『詩』 「三国人」
あなたの小説など読む気もないし
一々検証する気もないが
「正当な日本語を正当に使った」
辞書には「当事国以外の国の人」
この言葉の「科学的、言語学的」意味などと
「大辞林」ふりまわしてうそぶくあなた
天に唾すること多すぎて
一番困るのはあなただろう
「君の取材はそこつか、意図的かだ」
いきりたち、記者にすごんで脅してみても
「そこつで意図的」なのはあなただ
あなたは必死に隠しているが
言葉には歴史的意味があるのだ
そこに込められた意識的意図的意味があるのだ
さらにいえばその言葉を発する人間
その人の善意もあれば、あなたのような悪意もあるのだ
「だれに謝罪?バカなこと聞くな!」
その開き直った硬直した舌の根も乾かぬうちに
「なんで言ってはいけないのか教えてほしい」だって?
しらじらしいにもほどがあろう
「心情察して今後は使わない」?
反響に驚き慌てて釈明しているが
この言葉の差別的で侮蔑的そして歴史的意味など
あなたは知り抜いて使っているのだ
「東京の凶悪犯罪は全部三国人」
「震災がおきたら騒擾事件も予想される」
「9月には陸海空3軍統合大演習を行う」
何と露骨で差別的、短絡的な挑発か
1923年9月、関東大震災と朝鮮人大虐殺
「井戸に毒入れる」とデマを組織した政府と軍部
同じ論理で予行演習、次は自警団の組織化か
これは明らかに差別と敵意と憎悪を煽る犯罪行為だ
騒擾事件をあおっている張本人
それは石原知事、あなた自身なのだ
(K.M)
【出典】 アサート No.269 2000年4月22日