『詩』 エリツィン船長に告ぐ
—–IMF加盟決まる—–
大木 透
酔いどれ船長よ
目が覚めたか
君は
半年も酔いつぶれていた
ペンを握りしめ
あたりかまわず
指令書にサインしていた
気球に乗った
G7のお偉方は
もう潮時と
甘い香水を
大地に徹り散いた
老人のすする
腐ったボルシチに
香水の一滴が落ちる
おおエリツィン様と
十字を切る
目覚めた君は
豚のように
髪を整え
クジャクの羽根を
振りまわす
君は今
杯をかかげ
仁王立ちしている
乾杯の音頭をとるのは
誰だ
(一九九二・四・二五)
【出典】 青年の旗 No.175 1992年5月15日