青年の旗 1982年7月1日 第65号
【主張】 福祉なき軍事大国化狙う「臨調」
<福祉なき軍事大国化」ねらう臨調部会報告>
七月十日の基本答申にむけて、四つの部会報告が出そろった第一部会の報告では、かってないほど明確にイデオロギー的な側面が強調されている。「国民と国の安心と安全の確保」「国際社会への積極的貢献」「活力ある成熟社会の実現」の三つは西側同国の一員として、国家の安全保障を第一に掲げ、現憲法の平和主義、人権主義を否定するものである。具体的には、「自衛隊は、高度の軍事技術等に裏打ちされた精強なものでなければならない」「防衛計画の大綱水準の確実な実現を目ざすべきと軍拡を押し進め、一方で、「平和や豊かさの故に、ともすれば個人・家庭・団体の自自立性が低下し、また技術革新や経済発展への意枕が減退する等社会の活力が失なわれるおそれがある」と、自立自助を強調し社会福祉を大幅に切り捨てることをねらうものである。まさに「福祉なき軍事大国化」というべき内容である。
<攻撃の矛先は国労、勤労はじめ官公労ヘ>
また、第二・第三部会報告では、公務員への管理強化として人事院の権限縮少などが打ち出され、さらには「民間委託」を通じた公務員削減がねらわれている。これが、官公労つぶしを意図していることは明白である。そして、第四部会では、官公労の中でも、戦闘的な国労、動労への攻撃として、「国鉄改革」が報告されている。
報告の中では、「国鉄経営の悪化をもたらした原因は、企業性の欠如、労使関係その他にあり、改革の基本的な考え方は国鉄の分割、民営化をその経営形態とする」とされている。そこでは、独占資本が、高度経済成長時代、その道具として国鉄を利用しながら、国鉄赤字に対しては、一切責任を負おうとせずその責任を国鉄労働者になすりつけようとしているのである。さらには、「民営化」という新形態移行(五年以内)までの措置として、総理府に「国鉄再建管理委員会」を置き、職場規律の確立、新規採用の停止、要員合理化、設備投資の抑制、貨物部内の合理化などを実行するようにせまっており、まさに、具体的に、国鉄労働者、国労、動労の運動の弾圧、破壊を進めんとしているのである。
<臨調七月答申と対決し、反行革の闘いを>
臨調基本答申を控え、また、八十二年度予算編成がいよいよ本格化しょうとしているおり、臨調路線と対決し、平和・軍縮、生活防衛の大衆運動を構築することは急務といわねばならない。
鈴木首相が「政治生命をかける」といった行政改革の本質が徹頭徹尾、独占資本のためのものであることはいまや完全に明白である。臨調一行革攻撃は、「行政の無駄をはぶく」「国民生活のため」という美名の下で国民への負担を今まで以上に増大させながら、官公労働者への弾圧を強め、軍事大国化へ歩みを進めるものである。自民党タカ派の代表たる中曽根行管庁長官は、「行政改革で大そうじをして、お座敷をきれいにして、そして立派な憲法を安置する」と、「行革から改憲へ」のコースをも明言している。そして、すでに、来年度の予算を巡っては、臨調路線を具体化し、軍事費突出、文教福祉切り捨ての攻撃がかけられている。
すべての職域で、攻撃をはねかえす、粘り強い大衆運動の展開が求められている。