故なのである。トランプ、マスク両氏は、この事故に重大な犯罪的な関与があるとも言えよう。

<<「卑劣だ。遺族が悲しんでいる」>>
 このようなトランプ氏に対して、ブティジェッジ元運輸長官は、「卑劣だ。遺族が悲しんでいる今、トランプ氏は嘘をつくのではなく、主導権を握るべきである。私たちは安全を第一に考え、危機一髪の状況を減らし、航空管制を強化し、監視下における何百万便もの飛行のうち、民間航空機の墜落による死亡者はゼロだった。トランプ大統領は現在、軍とFAAを監督している。彼の最初の行動の一つは、空の安全維持に貢献した主要職員の一部を解雇し、停職処分にすることだった。大統領は真のリーダーシップを発揮し、このようなことが二度と起こらないようにするために何をするかを説明する時が来た。」と、トランプ氏を厳しく糾弾している。

D.C.航空機墜落事故、レーガン空港の交通渋滞に関する警告を議会が無視した数カ月後に発生

事故の起きたレーガン空港は、米連邦政府が所有する国内で2つしかない空港の1つであり、議会にその運営に関する独自の権限が与えられている。この空港は比較的小規模な空港であるが、ワシントンDCの中心部に最も近いため、ブラックホーク ヘリコプターが多数駐機し、軍関係者やその他の役人を乗せ、軍用機を含めて世界で最も交通量の多い空域の一つとなっており、ニアミスや衝突寸前の事故が相次いでいたのである。直近、2023年3月に同空港でのニアミス事故が発生している。
ところが、多くの警告や嘆願があったにもかかわらず、路線拡大を熱望する航空会社と彼らの資金提供を受けている共和党系議員たちによって運航量の拡大が強引に議決されてれてしまったのであった。今回の事故は、その数か月後のことであった。

まさにこの事故は、トランプ大統領による連邦政府機関の職員の粛清・整理・解雇が公然と宣言され、連邦航空局と運輸保安局で混乱と人員配置の変更が起きている最中で起きた事故なのである。トランプ氏こそが、事故原因をもたらした最重要人物の可能性が大なのである。

今回の事故は、これからトランプ政権のもとで起こる、冷酷非道な金権・強権政治に対する厳しい糾弾であり、警告だと言えよう。
(生駒 敬)

 

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