【コラム】ひとりごと —総選挙後の雑感— 

【コラム】 ひとりごと —総選挙後の雑感— 

 今回の総選挙では「関心がわかない」と思っていたが結局、その心境は変わらず。でも期日前に投票には行った。ところが関心がわかないのは自分だけでなく、戦後最低の投票率、自分だけではなかった。総選挙結果はご存知のとおり与党の圧勝。投票率が低くても獲得投票率が一位のみが当選する小選挙区制のマジック。従って、与党の圧倒的議席獲得数と全有権者数から見た与党支持率とには相当のギャップがあることを表面化していない事実として認識はしておいた方がよい。
 それにしても2/3を上回る与党議席数は脅威だ。これまでも右振れできるだけ右振れした安陪内閣、今後の政権運営では、特に憲法改悪は公明党が慎重なので直ちにとは行かないにしても、相当に至近距離に近づいたことは確か。それに敢えて争点隠しされた集団自衛権に関る関連法案の改悪・特定秘密保護法の具体運用等をはじめとした反動的諸問題も白紙委任的に強引に推し進めてくる可能性がある。
 またアベノミックスの成否が、安陪政権の行末の重要ポイントとなると思うが、私は、アベノミクスの「三本の矢」の中でも第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」の内の内需(個人消費)拡大だと思っている。従って安陪内閣は経団連に対し、賃上げ等を要請し、経団連も一定、これに応えている。しかし折角の賃上げも中小企業に至るまでの波及効果は乏しく、国民的内需(個人消費)拡大には及ばない。そもそも、かつての国民春闘時代に労働側は「鉄鋼」を長年、第一次相場形成に設定していたが、「鉄鋼」構造不況の中で、「金属」「私鉄」等を第一次相場形成のバッターに工夫してみるも、結局は効果は上がらず、「産別自決」の名の下に春闘賃上げパターンが崩壊していった経過がある。つまり言いたいことは、安陪政権が言おうと労働側の賃上げ要求であろうと、賃金引上げの社会的波及効果は喪失しているということである。そこに加えて労働者派遣法改悪の目論み等、国民的内需(個人消費)拡大に相反する格差拡大策。これだけでもアベノミクス破綻―国民的納得感は得られず、失速の可能性はある。
 ただリベラル改革派としては、先述の「与党の圧倒的議席獲得数と全有権者数から見た与党支持率とには相当のギャップがある」ことに着目し、別稿「労働者派遣法」関連で既述したように、選挙投票行為に頼らず、署名・デモ・国会包囲行動等の「行動化」を提起し実践することだろう。
 なお因みにリベラル改革派の私としては、その避難所として共産党に投票した。
(民守 正義) 

【出典】 アサート No.445 2014年12月27日

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