【投稿】「ノー・キングス」デー:全米各地で500万人以上

<<アメリカ史上最大規模の抗議行動>>
6/14、朝から、アメリカの都市や地区では「ノー・キングス」デーを迎え、シュプレヒコールを上げ、トランプ政権に抗議する人々が街頭に溢れ、デモはワシントンD.C.からニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ヒューストン、フィラデルフィア、シカゴなどの主要都市へと拡大、夜に至るまで一日中、巨大な波のように繰り返された。主催者発表によると、全米各地で500万人以上、2000か所以上で反トランプデモが展開された。この運動は、アメリカ史上最大の大規模抗議の日であった可能性が指摘されている。

 地方の小規模な集会から、ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴなどの大都市で行われた大規模な集会まで、その内容は多岐にわたっている。ニューヨーク市では20万人が集結、「我々は何を望む? 移民税関捜査局(ICE)反対! 」、「国外追放反対! トランプは去らなければならない!」「正義なくして平和なし!」と書かれた横断幕を先頭に、デモ行進が繰り広げられた。
カリフォルニア州では、10万人以上の抗議者が200以上の市町村でデモを行い、人口わずか3600人の山間の町アイディルワイルドでさえ、約600人が街頭に繰り出し、デモは南カリフォルニアの沖合約35キロにあるサンタカタリナ島でも行われた。 アトランタでは、数千人のデモ参加者がリバティ・プラザに集結し、

政権に反対するメッセージを書いたプラカードを掲げ、名曲「野球に連れてって(Take Me Out to the Ball Game)」を「トランプをホワイトハウスから追い出せ(Take Trump Out of the White House)」と言い換えた抗議バージョンが歌われた。

シカゴでは7万5000人から10万人が参加し、その模様は、右のシカゴ北ループ地区のパノラマ動画で見られるとおり、延々と続く人の波である。

移民法執行をめぐる不安の中心地となり、数日間にわたる抗議活動が続くロサンゼルス市では、3万人に達し、6時間以上にわたる抗議活動が行われ、同市のカレン・バス市長は「ロサンゼルスで私たちが目にしているのは、トランプ政権が引き起こした混乱であり、ホーム・デポや職場を襲撃し、親子を引き裂き、装甲車を街中に走らせることで、恐怖とパニックを引き起こしている」、「今日、3万人もの人々が憲法で保障された平和的な抗議活動の権利を行使するために、市内各地に集結しました。これは大きな力です」と述べている。

 

<<トランプ・軍事パレードの私物化>>
一方、この巨大な抗議行動と対照的なのが、同じ日、6/14、首都ワシントンで行われた、実に34年ぶりという、米陸軍創設250周年を記念する軍事パレードであった。
トランプ政権は、連邦政府機関への予算を大幅な削減を強行しながら、この軍事パレードに推定2,500万ドルから4,500万ドルも費やし、しかも大統領自らの誕生日祝賀行事として、徹底的に政治利用されたのであった。パレードは、79歳の誕生日を迎えた大統領へ「ハッピーバースデー」の歌をささげる場へと変じた。

米陸軍創立250周年記念パレードで群衆がトランプ大統領に「ハッピーバースデー」を歌う

皮肉なことに、抗議運動の拡がりに怯え、パレードで抗議活動を行う者は「非常に大きな力」に直面するだろうとわざわざトランプ氏自身が「警告」し、自らの就任式よりも警備が厳重な、「祝賀」どころか、芝居がかった「支配力の誇示」の場と化したのであった。
トランプ政権内には、この米軍の私的な政治利用、私物化、今や自らを称えるパレードを命じるという無謀な決断に、誰も異論を唱えるものが誰一人として存在しない、ことをここでもさらけ出したのであった。

対極的に、「ノー・キングス」デーを主催する、No Kings連合は、6/8に発表した声明の中で、「私たちは共に立ち上がり、こう宣言します。政治的暴力を拒否します。恐怖による統治を拒否します。一部の人だけが自由に値するという神話を拒否します」と、その共通の立場を宣言。米連邦移民局がロサンゼルスで強制捜査を行い、トランプ大統領が州兵を連邦軍に召集した決定を非難し、「人々は政権の権力乱用と移民関税執行局(ICE)による近隣住民の拉致に対し、平和的かつ合法的に抗議している」、「トランプ政権は人々の声に耳を傾けるどころか、緊張を高めている」、「地方指導者の指示に反し、言論の自由を抑圧するために軍事力を行使している。彼らは私たちの安全など気にしていない。反対意見を封じ込めることに躍起になっている。これは、家族を脅迫し、恐怖を煽り、反対意見を抑圧することを目的とした、あからさまな権力の乱用だ」と述べ、この運動の目的は「対立ではなく、対照を生み出すこと」である、と述べている。そして、「ノー・キングスは、全国規模の反抗の日です。街区から小さな町まで、裁判所の階段から地域の公園まで、私たちは権威主義に抵抗し、真の民主主義の姿を世界に示すために行動を起こします。」、「私たちは彼のエゴを満たすために集まっているのではありません。彼を置き去りにする運動を作り上げているのです。」と訴えている。
運動に参加する原則として、「No Kingsのすべてのイベントの根底にある基本原則は、非暴力行動へのコミットメントです。参加者の皆様には、私たちの価値観に賛同しない方との潜在的な対立を鎮静化し、イベントにおいて法に則った行動をとるようお願いいたします。法的に許可されているものも含め、いかなる種類の武器もイベントに持ち込むことはできません。」と言う立場を明示している。
この運動には、インディビジブル、全米教師連盟、アメリカ自由人権協会、パブリック・シチズン、ムーブオン、50501、スタンド・アップ・アメリカ、コモン・ディフェンス、ヒューマン・ライツ・キャンペーン、環境保護投票連盟など、150を超える進歩的な団体、平和運動団体、人権監視団体、気候変動団体、その他多数の組織が、「ノー・キングス」集会に参加・協力していることを明らかにし、公開している

このような、政策の明示をも含めた、確固とした統一戦線の原則の有りようが、連帯の拡がり、運動の拡がりを支えている、と言えよう。
(生駒 敬)

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