【投稿】共産党大会に思うこと

【投稿】共産党大会に思うこと

<上げ潮ムードに浸っているが・・>
共産党の第21回大会がマスコミの注目を浴びている。
それは、都議選で議席を倍増したこと、地方議員の数が昨年自民党を抜いて第1党となり、引き続き、政党支持率でも新進・民主を超える数字が世論調査で出ているからであろう。
さらに、この間の不破委員長や志位書記長の発言の中に「保守との連携も視野に入れて・・・」云々の文言が飛び出し、現実路線に転換か、との評価があるからである。しかし「政権を目指す」とか「一部の保守とも連携」なる言葉は、旧社会党を支持してた層や所謂無党派層受けを狙ったものに他ならない。それは、あいも変わらぬ「セクト主義」と「民主集中性」を基礎をもった「科学的社会主義」などの基本路線に対しては、国民の支持があるわけではなく、表面的な「見え」を狙ったものだが、それを言わないと、単なる批判票は、いつでも逃げていく、という現実への彼らなりの対応なのかもしれない。
確かに、地方議員が増えており、その一因には積極的な女性議員候補の登用が地方議会にその比重を増しているという指摘もある。
大阪でも、こうした上げ潮ムードを受けて、首長選挙について「オール与党」体制や多選首長への批判をテコに、特に自民党や保守と組んでの例が目立っている。自共対決ではなく「自共共闘」での京都府城陽市長選挙がそうであるし、9月に執行された大阪府箕面市の市長選挙でも、同様の市民派候補のような形で、共産党は介入している。自治労連や民商の宣伝カーを根こそぎ投入して、宣伝戦を行った。箕面市では連合推薦の現職市長が辛くも逃げ切った。
現在大阪の自治体選挙の焦点は、昨年oー157集団食中毒が大量発生し、死亡者も出した大阪府堺市の市長選挙である。10月5日が投票日だが、上げ潮の余勢をかって、連合候補と共産推薦候補の一騎打ちとなっている。
残念ながら、ここでも総体的な政治的無関心の傾向は現われており、前回の投票率が34%だったが、今回はさらに下回ることが予想されている。投票率がこの程度である限り、首長選挙への共産党の介入は常態となる可能性がある。
一方、労働運動の舞台では、現状維持ないし減少傾向が出ており、選挙・政治活動への労組の引き回しは、彼らの影響力のある組合の弱体化が予想できるのは皮肉である。

<共産党は変わっていない>
決して共産党が変わったから、支持率が増えているのではない。「民主集中性」や「科学的社会主義」という基本路線になんらの変更も行われていないのだ。そこに彼らのジレンマがある。
私も久しぶりに、共産党系書店に行き、「21回党大会決議案」の載ったパンフを購入した。一読してびっくりしたのは、大会決議案から「帝国主義」という言葉がまったくない、ということである。アメリカを指しての用語は「アメリカ覇権主義」であり、「わが党はアメリカの安保や基地についての政策は厳しく批判するが、独立宣言にはじまるアメリカ民主主義の歴史のなかには、多くの価値あるものを見出している」として、「安保解消、アメリカともアジアとも真の友好関係を築く」云々と、少々当惑する表現で、日米関係が語られている。
基本路線には(綱領や社会主義路線)、一切手を付けない党大会、自共対決の時代というが、赤旗収入も減少している中、この党の行方は、まだ混沌としているのではないだろうか。(佐野秀夫)

【出典】 アサート No.238 1997年9月27日

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