【日々雑感】 喪中で観る箱根駅伝
一年という時の流れの中には、実にいろんな出来事があります。
去年のアサートの1月号には、妻と一緒に箱根駅伝を観た記事を書きました。
妻は「私は勝った負けたはどうでも良い。箱根路の風景がきれいなので箱根駅伝を見るのが好きなんや」と言っておりました。私は、「ああ、そんな楽しみ方もあるんだなあ」と感心させられ、妻と一緒に見入ってしまいました。
ところが今年はその妻も、この世の人ではなくなりました。去年5月に「お父、ユーちゃんと仲良く暮らしてなあ」との遺言を残してあの世へ行ってしまったのです。
妻は以前から軽いウツ症状があったのですが、薬ぎらい、医者きらいの彼女の症状を見抜けなかったのが、私の失敗でした。
もっとウツ病のことを学習しておけば良かったのにと思っても後の祭りです。最近では、ウツ症状に関するビデオ等を貸し出して啓発してくれる公的機関もあったのに、残念でなりません。
そんなわけで、今年の箱根駅伝は、私一人での観戦となりましたが、何と空しいことか、湘南の海や芦ノ湖が映る度に涙が頬をつたいました。「お前ばかりが悲しいのではない。世の中には、もっとつらい別れをした人は、なんぼでもいるんだぞ」という声が聞こえて来る思いでしたが、そんなことは百も承知している。それでも実際に、この身に振りかかってみれば、理屈ではどうしようもない。
せめて毎年のお正月の2日、3日には位牌をテレビに向けて、菩提を弔ってあげたいと思っております。(2014年1月16日 早瀬達吉)
【出典】 アサート No.434 2014年1月25日