【投稿】国民皆保険を破壊するコロナ中等症の自宅療養

【投稿】国民皆保険を破壊するコロナ中等症の自宅療養

                       福井 杉本達也

1 新型コロナの無為無策 自宅で死ぬなどあってはならぬ

「政府は2日、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制に関する閣僚会識を首相官邸で開き、入院対象を重症者らに限定する肯針を決めた。肺炎などの症状が ある中等症のうち重症化リスクが低い人は自宅療養」とする…「病床不足への懸念が強まっているため、事実上の方針転換」を行った(福井:2021.8.3)。これに対し、元厚労相で前東京都知事の舛添要一 氏は「中等症以下のコロナ患者を自宅療養とする方針転換は、データに基づく説明がない。緊急事態宣言発令よりも国民の命により影響する」とバッサリ。さらに、コロナ患者の急増を火事に例え、「患者の急増で病床が足りないという理由だけなら、火災が増えて消防車が足りないので、小家屋は燃えるに任せると言うに等しい」。「真剣にコロナを収束させる決意があるのか」と、政府の無策ぶりを批判した(参照:スポニチ2021.8.3)。また、ナビタスクリニックの久住英二氏は「『この人は重症化しない』と決められる検査や診断基準がない以上、軽症から中等症に悪化した人は、重症化する事を念頭において治療しなければならない 中等症を入院をさせないのは、大きな誤りだ。中等症を自宅療養にすれば、入院させて経過を見るより死亡率は高くなります それを承知での、この決定だとすると、日本という国家は、国民を切り捨てたということです」と批判している(2021.8.3twitter)。

自民党や公明党など政府与党からも中等症の自宅療養の撤回を求められていることに対しても、「撤回ではなく、しっかり説明するようにということだ。必要な医療を受けられるようにするための措置だから、丁寧に説明し、理解してもらう」、「自宅(療養)の患者もパルスオキシメーターや電話など、状態に応じてこまめに連絡をとれる体制をつくり、症状が悪化したらすぐ入院できる」と官邸で記者団に語たり、居直った(産経:2021.8.4)。入院させるべき患者を入院させないということは、国民皆保険制度の完全なる放棄であり、棄民政策である。宇都宮市インターパーク 倉持呼吸器内科院長の倉持仁氏はtwitterで、「無為無策 自宅で死ぬなどあってはならぬ あんぽんたんとはもはや言わじ」、「皆保険制度をオリンピックをやりつつ放棄し、指定感染症の法を自助なしに放置。この人に政治を司る資格なし!すぐやめてください。」(2021.8.3)と述べている。8月4日の国会の閉会中審査でも長妻昭氏など野党が追及したが、国民皆保険の完全なる破壊であるという視点が全く弱い。

2 感染症法の諸規定を自ら破ると宣言した違法国家日本

医療ガバナンス研究所の上昌弘氏は「コロナ対策、いよいよ滅茶苦茶になってきました。中等症以下を自宅に返すと福島技監らが決め、患者の医療機関の分担、選択と集中を放棄、保健所は重症になるまで自宅待機を指示しています。メルクマールはSPO2で機械的に切っているとか。」、「こうなれば、感染症法から外して、現場に完全に任せればいいのに中等症以下の自宅待機って、医系技官が勝手に感染症法を廃止したのと同じです。これは国会で審議すべき内容で、保健所一本背負いが手に負えなくなって投げ出しました。どうして、野党やメディアは追及しないのでしょうか?菅さん、どうして、こんな滅茶苦茶を許したのでしょうか。」、「政府の仕事は病床確保です。国立病院機構やJCHOで受け入れればいいだけです。彼らの設立は、設置根拠法に公衆衛生危機に対応することが唱われています。」、「感染症法は、感染抑止と患者の治療のため、強制入院の権限を知事に付与しています。これは、その目的のために、入院義務を自治体に課するものです。医療体制を構築できず、供給抑制のため、入院基準を感染抑止と患者の治療以外の要素で絞りこむのは、裁量権の逸脱濫用で違法です。」、「国賠訴訟が出る可能性があります。もし、亡くなれば、正林局長は、業務上過失致死で告訴されるでしょう。そのくらい酷い問題です。」(twitter2021.8.3)と述べている。菅首相自らが感染症法の諸規定を破ると堂々と宣言したのである。前代未聞の違法国家である。即退陣すべき事態である。また全国知事会も情けない。こんな国家に何を要望しても始まらない。各都道府県で医療確保と検査体制を整えるべきである。5月の大阪の医療崩壊の時には、大阪大学の医学部付属病院は36床あるICUを全てコロナ対応に回した。各県知事はその程度の病床の調整はできるはずだ。国民皆保険制度や自らが作った感染症法を破壊する国に任せていては国民の命は守れない。

3 大企業優先のワクチン接種から始まった国民皆保険制度の破壊

デモクラシー・タイムス7月15日版「ワクチンだけで『勝利』はない」において、東京大学先端研の児玉龍彦氏は格差ワクチンについて「力を持っているものが企業で(ワクチンを)先に打っていい。命は平等だという国民皆保険の精神をぶち壊している。カネと力を持っているものが先に打っていいということを政府が公然と言い出した。大企業・大都市・男性・正規職員・政権に近いマスコミや芸能団体に配っていいということを言い出したということは、人倫理的に歴史的大失敗をやっていることだと思います」と述べている。また立教大の金子勝氏も付け加えて「オリンピック関係者も同じです。国民の恨みを買う配分の仕方です」とし、「自治体中心にもう一度、命を守るという順番でワクチンを打っていくということが重要です」と述べている。職場接種において、公然と大企業優先でワクチンの配分が行われ始めたことが、国民皆保険制度の政府による破壊の開始である。これを野党もマスコミもまともに追及していない。このままでは、日本の医療制度は米国並みに落ち込んでいくことになる。

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