青年の旗 1978年5月1日 第15号
【主張】 反動攻勢への“危険な合唱”
<防衛力増強キャンペーン>
五月二十三日からいよいよ国連史上初めての国連軍縮特別総会が開かれようとしている時、日本における防衛力増強のキャンペーンは、危険極まりないものとなっている。
昨年十一月、稲山鉄鋼連盟会長が、「戦争でもなければ不況克服は無理だ」と発言して以来、本年一月に入って以降、政府・自民党・財界は、一斉に攻撃に転じ福田首相をして「憲法九条の解釈は、核兵器は防御的なものである限り禁止されていない」とまでいわしめている。
自衛隊を「違憲の疑いあり」としてきた公明党が先の同党全国大会で″容認論″に転化したこと、そして昨年末エスカレー卜してきた造船重機労連幹部の防衛産業見直し論、武器輸出解禁の要求につづいて、宮田鉄鋼労連委員長の「自衛のための防衛産業に大胆に取り組む姿勢がないと国家百年の計が成りたたない」等の野党・労働側の発言は、政府・財界を大いに喜ばせ中曽根自民党総務会長に至っては、「交戦権を認めない憲法九条は盲腸のようなもの″切りとっておく″べきだ」とふいてまわっている。さらに、日本の戦犯・極反動を代表する岸信介と源田実を会長・最高顧問にいただく自主憲法制定国民合議は、こともあろうに「日本も韓国維新憲法から学ばなければならない。日本の″平和憲法″は全く幻想的。国民に非常な迷惑をかけるストライキを、韓国憲法が大統領権限で制眼しているのを参考にすべき」とまで主張している。
そしてこのほど、F15戦闘爆撃機、P3Cオライオンは「戦力」には当たらないとして、米国との間で一兆一千億円にのぼる輸入決定が採択されたのである。
見過すことのできないのは、このような反動攻勢がみるべき抵抗もなくまかり通り、それが現実化し、多くの”危険な合唱”をともなっていることである。
<米・中・日、反ソ同盟の危険>
さらに、これらの軍事力増強路線は、米・中・日の反ソブロック戦略と密接な関連をもっていることである。
プレジンスキー米大統領補佐宮は、四月二十七日、福田訪米を前に、「相互依存時代における米国と日本」と題する演説で、激化する日米間の矛盾と対立について「日米両国の協力は不可欠だが、それは自動的に確約されているわけではない。両国の関係が一段と複雑化するのにともない、その関係の処理はさらに努力を要する」としつつも、「米国にとって、着実に自衛能力を向上させている日本との同盟関係は、米国の東アジアにおけるイカリとなるものだ」と高く評価している。さらに「米中関係は、われわれの世界政策の一つの中心要素である。中国と主要な国際関係について協議することは重要だ。これらの政策を着実に実施していくことは、米国の利益からみて必要であると同時に、日本の利益にも合致する」として、米国が、反ソ共同戦線における中国の役割を世界政策における決定的な環の一つとして位置づけていること、その際、日本に米中日反ソブロック戦略の不可欠の役割を与えていることが明からさまに示されている。
<反動攻勢との闘いを!>
そして問題は、これらの攻勢が国内における平和・民主・労働運動に対する反動攻勢と一体的に進行されている事である。極左暴力分子を利用した治安強化特別措置法、弁護士抜き裁判の合法化、刑事罰適用の脅しのスト分断、・・・、平和・民主・労働運動はこれらに対する大衆的で統一した闘い・反撃を求めている。