【投稿】春闘の『再構築』に向けて
–総資本=日経連の攻撃に抗して–
連合は、『春季生活闘争のあり方を考える研究会』(略称・春闘リストラ研)を設置し、4月13日から討議を開始した。この研究会は、鷲尾事務局長をキャップに、単産書記長、学者、新聞記者など18人で構成、春闘改革に向けた事務局長案を作り、連合の機関会議に提起することになっている。特効薬はないと思うが、良い案ができることを期待する。
・ 『春季生活闘争のあり方を考える研究会』 の設置について ・
・1.93春季生活闘争のまとめでは、闘争のあり方も含め『改革』の必要性が問題提起された。こ・れを受け94春季生活闘争では要求目標について・一歩踏み込んだ提起がなされたが、闘い方においては広範な議論が行われたものの、大胆な実行には至らなかった。
結果、94春季生活闘争は引き続き基本的課題を背負ったまま収束せざるを得ず、改革の方向と対策については改めて議論を積み重ねる必要がある。・・・・・
1994年4月13日 連合総合労働局
ところで、春闘の問題点・改革の方向については、冒頭紹介した新聞の社説でも、かなりのことが述べられている。主だったものだけ引用し、それを材料に若干のコメントをしておきたい。
◇「労務構成や賃金の仕組みの違う各社が、平均の数字を比べるのにどれほどの意味があるのか」(朝日) この点について、連合は昨年大会で『連合賃金政策』を採択し、平均賃上げ方式から、個別賃金の産業別横断化、個別賃金による要求・妥結方式への転換と、そのために、代表銘柄、基準賃金の範囲、賃上げ率・額の表示の共通化を進めていくことになっている。
すでに、この取り組みは、海員、鉄鋼、電機、電力、金属機械などの単産で進められている。
◇「第2は一発回答方式の再吟味である。各企業連合労使が密室で交渉を繰り返し、回答が出たら終わる方式では限界がある。回答次第でストをも打てる態勢がいる」(毎日)
◇「労務担当役員と労組幹部による水面下の交渉が続く『一発回答方式』を見直す必要はないのか」(読売)
この点については、これ以上何も言うことはない。
今春闘における電機連合の取り組みしかりである。
◇「第2に集中決着方式の見直しである。今春闘で連合は、構成組織に『産別自決』を指導している。不況下での下方平準化を打破しようとの狙いだが、集中方式決着では『産別自決』は機能しえない。労使とも他産別の動向をうかがわざるをえないからだ。『産別自決』を徹底させるには、各産別が時期をずらして労使交渉するしかない」(産経)
◇「第3に、JC主導の賃上げ相場づくりのあり方である。JCの水準が低いと、後発の中小企業はそれにひきずられることになる。長期不況とはいえ増収増益企業は約3割はあるという。JCの低水準が増益企業の賃上げを抑制していいわけがない。春闘の枠組みを変えないと、この問題は解決できないだろう」(産経)
この点は、これまでも連合として何回も議論してきたところである。
『集中』を分散させることはともかくとして、各産業別労働組合の自決態勢を強化しつつ、相乗効果を生み出す戦術はどのようなものか、『春闘リストラ研』の議論・提起も含め、各級機関で議論していきたい。
労働組合の『冬の時代』が言われて久しいが、日経連の主張を見ても、このままでは大変なことになる。
連立政権という『有利』な条件も生かしつつ、95春闘に向け、いや21世紀も展望しつつ、粘り強く各方面で奮闘しなければならない。 (大阪 M・H)
【出典】 アサート No.197 1994年4月15日