<<トランプ「大規模な攻撃を成功裏に実施した」>>
1/3、新年早々、トランプ米大統領は、自身のソーシャルメディアで「米国はベネズエラとその指導者、ニコラス・マドゥロ大統領に対する大規模攻撃を成功させた。マドゥロ大統領は妻と共に拘束され、国外に連行された。この作戦は米国の法執行機関と連携して実施された」と投稿した。
さらにトランプ大統領は、マドゥロ大統領がカリブ海に停泊中の強襲揚陸艦イオージマに連行され乗艦している写真まで投稿している。

南米アメリカ大陸で、これほど大規模な米軍の軍事作戦、直接的な軍事介入行動が実施されるのは、冷戦以来初めてのことであり、トランプ政権の無謀さが際立つ事態の展開である。
同じ1/3、ベネズエラの国営テレビはロドリゲス副大統領のメッセージと、パドリノ・ロペス国防相の声明を伝え、軍隊を直ちに全国に展開すると表明、ベネズエラに対する「過去最悪の侵略」を前に、国民が連帯して抵抗するよう呼びかけ、政府は「マドゥロの命令」に従い全軍を配備する」、「我々は決して屈服しない」と強調している。ベネズエラ外務省も米国による攻撃を断固非難するとの声明を発表した。ロドリゲス副大統領は、「ベネズエラは決していかなる国の植民地にもならない」付け加えている。ベネズエラ最高裁判所は、直ちにロドリゲス副大統領を大統領代行に任命している。
ベネズエラのイヴァン・ヒル外相は「今朝、コロンビア、ブラジル、南アフリカ、ナミビア、ロシアの外務省から電話がありました。私たちは複数の支援表明を受けており、世界中から電話を受けています」と述べている。

ロドリゲス副大統領
以下、米軍軍事介入に対する反応を列挙すると、
* メキシコ外務省は、米国の介入を強く非難し、「地域の安定を深刻に脅かす」ものであり、ラテンアメリカ・カリブ海地域は「平和地帯」であり続けなければならないと強調した。
* 中国外務省は声明で、「中国は、主権国家に対する米国の露骨な武力行使と大統領に対する行動を強く非難する」、「米国のこのような覇権主義的な行為は、国際法とベネズエラの主権を深刻に侵害し、ラテンアメリカ・カリブ海地域の平和と安全を脅かすものだ。中国は断固として反対する」、「我々は米国に対し、国際法と国連憲章の目的と原則を遵守し、他国の主権と安全保障の侵害を停止するよう求める」と強調している。
* ロシア外務省は、米国指導部に対し、マドゥロ大統領夫妻の釈放を強く求めたと発表。
* ブラジルのルラ・ダ・シルバ大統領は、声明の中で、ベネズエラにおける米軍の行動を「国際社会全体にとって極めて危険な前例」として強く非難した。
* フランスのジャン=ノエル・バロ外相は、「マドゥロ氏の拘束につながった軍事作戦は、国際法の根底にある武力不行使の原則に違反している」と述べている。さらに、「永続的な政治的解決は外部から押し付けられるものではない」とし、「主権を有する国民のみが自らの未来を決定できる」と付け加えた。
* スペインのペドロ・サンチェス首相は、攻撃への対応として国際法と国連憲章の遵守を求めた。
* 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、米国の攻撃は「危険な前例となる」、「国際法のルールが尊重されていないことを深く懸念している。」と警告している。
* ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長は、トランプ米大統領に直接電話をかけ、「連邦法および国際法に違反する政権転覆の追求」に反対する意向を表明したと述べた。米ニューバーグ空軍基地の外では、ベネズエラにおける米軍の行動に抗議するデモが行われた。
ベネズエラ政府は声明で「アメリカが首都カラカスなどの民間・軍事地域に対して行った極めて重大な軍事侵略を国際社会に対して、拒否し、非難し、告発する」とする声明を発表し、「この行為は、国連憲章の明確な違反である。このような侵略は、国際的な平和と安定、特にラテンアメリカおよびカリブ海地域の平和と安定を脅かし、何百万人もの人々の生命を深刻な危険にさらしている」と強調し、非難している。声明は、この首都カラカスへの攻撃が「ヴェネズエラの戦略的資源、特に石油と鉱物を奪取する」こと、そして「国家の政治的独立を強制的に破壊する」ことを目的としていると非難している。
「我々は負けてはいない」 ― ベネズエラ内務大臣は、「国内は完全に平穏だ。彼らは攻撃を試みたが、国民は敗北するだろうと考えたのかもしれない。だが、現実はそうではない」と、ベネズエラのディオスダド・カベジョ内務大臣は、米軍によるベネズエラ攻撃後の声明で述べている。
そして現実に、ベネズエラ市民が、米国の軍事的攻撃に反対し抗議するため、街頭に繰り出し、「マドゥロを返せ」と要求している行動が報じられている。
<<トランプ「米国当局が無期限にベネズエラを運営する」>>
1/3、トランプ大統領は、フロリダの氏の別荘、マール・アー・ラーゴでの記者会見で、ベネズエラへの地上部隊派遣を躊躇しないと表明し、「米国当局が無期限にベネズエラを運営する」と発表した。まさに、「一体、どこの何様か?」、露骨極まりない帝国主義者の、思いあがった暴君の発言である。
「彼らはいつも『地上部隊』と言いますが、まさにその通りです。必要なら地上部隊を恐れることはありません。実際、昨夜も非常に高いレベルの部隊が地上に派遣されました」、「言うのは構いませんが、ベネズエラが適切に運営されるように確実にするつもりです」、さらに「必要であれば、第2次、より大規模な攻撃を行う用意はある」とまで発言している。
以下、会見での重要ないくつかのキーポイントを列挙すると、
* 米軍の軍事作戦を声高に支持している、ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏について問われると、「彼女が指導者になるのは非常に難しいだろう。国内では支持も尊敬も得られていない。彼女はとても良い女性だが、尊敬されていない」と切り捨てている。
* では、ベネズエラの政権を誰が担うのかと問われると、トランプ大統領は両脇に座るピート・ヘグセス国防長官とマルコ・ルビオ国務長官を指さした。「まあ、しばらくの間は、私のすぐ後ろにいる人たちが主に運営することになるだろう」、「我々が運営することになる」
* 地上部隊について問われると、「何かは必要になるかもしれないが、それほど多くはないだろう」と答え、地上に展開するアメリカ人のほとんどは石油・ガス業界関係者だろうと示唆した。
* 近隣諸国への影響について問われると、マドゥロ大統領の主要同盟国であるコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領への批判を強め、「彼にはコカイン工場があり、コカインを製造する工場もある」、「彼は自分の尻拭いをしなければならない」と、次なる侵略目標を示唆した。
* 大統領はまた、キューバ問題については「いずれ議論の的になるだろう」と述べ、ベネズエラと同様に、この「破綻しつつある国」の「国民を支援」したいという意向を示唆した。
* 「石油に関しては、ベネズエラにプレゼンスを維持することになる」として、ベネズエラの石油埋蔵量に言及し、米国の占領は「何の費用もかからない」、なぜなら、米国は「地中から湧き出る資金」から補償を受けるからだ。ベネズエラの米軍によって破壊されたインフラは、米国の監督下で米国のエネルギー企業が再建すると述べた。
これほど露骨で、何の取り繕いもない、資源と領土に対する帝国主義的野望に取りつかれた会見内容は、あきれるばかりである。全世界が、あらためてトランプ政権の危険に満ち満ちた、本質を思い知らされ、確認させられたのである。
関税攻撃に始まった経済戦争は、今や軍事攻撃を仕掛けることに何の躊躇もなく、戦争を拡大させるトランプ政権の実体を見せつけたのである。
米国から距離を置き、独自に独立した経済・外交政策を追求する動きを、平和と緊張緩和の政策を一層加速させる、具体的な政策と行動の必要性を、トランプ政権はあえて指し示したのだとも言えよう。
(生駒 敬)
