青年の旗 1982年3月1日 第61号

青年の旗 1982年3月1日 第61号

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【主張】 3・21広島反核集会から第二回国連軍縮総会へ

第二回国連軍縮特別総会(SSDⅡ) の成功をめざし、文学者を皮切りに各界で行動が開始された。「国民運動推進連絡会議」を中心に三千万名署名が展開され、全国各地にその輪が広がりつつある。日本における反核兵器、軍縮の闘いが、欧州をはじめとする全世界の闘いと連帯しつつ実りある成果と発展を得るためには当面する三・二一広島反核集会を大規模に成功させSSDⅡへ向けた運動のステップとすることが何よりも必要である。と同時に、SSDⅡの闘いの課題を国内的、国外的にも整理し、広範な勤労諸階層をはじめとする国民的統一行動を強化し、諸課題の実現に一歩でも前進しなければならない。欧州各国の反核運動が、事実上NATOの新型核ミサイル配備計画をおしとどめているように、実効力ある運動の構築こそが求められているのである。

<現実的な道を歩む欧州反核運動>
欧州での”反核運動”に象徴的なように、その闘いの矛先はアメリカ・レーガン政権の「新核戦略」にもとづく、欧州への新型中距離核ミサイルの配備にある。このことは、レーガンのいわゆる「ゼロ・オプション」提案以後も欧州反核運動が一歩も退かなかったこと、ソ連の戦域核削減交渉提案が好意的に受け入れられたことが端的に物語っている。
SSDⅡの開催をもあやぶまれた緊張状態、アメリカ・レーガン政権の戦争政策は全世界の平和勢力の闘いによって一定歯止めがかけられた。この点でソ連政府の一貫した主張-欧州地域の中距離核兵器の削減と制限、あるいは完全な廃棄までをもめざす措置の合意を実現するという主張の果した役割は多大なものである。欧州の核兵器制限に関するソ米交渉がジュネーブで開始されたという事実そのものが、世界のいたるところで、特に欧州諸国で満足の念をもって受けとめられた。欧州諸国では、緊張をとりのぞき、デタントと諸国民間の信頼を深め、欧州を脅かす核の危険を除去するという期待が、この交渉に結びつけられているのだ。
だが、問題はこれからだ。始まった対話を重みのある前向きの結果をひき出すような闘いが必要であり、ソ米両国の真剣な決意と意欲が要求されている。
こうゆう視点からすると、レーガンの「ゼロ・オプション」提案は、ソ連の側に一方的な核兵器の削減を要求する非現実的なものである。いま世界政治の中心問題の一つとなっている欧州中距離核兵器は、この種の兵器のレベルの大巾な引き下げの合意が実現するかあるいは六〇〇基にものぼる新型ミサイルを現に保有する核に更に配備するのかという問題である。つまり、「限定的な核戦争」をも可能にするという、人類破滅の事態を招く軍拡競争の新段階を容認するのか阻止するのかという問題である。
SSDⅡがこうした状況下で開催されようとしている。核兵器完全禁止や全般的完全軍縮というグローバルな課題の実現をめざすことは当然であるが、それを困難とするあらゆる策動を一つひとつ阻止することは今日的により重要であり、またこの闘いこそが現実的な道である。日本国内では、こうした平和運動が未だ十分に根をはっていない。

<日本政府の軍拡路線に大衆的運動で反撃を>
戦域核配備は日本も無関係ではない。今年、早々に開催された日米安保協に参加したロング米太平洋軍司令官は、極東への戦域核配備は八三年四月から艦船、航空機への配備であることを示唆した。安保協が、「極東有事」にもとづく共同作戦をすすめることに合意したことからして、当然この戦域核配備による「限定核戦争」戦略を前提とする準備がすすめられることは明らかである。そして、日本がこうした中で軍拡路線をまい進し、″突出″する軍事費を計上しながら急ピッチで「自衛隊」を強化していることは世界の眼から明らかである。極東での軍事的支柱へとなりつつある日本に我々は注目しないわけにはいかない。
我々は何よりも、アメリカ・レーガン政権の「新核戦略」を阻止し、核軍拡競争に歯止めをかけなければならない。欧州での闘いと固く連帯して、この新型核ミサイル配備を阻止することが要求されている。
また、日本政府の軍拡政策を軍縮政策へ転換させ、軍事予算の削減から教育・福祉の充実を計ることが重要である。ここでは、平和のための闘いが生活向上と不可分であること、その闘いが統一されることを運動として押し進めなければならない。
3・21反核広島集会は、日本におけるSSDⅡの成功をめざす前段闘争である。この集会をステップにより広範な各界各層の人々をとらえ、たち遅れている日本の運動に生気をふきこまなければならない。そのためには、各地域、職場、学園での大衆的運動の展開をつみ重ね、運動の利益と諸原則を徹底して守り抜くことが必要である。広島集会がこうした全国の運動を結集し、新たな人々をとらえて再び全国へ拡散されるならば、それは大きな平和戦線となり、実効力ある運動への前進となろう。
3・21をステップにSSDⅡ成功へ前進しよう!

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