【コラム】ひとりごと –アースデイに思うこと–
今年も「アースデー(地球の日、4月22日)」がやってくる。かけがえのない地球のために、私たち一人一人が国籍や民族などの違いを超えて、それぞれの地域でできることから始めようという草根的な地球市民運動に参加、行動する日である。環境の汚染、破壊が国境を超える前の1970年、米国の法律家で、環境保護運動の指導者であるデニス・ヘイズ米スタンフォード大学客員教授の呼びかけにこたえて、全米で約2千万人の市民が立ち上がったのが、その発端である。 又、6月にはブラジルで国連環境開発会議(地球サミット)が、国連史上初めて開かれる。地球環境の保全あるいは環境に優しい社会経済構造を具体的に実現するための制度的、資金的、組織的なルールを敷く歴史的出発点になるであろう。
地球環境の汚染、破壊はいまや、複雑、多岐にわたっている。しかし、地球環境問題に共通している最大の悩みは、人類の営みが地球をむしばんできた点にある。人の営みが天与の自然浄化作用の限界を超えて、地球に過剰な負荷を与え、自然の生態系を乱しているためである。 その元凶は、資源、エネルギーを大量に開発、生産、流通、消費することを可能にした近代科学技術とその所産である物質文明そのものにある。このため、問題の解決をなおさら難しくしているといえよう。その発端は18世紀中葉の産業革命で、まだ200年余の経験である。 宇宙の片隅に地球が誕生してから、46億年。その地球上で人間が文化、文明を持ち始めてから、1万年の歳月が流れているに過ぎない。宇宙の悠久な時空の中で考えると、人間の人間らし い歩みは一瞬の出来事で、何と短い歴史であろうか。しかし、人間はその一一瞬の営みの中で46億歳の地球をむしばみ続けていることを忘れてはならない。
「地球の誕生日」でもあるアースデーを向かえるに当たって、個人はライフスタイルを、企業は経営スタイルを、自治体や回は行政スタイルを、それぞれに環境保安優先型へ組み直し、再構築していくことが問われている。
(名古屋Y)
【出典】 青年の旗 No.174 1992年4月15日