【投稿】長崎平和式典で米欧「チーム・ジェノサイド」の敗北

【投稿】長崎平和式典で米欧「チーム・ジェノサイド」の敗北

                                                                                        福井 杉本達也

1 長崎市、平和式典にイスラエルを不招待

長崎市は、1945年8月9日米国が投下した核爆弾の犠牲者を追悼して毎年主催する平和式典に、イスラエルを招待しないことを決定した。長崎市はイスラエル大使館への招待状を、2023年10月7日から続く戦争におけるガザでの即時停戦を求める大使宛ての書簡に置き換えた。鈴木史朗市長は、ガザ地区の壊滅的な人道状況とそれが多くの国に引き起こす緊張を理由に、式典中に「起こり得る事件を避ける」ことだとした。長崎原爆被爆者協議会の代表である田中重光氏(83)は、国際社会からの呼びかけを無視して武力紛争を遂行している国々の代表を招待するのは不適切だとして、イスラエルを追悼式の不招待の動きを支持した。

2 米欧大使の式典欠席で、忠犬さを“披瀝”する朝日新聞

主要6カ国(日本を除くG7)と欧州連合(EU)の駐日大使らは7月中旬、長崎市長にイスラエルを招待国から除外したら「我々もハイレベル(高官)の参加が難しくなる」との書簡を送っていた。8月8日の朝日新聞の1面トップ記事はまさに異常なものであった。「米英大使、平和式典欠席へ」の大見出しに、「長崎市に『イスラエル大使招かぬなら参加困難』」の副見出しを付け、2面では「平和式典 中東対立の影」「嘆く地元『意図せぬ反応』」という見出しの下に、「チーム・ジェノサイド」を擁護する「長崎に原爆が投下されて79年。慰霊と追悼の場である平和祈念式典が、国際政治に振り回されている。イスラエルの招待を見送ったことに対する、原爆を投下した米国の強い『拒否反応』に、被爆地からは戸惑いの声もあがる。」との解説を付けた(朝日:2024.8.8)。いったいどこの国の新聞なのか。「慰霊と追悼の場」を国際政争の場としたのは、エマニュエル駐日米大使である。

 

3 米欧大使のいない長崎式典は、日本の誇り

8月9日朝、長崎上空で炸裂した原子爆弾は、74,000人の命を奪った。6日の広島の時と同様、アメリカは、民間人を殺害することは正当な戦術であると居直った。イスラエルはガザの人々に、広島と長崎を合わせた数倍以上の爆弾を投下している。

エマニュエル大使は、日本のバカな政治家を相手にして、属国日本を好き勝手に操縦できると勘違いした。 被爆2世の市長、その背後の年老いた被爆者、国際法に違反する無差別爆撃を経験した日本国民がいることなど思いも至らず、言うことを聞かないのはけしからんと激怒した。米国の臣下G7大使は外交官の域を超え、日本国に内政干渉をした。属国日本がイスラエル招待を拒否するなどもってのほかだと。しかし、長崎市長はこれを拒否した。

4 圧力に屈しなかった長崎市長と「チーム・ジェノサイド」の国際的孤立

英国大使ジュリア・ロングボトムは、イスラエルはガザで自衛行動をとっており、ウクライナ侵攻に関してロシアと同等視されるべきではないと語った。長崎市長は、エマニュエル大使に相当の圧力をかけられても跳ねのけ、G7・EUによる恫喝にも屈しなかった。ガザのパレスチナ住民と被爆者の怒りを重ね合わせた。本来は、エマニュエル大使らの行為は、被爆者に対する冒涜であり、日本に対する明らかな内政干渉である。日本政府はこれらの大使を呼びつけ厳しく抗議すべきである。

長崎での祈念式典にイスラエル大使の不招待に反発する国は西側諸国だけであり、グローバルサウスも含めた多くの国は問題としていない。全く当然であるとの受け止めである。中東情勢をめぐる問題で西側諸国は世界から孤立している。ジャンピエール米大統領報道官は8月7日の記者会見で、エマニュエル駐日大使が9日に長崎市で開かれる「原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」を欠席することを問われ、「この特定の問題を把握していなかったので、何が起こったかを正確に確認したい」と述べ(日経=時事:2024.8.8)、エマニュエルを切り捨て、これ以上深入りすることを避けた。自らの行為がいかに愚かな行為であり、国際的に完全に孤立していることが明らかとなったからである。

長崎市長のイスラエル不招待は、本来、岸田首相がすべき外交を一切できず、被爆者を79年間無視し続けてきたことを明らかにした。広島原爆慰霊碑に書かれた「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の主語は誰なのか。東京裁判に関わったインドのパール判事は、原爆慰霊碑ができた年に広島を訪れ「原爆を落としたのは日本人ではないのに、碑文は表現が不明瞭だ」などと指摘している。また、日本のマスコミは米欧「チーム・ジェノサイド」に追従する米金融寡頭制のプロパガンダ機関でしかないことを暴露した。だが、長崎市長は岸田首相の無能さにもかかわらず、国に替わって果敢に核廃絶外交を行い、日本を国際的な孤立から救った。

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【投稿】長崎平和式典で米欧「チーム・ジェノサイド」の敗北 への1件のコメント

  1. ちーぶん のコメント:

    天皇の戦争責任を追求して、右翼のチンピラに銃撃された市長も過去にいましたね

    劣化ウラン弾の記述をホームページから削除したり、教育勅語を復活させようとしたりするもう一つの被爆地とは対照的ですね

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