【投稿】大国主義・覇権主義の党の解体と評価
—反省なしの日本共産党—)
当初はソ連クーデターについての感想を、との話であったが、その後事態が共産党、ソ連邦の解体へと急速に進んでいることもあり、これらを視野に入れて述べたいと思う。
この間の事態を見ながら思ったのは、日本共産党の反応である。
日本共産党の公式の反応は、「覇権主義、大国主義路線の当然の帰結であり、我が党とは関係なし」と涼しい顔をしている。
しかし考えてみればソ連共産党の解体の原因は、党内、および国内民主主義の問題について、決定的に間違った方針に固守してきたからであり、いわば内部崩壊である。
日本共産党のいう「覇権主義、大国主義」問題は、ゴルバチョフ政権のペレストロイカ諸政策のうちでもっとも改革が進んだ問題であり、いわいる新思考外交が核軍縮など今日の新たな国際情勢を切り開いたことは、それこそ国際的な常識であって、清算済の問題である。
確かに日本共産党は、これまでにソ連主導の国際共産主義運動を批判してきた。しかしその間もソ連の内政問題については批判をしたことがなかった。もっともこれは「内政不干渉」と言い逃れることができるかもしれない。しかし、つい5年ほど前でも「赤旗」紙上に「安定したソ連の市民生活」「社会主義制度の優位性実証」などという記事を載せていたという事実は消すことができない。はたまた、日本共産党はルーマニア革命の時ように「知らなかった」と逃げるのであろうか。
日本共産党が、過去このような対応を取り、現在でも的外れな論評を行うのは、崩壊した共産党と同一の非民主主義的体質を持ち、それを批判することは、自己否定になるからである。
例えば上田耕一郎は「朝日」のインタビューで「ルキヤノフが一番しっかりしていると思う」などと答えている。その時点ではルキヤノフが、クーデターの黒幕とは判明していなかったから本音を述べたのであろうが、スターリン主義者同士は、直感的にわかりあえるものなのだな、と変に感心してしまった。だからソ連共産党の解体の原因は、民主主義の欠如にあったなどとは、絶対に言えないのだ。ちなみにエリツィンは、その著書「告白」でルキヤノフを厳しく批判している。
しかしこの間日本共産党は彼らが支配していた地方自治体や、労働組合から追放されつつある。それは、そこに存在する市民、組合員が日本共産党の体質を見抜いているからである。その意味では日本も国際情勢から無縁なわけではない。実は日本は共産党が支配しているわけではないけれども、人権、民主主義が低水準にあることは明かである。この間の国際潮流を日本的反共主義への収斂に終らせることなく、日本国内の民主主義の拡大に取り組んでいかなければならないと思う。(9/1 大阪 0)
【出典】 青年の旗 No.168 1991年10月15日