【コラム】ひとりごと—橋下「改革」の悪影響は深刻—

【コラム】ひとりごと—橋下「改革」の悪影響は深刻—

○7月22日、府労連と橋下知事との徹夜の労使交渉は決裂し、知事は大幅な賃下げを労使合意抜きに断行した。○続く、大阪府議会では、自公に続いて、何故か民主党系府議団も賛成し、大阪府の平成20年度本格予算は、6月提案の「維新プログラム」案を若干修正した形で成立することとなった。○2月に初当選した知事は、収入に見合う支出でなければならないと、1100億円の歳出カットを提案。事業関係400億、資産処分350億、そして賃金カット350億というフレームで、財政再建プログラム(案)を4月に提案している。その後、タレント人気を背景にした世論形成と徹底したマスコミ対策で、財政破綻を強調。総務省ですら、府の財政危機は、まだまだ深刻ではないと認めているにも関わらずである。○橋下知事の行動の特徴は、マスコミや市民受けを狙ってのすばやい方針転換であろう。まず、4月「財政再建プログラム」を発表するや、警察関係・教育関係・市町村・障害対策関係団体から、反発が出てきた。警察からは新庁舎計画の凍結、人員問題で強い批判が出る。一番早い軌道修正は警察関連予算だった。○続いて、PTA・教員関係団体から、35人学級の見直し案に対して、短期間に100万名を超える署名が提出され、これも修正。市町村補助金についても、市長会から厳しい批判が出され、「涙の答弁」となったわけだが、これも演技か、修正し、交付金方式、来年度に本格見直しに修正する。そして、障害者、ひとり親などの医療補助についても本格実施は来年からという調子である。○そして、公務員の職務・賃金に市民に支持が少ないと見て取るや、最大の眼目である賃金カットは、ほとんど無修正に近い断行ということになった。○賃金カットについては、最終若干の修正を行ったとされているが、職員への影響は大きい。中堅職員では年間70万円を越える減収を余儀なくするものである。それも労使合意抜きの強行という手法である。破産企業なのだから賃金は低くてあたりまえ、などの論理は、明らかに「民間の論理」ですらない。誠に乱暴な手法である。○今回の賃下げは、単に大阪府に留まらない問題であろう。新しい財政再生法では、一般会計だけでなく、国保会計や介護保険会計、病院や土地開発公社など特別会計との連結型となり、一定の指標を超えると財政再生団体の指定を受けることになる。○平成20年度決算を指標とするとされており、全国では相当数の自治体がこうした団体指定を受ける可能性がある。○財政再生・再建団体となれば、大阪府の例を参考に、賃金引下げは当たり前とされる可能性が高い。○2005年5月自民党は、大阪市に国会議員による調査団を派遣し、大阪市職をはじめとする自治労単組に「宣戦布告」し、公務員労組弾圧が開始された。まさに橋下は、自民党の願望をストレートに「実現」して見せたのである。○民主党府議団の対応も、最終局面で賛成に回ることになった。旧社会党系、旧民社党系などの混成部隊であることは承知しているが、果たして正しい判断であったかどうか、私は疑問を持っている。議員歳費の引き下げを自主的に行うなど、議員自身の危機感も相当なものだろうが、自公政権に連なる橋下知事に、対抗できなかったという事実は間違いがないのではないか。○ともあれ、北京五輪の開催で夏休みというところであったが、これからが勝負と考えて、橋下府政と一線を画して、対応していく必要があろう。(佐野秀夫)

 【出典】 アサート No.369 2008年8月30日

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