10周年記念テーゼ作成の成功を (デモクラートNo34)

同盟組織の飛躍的強化へ 10周年記念テーゼ作成の成功を

                      デモクラート No34 73年1月16日

 1973年は我が同盟にとって記念すべき年となろうとしている。1973年は、我が同盟が民主青年同盟の当時の指導部の不当な除名行為によって組織されてから10年を迎える年である。最初、大阪の地に組織された民主主義学生同盟は、歴史的な大管法闘争を大阪府学連の闘争を中心として組織した。
 しかし、二度にわたる同盟隊列の分断は、我々の前進を停滞させてきたことの否定できない原因となってきた。だが、我々は、今、約3年間の闘いの中から、首都、大阪で強固な大衆的基盤を創り上げ、関東、関西で力を拡大し、73年冒頭高崎経済大学支部の結集でもって、新たな前進への局面を迎えている。
 我々は、高崎経済大学の同志が現政研-学生共闘指導部の誤れる指導を拒否したことを熱烈に歓迎する。
 我々は、すでに全国学友の闘う方針を明らかにするテーゼ準備会議を数度にわたり開催してきた。
 テーゼ作成の成功的前進が我が同盟の一層の団結強化・大衆化・全国化と学生運動の発展に貢献することは疑いない。高崎経済大学の同志の結集は、我々の目的=民学同の民主的再建・統一の過程の画期的前進である。この過程を更に推し進め、来るべき全国指導部の建設へ前進しよう!

<統一会議結成の目的と経過>
 民主主義学生同盟統一会議の結成は、一部の誤れる少数指導部の小児病的偏向から真面目で戦闘的な同志を解放し、民主主義学生同盟の民主的統一を闘いとることにあった。当時組織内部にあった意見の対立は、決して克服しえず組織分裂を引き起こす程、深刻なものではなく、組織内民主主義の徹底による同志的な全同盟的討論と実践の検証によって克服可能なものであった。
 しかし、全国委員会の一部多数を頼みの綱とする4全国委員は、同盟の趣意・規約、民主集中制の原則、情勢が要求し又学生大衆の基本的利害に関わる組織統一と団結を拒否し暴力的に第12回全国大会を破壊し、組織分裂を強行したのであった。我々は意見の相違を絶対に回避できるとは考えない。むしろ我々があらゆる大衆運動の先頭に立ち、平和共存・反独占民主主義の前進と学生運動統一を目指す立場を承認するだけでなく、いつでもどこでも通用するような一般的真理を絶叫する「一般屋」-紋切り型の教条主義・セクト主義ーとは無縁であるがゆえに、更に今日のように、民主勢力の内部の理論的思想的混乱が著しく、ブルジョア・イデオロギーが氾濫している中では、意見の相違の発生は不可避的だと言っても過言ではない。民青、トロツキズムとの激しい闘いの中で我が同盟を全国化させた先輩は優れた教訓を残している。「大切なのはこの場合討議論争は説得と納得にもとずいてのみ行なわれ、行政的に行なわれないこと。論争はわかり切ったことについては起らず、一局面から他局面の移行期や重点をどこにおくかに対して起って来るのである。論争には節度を守ること、機関は論争の対立点を明確に徹底させ、正しい少数意見が急速に多数に転化できるよう処理することが大切である。・・・同盟内の言論の自由とは各自が無根拠な勝手なことを無制限に討議するためにあるのではなく、科学的真理(具体的認織)が組織内に貫徹するための絶対的条件であるということ、民主主義とは指導と責任と規律が不可欠の条件としてあることを深く確認することが必要である。」(同盟第4回大会組織方針書)
 意見の対立を解決する努力ではなく、「民主集中制」の名の下に、問題を単純多数決主義、行政的処理、暴力行使、市大での新同盟員加盟拒否など官僚的組織運営に狂奔した学生共闘派指導部(四全国委員)は、現代政治研究会(現政研)なる分派グループの結成を先行させていた。我が同盟の指導的機関ー全国委員会の討議と決定を無視し同盟破壊を準備していった(「大学の民主的変革のために」現政研編集とこの書物の一方的持ち込みはその端的な表現)のである。
 
<その後の変化—学生共闘派の偏向の純化>
  ー全体としての統一の困難化ー
 
 原水禁運動の統一的開催(学生階層別集会)の努力、関西の地における安保・沖縄・ベ反戦闘争の過程で、運動統一の努力、とりわけ大阪市立大学での大衆運動統一に関する学生共闘指導部との話し合いを我々は何度となく行ってきた。
 しかしこうした我々の努力にも拘わらず、彼ら学生共闘指導部は、その都度セクト主義的な態度に固守し、統一会議に結集する同盟組織の存在すら頑強に否定し、我々に対して”脱落分子””ウジャラ”という恣意的レッテルのみを投げつけてきた。そして、統一とは、双方の平等の立場の確認からではなく、常に”我々の集会に参加せよ”という立場からの全く独善的な提案であった。この唯我独尊のセクト主義は、71年の原水禁学生階層別集会においては、平和組織の確認を公然と否定し、大衆集会の場をセクト主義的な「党派」闘争の場に転化するという大衆運動の破壊行為に導いた。その秋、10・21国際反戦闘争の準備過程においては、大阪市立大学において、革マル、ブンドー黒ヘルアナーキスト、学生共闘派の学生大会開催をめぐる主導権争いの中で遂に、京大生を中心とした外人部隊(ヘルメット・鉄パイプ・角材で武装)を導入しての集団的「内ゲバ」事件を引き起こすに至っている。他党派を学生大会(学生の意思決定機関)から排除することをもって、学生戦線を領導せんとする著しいセクト主義・ヘゲモニー主義は、テロ・恫喝・日常的暴力でもって、学内を制圧するという革マル、中核、ブンドなどトロ諸派の「革命的暴力」-内ゲバの論理に彼らを転落させた。
 本来、我が同盟の重大な任務の一つは、日本学生運動の”セクト主義という業病”と闘い、民青、トロ諸派の誤りを克服することにあった。学生共闘諸君の一連の行為は、悪しきセクト主義、分裂主義のミニ再生産でしかない。
 学生共闘諸君は、増々、その街頭政治主義的誤りを深刻にしている。あの全国学園闘争の政府・独占、警察権力による強権的収拾の過程で、トロ諸派ー全国全共闘(八派連合)が街頭極「左」主義に転落する中で、学生共闘派諸君もまた、学園における反動攻勢との対決を放棄し、佐藤訪米阻止首都全力動員という学園逃亡路線=街頭政治主義へと傾斜していった。この街頭政治主義は、最近では”政府・独占の軍国主義強化”からあらゆる矛盾を説明し、軍国主義強化反対の街頭行動に従属ないし解消するという事態に発展している。大阪市大における3.16闘争を沖縄闘争の障害物と断定すると言う彼らの誤りは、その政治セクト主義の典型であろう。
 我々の街頭政治主義批判はその時々の情勢が要求する全国民的政治課題を労働者と連帯して闘うことを軽視或いは無視することではない。大学及び学生に対する攻撃と独自的に対決しつつ政治的バクロを組織しつつ反独占勢力と連帯しつつ闘争の先頭に立つことである。我々は訪米阻止闘争を、全都、全大阪の規模で学園の統一を基礎に数千の決起で闘い抜いたし、他の任務についても同様であった。学生の利益を擁護することの放棄は、大衆的学生運動の放棄である。
 大衆運動の統一を基礎としない彼らの学生運動の統一とは、”我が派の全国制覇””自治会執行部の掌握”を前提として語られ、従って、そのような条件が存在しない現在では党派の自己形成=主体形成論、活動家のみの政治行動、そのための全関西(全大阪、全京都)学生共同闘争実行委員会運動として設定されている。我々はあらゆる形態での実行委員会形式を否定するのではなく、それらの提起がおかれた条件最大限の大衆的支持を結集しているか、どうかを問題としなければならない。学生共闘諸君についてはこの努力が放棄され、「科学的情勢分析と大胆な行動提起」の名の下に、セクト主義的行動が合理化されている。学生戦線の統一は、全員加盟制自治会、あるいは、それに準じる形でのクラスその他の自治会基礎組織に依拠して、大衆的イニシアティブが発揮される形を原則的立場としなければならないし、その方向を不断に追及してのみ、層としての学生運動の発展があるのである。
 
<学生運動の現状と我が同盟の任務>

 全国学園闘争の爆発的高揚は、それが極めて自然発生的であったとしても、高度経済成長と科学技術革新の発展それらが深刻な矛盾を大学に蓄積した結果の鋭い反映であった。全国学園闘争の提起した諸問題ー最早、古くさくなった一部特権者のみ都合のよい大学の研究、教育制度、若手研究者、技術者、院生、学生の無権利状態、貧困な研究教育施設、学生の貧困な生活実態、高等教育の大部分が私的営利業者=私学資本に委ねられているという教育の公的性格とその私企業的形態との矛盾が何ら解決されないまま強権的な収拾=大学法強行成立による機動隊導入によって終息させられた。かかる政府・独占の勤労諸階層との間の矛盾は、すでに同一年齢人口の四分の一強にまで増大した学生層の現在と将来に鋭い影響を与えている。全国全共闘の崩壊、内ゲバ抗争、連合赤軍事件を最後的指標として破産を宣告された武装闘争路線・街頭政治主義路線の破綻は、「革命的」空文句の虚構が破綻したしただけでなく今日の学生層が置かれた客観的基盤を無視するところくる必然的帰結であった。
 今日、学生運動の大衆的・戦闘的展開は、学生層を規定する社会経済的諸関係、それらが規定する鋭い反独占的要求の同質性の確認から出発しなければならない(このことは即自的に学生が反独占的意識を持っていることを意味しない)。
 今日の学生戦線の混乱と分裂は、革新勢力内部の理論的思想的混乱、その結果としての諸政治潮流の存在に現象している。それ自身誤った主観主義的な政治展望(非合理的・非現実的なそれ)に基づいた政治戦略、戦術、学生運動論が露骨なセクト主義を伴って、学生運動に直接持ち込まれている。このことが学生運動の合目的的な前進を妨げているのである。
 マルクスの次の指摘は教訓的である。「『宣言』の普遍的な見解のかわりに、ドイツの民族的見解が主張され、ドイツの手工業者の国民感情に媚びへつらっている。『宣言』の唯物論的見地のかわりに、観念論的見地が主張されている。現実の諸関係ではなくて意志が革命の眼目だと主張されている。・・・民主主義者が「人民」という言葉を単なる空文句として使ってきたように、いまでは、『プロレタリアート』という言葉が単なる空文句として使われている。この空文句を実行するためにすべての小ブルジョアをプロレタリアートと宣言し、従って実際にはプロレタリアではなく、小ブルジョアを代表しなければならなくなるだろう。真の革命的発展を、革命と言う空文句とすりかえなければならなくなるだろう。(1850年9月15日の中央委員会決議)学生=プロレタリア論(トロ諸派)、学生=民主的インテリゲンチャ論(民青)、平和と民主主義の意識から学生層を特徴づける学生共闘(現政研)派、これらすべては、戦後の資本主義の高成長政策、科学技術革命の進展が引き起こした諸変化=労働者階級の一層の量的拡大と構成の変化、大学の大衆化と社会関係の変化、学生の地位の変化ーに無関心であり、唯々”敵=権力””政府・ブルジョアジー”の攻撃という形で、言い古された”権力問題”の空文句を氾濫させているのである。
 学生層の利益をいかに擁護・発展させるかということ、大衆団体の独自的目的の実現に政治同盟がいかに貢献するか、これは何よりも政策の科学性とその実現のための献身的活動、学生大衆の結集と統一において保障され、政治同盟の成長と拡大・強化がこの大衆運動の発展と照応するという意味で党派性を理解しなければならない。党派に系列化された「全学連」に象徴される分裂状況を克服し諸潮流の政治的偏向と闘う力は、科学的政策に導かれた大衆運動とその力を背景とした正しい統一政策である。
 われわれは、民学同の趣意ー我が同盟の目的が依然として変わらないばかりか、逆に増々強調しなければならない事態に直面している。
 
 <全国学友は、闘いの指針を求めている>
        10周年テーゼの必然性

 トロ諸派の理論的実践的破産、民青諸君の一層の右傾化は、内外情勢の激変の中で、増々明らかになると共に強まる政府・独占大学と学生支配の攻撃に有効に対決しえないことが明らかになっている。昨年11月以降の早大学友の闘いはその集中的表現であった。政府・独占の大学再編攻撃は、中教審答申、教養審投信の実質化の過程が、筑波大学法案国会上程、教育系大学のモデル大学構想、旧7帝大の大学院大学構想として進められ、大学においては一部特権層の独裁管理体制の強化ー新大管法制定策動として進められている。
 政府・独占の受益者負担主義政策は、相次ぐ私学における学費値上げを強行する私学資本と一体になって。学生生活と大学教育を極度に破壊している。
 また、米帝国主義と並んで強力な帝国主義として成長した日本帝国主義は、その反動的本質を露骨にしている。米帝国主義のベトナム侵略に唯一、公然と加担していること、四次防、独自核武装、計画、北方領土返還要求の強行に見られる反社会主義、反民族解放の政治姿勢に示される危険な軍事対外政策は、アジアの反動の盟主たらんとする野望の表現である。発表された四八年度政府予算の大衆収奪強化・インフレ増進、独自本位の財政政策は、十二月衆院選で示された反独占諸階層の要求に敵対している。だが、発足した田中内閣のかかる内外政策は、増々深刻化する日本帝国主義の危機・矛盾の反映であり、逆に前進する世界の反帝平和勢力の前進、高まる国内反独占勢力の規制を受けているし、帝国主義間矛盾の激化は、世界の三大進歩勢力の前進に有利な条件となっている。
 第二次田中内閣の政策は、労働者・学生そして、世界の反帝・平和勢力の抵抗を受けざるをえないし、現実に受けている。
 だが、この抵抗、反対の闘争が現実的かつ根本的な解決を強調する政策と主体的条件の整備がない限り、着実な勝利はかちとりえないであろう。また、全国学友は、これらの諸攻撃と対決する、諸戦線における闘いの指針を要求している。
 われわれは、学生運動の新しい成功と発展をかちとり、民主集中制に貫かれた強固な同盟建設、学友の期待に応えうる理論的・思想的強化を闘いとらねばならない。
 この間、蓄積してきた自治会運動、平和–原水禁運動、部落研・解放研運動、大学闘争等の成果を正しく総括し、70年代学生運動の理論的、実践的指針としていかなければならない。
 ”同盟創立10周年記念テーゼ”は、かかる情勢の客観的要請と民学同の民主的再建・統一、大衆的・全国的同盟への成長という我が同盟の組織的任務の二つの理由によって一層重要となっている。
 
 <再度、我々の基本的立脚点を明らかにする>
 
 テーゼ作成の主たる目的は、我が同盟の趣意の諸原則に立って、諸政治潮流の誤りを明らかにし、理論的・思想的混乱を克服することであり、学生運動に要求される諸課題と当面する基本政策を明らかにすることである。
 平和と平和共存、反独占民主主義、学生運動の統一、これが他の諸潮流と区別されるわれわれの基本的立場である。この基本的立場は、今日の世界の主要な平和と進歩の勢力の努力、第1に、社会主義世界体制、第2に、発達した資本主義国の労働者階級、勤労諸階層、第3に、反帝・民族解放運動の闘争に依拠している。
 すでに何度となく述べてきているが、今日の学生戦線の分裂と混乱の克服は、まず理論的な対立点の評価から始めて可能になりうる。支配階級=独占資本の側から出される種々のデマゴギー、小ブルジョア的な急進主義、民族主義、反ソ・反社会主義宣伝等々と有効にん対決するためにも、基本的な理論的立場の確認と科学的な情勢分析、我々の任務を具体的に明らかにしなければならない。
 
 1、社会主義世界体制と同体制間の闘争
 ①社会主義世界体制の強化と緊張緩和、平和共存の前進
 ②帝国主義の諸矛盾と激化と階級闘争の激化
 ③米帝国主義の衰退と世界支配政策の特徴
 ④中国現政府の危険な行動とその役割
 2、日本帝国主義–その動向と直面する矛盾
 ①田中内閣の外交・軍事政策の狙いと矛盾
 ②田中内閣の国内政策–列島改造・超高度成長政策
 ③中教審答申に基づく資本主義的合理化の本質と現段階
 3、学生運動の現状と我々の任務
 ①68-69大学闘争以降の学生運動総括
 ②今日の学生層の特徴
 ③学生同盟論、学生運動論
 ④全員加盟制自治会と学生運動統一の方向
 ⑤諸戦線の現状とわれわれの任務
 4、諸党派批判
 民青、中核、革マル、ブンド、学生共闘等。すでに二度にわたって、会議を行ってきたが、3月の同盟の全国化、総結集に向けて今後も討議を継続し、民主主義学生同盟の飛躍的前進の武器としてのテーゼの作成を成功させねばならない。
 全国の学友諸君、諸同志が1-2月の闘いの中で、一層の前進をかちとり、この作業の成功に援助・参加されることを訴えるものである。
 
 
 

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