【投稿】トランプ政権:暴走・制御不能で危険な段階

<<グリーンランドばかりかカナダも米国領土>>
1/20に、トランプ氏が自らのソーシャルメディア・Truth Socialに公開したAI生成画像は、「グリーンランドは米国領。2026年設立」(GREENLAND – US TERRITORY EST.2026)と書かれた看板の横で、J・D・ヴァンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官と共に、トランプ氏自身が星条旗を地面に突き立てている画像を、これ見よがしに誇示している。

さらに同じ1/20、トランプ米大統領は、やはりTruth Socialに、グリーンランドばかりか、カナダ、ベネズエラ、キューバが星条旗の色で覆われ、米国領土であることを示す巨大な地図を前にして、フランスのマクロン大統領、英国のキア・スターマー首相、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長など欧州各国の首脳らに演説する、大統領執務室での様子の画像を投稿した。もちろん、この写真も、昨年8月のウクライナ和平交渉際の実写写真を勝手に都合よく編集した、でっち上げの編集画像である。
こうしたでっち上げ画像は、「ノー・キングズデイ」に対して、上空から糞便をデモ隊に垂れ流す画像と本質的に同類であろう。怒りを制御できず、客観的現実を冷静に判断できない、トランプ氏個人、ならびにその政権の本質的欠陥を象徴している。

 これに先立つ1/18、トランプ大統領は、2月1日からデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドに10%の関税を課すと一方的に発表している。「この関税は6月1日から25%に引き上げられます。米国がグリーンランド購入で合意するまで関税は継続される。」、「デンマークが恩返しをすべき時が来た」とトランプ氏は一方的に関税引き上げを通告している。そしてさらに、1/20には、スイスのダボスで開かれる会合について、トランプ氏は、「グリーンランドに関して、NATO事務総長マーク・ルッテ氏と非常に有意義な電話会談を行いました。スイスのダボスで関係者による会合を開くことに同意しました。皆様に明確に申し上げたとおり、グリーンランドは国家と世界の安全保障にとって不可欠です。後戻りはできません。この点については、皆様もご同意ください。アメリカ合衆国は、地球上で圧倒的に最強の国です。その理由の多くは、私の最初の任期中に軍の再建を進めたことによるもので、その再建はさらに急速に進んでいます。私たちは、世界の平和を確保できる唯一の力です。そして、それはまさに、力によって実現されるのです。」と断言、交渉の余地などなし、という決意表明である。

これらが冗談ではなく、本気で、狂気のごとく暴走せんとして脅迫している、トランプ政権の現状を全世界にさらけ出しているのである。それは同時に、こんな投稿をしても、何の恥じらいも感じない、現実から乖離した異常な精神状態をも明らかにしている。その意味では、トランプ政権の現段階は、その暴走が制御不能で危険な段階に達しつつあることを明らかにしている。

<<帝国主義的資源略奪、領土要求としっかりと結びついている>>
こうした徴候は以前から確かに存在はしていたのであるが、拍車をかけたのは、ノーベル平和賞問題であることを、トランプ氏自身が明らかにしている。
トランプ氏は、ノルウェー首相(ヨナス・ガール・ストーレ氏)にあてた手紙で、「ヨナス様:貴国が、8つの戦争以上を阻止したという理由で私にノーベル平和賞を授与しないことを決定されたことを踏まえ、私はもはや純粋に平和について考える義務を感じません。平和は常に最優先事項ではありますが、今はアメリカ合衆国にとって何が善であり、何が適切であるかを考えることができます。
私はNATO創設以来、誰よりもNATOのために尽力してきました。そして今、NATOはアメリカのために何かをすべきです。グリーンランドを完全かつ全面的に支配しない限り、世界は安全ではありません。ありがとうございます!大統領、DJT」と書いている(本物だと確認されている)。ノーベル賞は、ノルウェー首相が決めるものではないことさえ理解しておらず、完全な八つ当たりである。

平和賞をもらえないなら、もう平和には興味がない、グリーンランドの占領だ、占領を拒否するなら、関税の引き上げと軍事力の行使だ、一見、実に単純である。

しかし、ものごとはそう単純ではない。その背後には、アメリカの巨大独占資本の帝国主義的欲求が、トランプ氏のグリーランド占領要求と深く結びついていることが見逃されてはならない。
グリーンランドは、地球の他の地域よりも はるかに速いペースで温暖化 、氷河が急速に後退し、氷河が後退するにつれ、劇的な変化にも直面、漁業や狩猟といった伝統産業が脅かされ、貴重な鉱物資源が露出しだしているのである。逆に言えば、これらの貴重な鉱床へのアクセスが容易になっており、2023年の欧州委員会の調査によると、グリーンランドには、重要原材料に分類される34種類の鉱物のうち25種類が埋蔵されており、世界最大級のニッケルとコバルトの鉱床があり、その鉱物埋蔵量は米国の埋蔵量にほぼ匹敵すると言われている。
マーク・ザッカーバーグ氏やジェフ・ベゾス氏といった米テック界の大物たちは、すでにAIブームに不可欠な材料をグリーンランド西部で採掘することを目指すスタートアップ企業にどんどん投資しており、KoBold Metals社は 、政府資金による地質調査などのデータを解析し、重要な鉱床を特定。同社は現在、 ディスコ・ヌースアーク・プロジェクトの51%の権益を保有 、すでに銅などの鉱物の探査を行っている。KoBold Metalsは 最新の資金調達ラウンドで5億3700万ドルを調達し、評価額は30億ドル近くに達している。
昨年12月にトランプ大統領が、テック界のパートナーであるケン・ハウリー氏をデンマーク大使任命を発表し 、その際、「アメリカ合衆国はグリーンランドの所有権と管理権が絶対に必要だと考えている」と表明したのである。

 つまりはトランプ氏のグリーンランド占領は、単なる狂気の沙汰ではなく、ベネズエラと同様、帝国主義的資源略奪、領土要求としっかりと結びついていること、その根底に厳然として存在していることが見抜かれなければならないのである。

いずれにしても、トランプ政権の帝国主義的資源・領土略奪要求は、きわめて危険な段階に至っており、その危険性を何よりもまず、抑え込むことこそが要請されている。
1/20、グリーンランドに関する討論会で、デンマークの欧州議会議員がドナルド・トランプ米大統領を罵倒する発言を行い、EUは北極圏の自治島であるグリーンランドに対する米国の新たな主張に対抗していないと非難し、演説の冒頭で、「皆さんにも理解していただけるように言いましょう。大統領、くたばれ」と述べている。この声こそが、トランプ氏に突き付けられなければならない。
(生駒 敬)

 

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