<<「ガザ抹殺」包囲作戦の現実>>
イスラエル・ネタニヤフ政権が推し進め、米バイデン政権が公然と無条件で支援する、パレスチナ・ガザ地区をがれき化し、エジプト・シナイ半島にパレスチナ住民を追いやる「ガザ抹殺」包囲作戦の現実は、21世紀のホロコースト・ジェノサイドGenocide=「ガザサイド」Gazacideであることを明瞭にしつつある。ナチスによる20世紀のホロコーストが、米・イスラエルによる21世紀のホロコースト「ガザサイド」として推し進められているのである。
隠し切れぬガザ大虐殺の実相は、21世紀で最も大規模なものとなりつつある。イスラエルの無差別・焦土化大爆撃作戦によって、11/5現在、すでに9,770人以上のパレスチナ住民(実にその半数近くが子供である!)が虐殺されている。モスク、保健施設(120)、学校、集合住宅、スーパーマーケット、上下水処理場、発電所、病院、人々が寄り添い、生活する、不可欠なすべての場所、インフラが破壊され、救急車までもが「ハマスが使っているから」と標的として爆破され、ガザ地区は今や瓦礫と化そうとしている。これは、ナチスがワルシャワ・ゲットーやその他で反ファシズムの武力抵抗に直面したときに常用した戦術そのものの悪質極まりない再現でもある。
避難を余儀なくされた140万人もの人々がガザ地区南部に押し込められ、ジャーナリスト(すでに26人)、医療従事者、教師、国連パレスチナ難民救済事業機関の国連職員までもが殺害され、60万人がホームレス状態で、その避難地域まで空爆される、およそ11万6000人の難民が登録しているジャバリア難民キャンプが2日連続で爆撃され(10/31)、国連人権機構や難民インターナショナルのジェレミー・コニンダイク会長は10/31、ガザ最大の難民キャンプに対するイスラエルの攻撃は「明白な戦争犯罪だ」と告発している。こうした難民キャンプへの爆撃は10月7日以来すでに少なくとも6度にわたり、ガザは壁に囲まれた傷ついた人々の虐殺場、まさに21世紀のホロコーストの現場そのものと化そうとしている。
10/28、国連人権機構の幹部モクヒバー氏は、抗議の辞職声明の中で、「私たちの目の前で再びジェノサイドが展開されている」と主張、「これは大量虐殺の教科書的な事例」であり、アメリカ、イギリス、そしてヨーロッパの多くの国はジュネーブ条約に基づく条約上の義務を果たすことを拒否しているばかりか、イスラエルを武装させ、経済や情報の面でも支援し、イスラエルの残虐行為を政治的、外交的に援護していると厳しく批判している。
こんな許しがたいイスラエル・ネタニヤフ政権のジェノサイド政策を、米・バイデン政権は無条件で支援し、実際に軍事・経済・政治的に全面加担し、バイデン大統領自身が、ガザ地区の死者数について、そんなに多くの数ではないはずだと「疑問視」し(10/25)、「真実なのかわからない」、「確信は持てない」などと発言。あげくの果てに「罪のない人々が殺されているのは確かだが、戦争の代償である」とまで開き直っている。パレスチナのガザ保健省は、このバイデン氏の発言を受け、犠牲者の名前を記した212ページの報告書を公表し、バイデン氏は反論もできず、虐殺の実態を突き付けられているのである。このバイデン氏の「戦争の代償」発言そのものが、最も非人道的で、戦争犯罪人の発言であることを、全世界に発信してしまったものと言えよう。
11/3当日、ブリンケン米国務長官がイスラエル・ネタニヤフ首相と会談しているそのさなかでさえ、イスラエル軍は救急車、国連学校、避難途中の家族を標的に空爆を行い、数十人が死亡したことが明らかにされ、それでもブリンケン氏は「米国はイスラエルが自国を守る権利を断固として支持する」と宣言しているのである。
<<拡大する反バイデン・反ネタニヤフ>>
10/26、パレスチナ国連大使リヤド・マンスールRiyad Mansourが、力強く感動的なスピーチをして、涙を抑えることができなかったが、国連総会の国際代表団は鳴り止むことなく拍手を送り、一方、これに対抗したギラド・エルダンGilad Erdanイスラエル国連大使がスピーチをしたときには、拍手する人は誰一人として現われない、イスラエルがこれほど孤立したことはかつてなかった事態が現出している。10/7のハマス奇襲攻撃の当初、いくらかは存在した同情が、今やあからさまな軽蔑に変わってきたのである。
イスラエルを取り巻く、イスラエルとの関係改善を狙っていたアラブ諸国においても、イスラエル批判が日増しに高まり、エジプト外務省は「明白な国際法違反」の「残酷」な攻撃だと述べ、「曖昧にせず断固」批判するよう国際社会に呼びかけている。ヨルダン外務省は「人間的および道徳的な価値観と国際人道法に反する」と非難。カタール外務省は「無防備なパレスチナ人の新たな大虐殺」であり、カタールによるイスラエルとハマスの仲介を損なうと警告。サウジアラビア外務省は「民間人の密集する場所を繰り返し標的にすることを完全に拒絶する」と非難する事態である。
11/4、イスラエルにおいてさえ、ネタニヤフ政権の戦争政策に抗議し、
停戦を求めるデモが勃発し、若者たちが「即時停戦せよ!」と声を上げている。
そして、こうしたバイデン・ネタニヤフ両政権のガザ虐殺・抹殺作戦、それに追随するNATO・G7グループに対する抗議行動が、当のアメリカはもちろん、全世界に拡大している。すでに4週連続で、何百万人もの人々が、このガザ虐殺・抹殺作戦を「即刻停止せよ」と立ち上がっている。すでにアメリカでは、イラク侵攻に反対する2003年のデモ以来、米国で最大の戦争反対・抗議デモとなってきている。
11/4、バイデン氏の足元、ホワイトハウスで、実に10万人の大規模抗議デモ、「ワシントン大行進」が展開され、ホワイトハウス前は身動きできないほどの人々が集結、バイデン氏に対して「ジェノサイド・ジョー!」と連呼し、「バイデン バイデン、あなたは隠すことはできません、私たちはあなたを大量虐殺の罪で告発します!」 “Genocide Joe!” and “Biden Biden you can’t hide, we charge you with genocide!” と糾弾される事態である。主催者の一人、コードピンクのヌール・ジャガマ氏は、デモ参加者に「私たちは、人類に対するこのような忌まわしい壊滅的な攻撃に私たちを参加させた政府に対して激怒していることを政府に示す必要がある」と呼びかけ、バイデン大統領に対して「あなたはこうやって記憶されたいのですか?虐殺的で破壊的で戦
争屋ですか?恥ずべきことです!この群衆を見てください、明らかにアメリカ国民はあなたの意見に同意していません 」と糾弾している。
バイデン政権に同調し、抗議デモを禁止しているパリやベルリン、そしてロンドンでも大規模抗議デモが引き続きさらに拡大して展開され、全世界的規模で反バイデン・反ネタニヤフの抗議行動が相次ぐ事態である。
新たな段階、新たな虐殺を推進しつつある、21世紀のホロコースト・「ガザサイド」は、米・NATO・G7の政治的経済的危機の、最も悪質な表現であり、許されてはならない事態の出現である。
(生駒 敬)