【投稿】「働く者の労働ニュース1」
(その1)「育児・介護休業法」で「介護休業・見直し検討へ
<介護休業の拡大検討・離職防止に向けて>
「育児・介護休業法」の内「育児休業法(制度)」は暫時、見直し改正が行われてきた。しかし「介護休業法(制度)」の方は、利用の実体乖離があるにも関らず見直し・法改正が1995年度以降、行われてこなかった。一方、高齢社会の中で「現行-介護休業制度」が実態上、活用し難い点も顕著化してきた。そこで厚生労働省は、介護休業の規定を大幅に見直す方向で検討に入った。「現行=家族1人に対し、通算93日」としている介護休業の期間の拡大を目指す。年間約10万人が介護を理由に離職する現状を重く見て、仕事と介護を両立できる環境整備を進める。
本月19日に有識者による研究会を設置し、来年6月頃までに報告書をまとめる。その後、経営者と労組の代表が参加する労働政策審議会の分科会で具体的な制度の在り方を協議し、早ければ2016年の通常国会に改正法案を提出⇒2017年からの導入を目指す。
厚生労働省によると、高齢化の進展で要介護認定を受けている人は10年前の約1.6倍に急増した。政府は施設での介護から住み慣れた自宅での介護推進へと方針転換しており、仕事を辞めざるを得ない人が増える恐れがある。
仕事と介護の両立をしやすくするため、厚生労働省は休業期間の延長を検討。また休みを細かく分けて取りたいとの声も多く、短期間の介護休業が取りやすくなるよう制度を見直す。認知症高齢者の徘徊などにも対応できるようにする。
具体的な見直し検討課題は、①病気やケガ毎に1回のまとめ取りしかできない「介護休業」を分割できるようにする。②また年5日までの「介護休暇」も細かく取りやすく見直す。③特に認知症患者の場合、公的介護サービスを使っていても家族による世話が必要なケースもあり、断続的に休める仕組みを目指す。④一日単位の介護休暇も半日や時間単位で取得可能を検討する。
<「介護」の現状>
介護する労働者は2012年で約240万人だが、介護休業利用は3.2%、介護休暇は2.3%に留まる。また介護の為に連続して休んだ人の4割が年次有給休暇を利用していた。
労働者側からは「仕事と介護を両立させるには分けて休める方がいい」といった声も強まっている。
また介護開始時に仕事をしていた人の内、2割弱が辞職したという調査もある。こうした「介護離職」を少しでも減らす事も「介護制度見直し」の目的だ。
厚生労働省は昨秋、有識者の研究会を立ち上げ、制度見直しの検討を始めた。
(その2)「長時間労働-ブラック企業公表」に「新基準」
違法な「長時間労働」を繰り返す、いわゆる「ブラック企業」について、塩崎厚生労働大臣は本月15日、企業名を早期に公表する新たな基準を明らかにした。
今の企業名の公表基準は「長時間労働」で法律違反した場合、労働基準監督署が是正勧告する。その是正勧告に従わない悪質な企業に限って書類送検して社名を原則公表している。それでも2013年に公表された件数は、僅か100件程度だという。
今度の新基準は本月18日から実施されるが、複数の都道府県に支店や工場を持つ「大企業」に限られて対象になる。
具体的には「残業代未払い」といった違法行為があり、残業時間や休日に働いた時間が月100時間を超える労働者が、一か所に10人以上または全体の4分の1以上いる事等を基準にする。ただ年間に3カ所以上で違法な長時間労働がなければ公表されないため、実際の公表企業数は限られ、基本的に「ザル法」の誹りは免れない。
また実際には「長時間労働」が常態化・蔓延化しており、なおかつ圧倒的に多い「中小企業」への特段の対策は講じられていない。
私は以前にも述べたが、本当に今の派遣労働者をはじめとする「非正規雇用労働者」は、労働基準監督署等の「行政監督庁」の行政指導等を信用していない。
だから、このような「企業名の公表」を小出しに提示しても、あまり期待されず、それよりも「ツイッターで流しちゃえ!」と自分で「企業名公表」する事も流行りだしている。
厚生労働省は「余程、酷い企業だけでも見せしめ的に『企業名公表』すれば―」と思っているかも知れないが、労働者も企業からの従属意識離れが進んでいる。その意識状況変化の先には「雇用関係全般のモラルハザードがある」ことぐらいは予測して、結局は「小手先ばかりで収拾つかず」となることを解っておくべきだ。
(その3)「生涯『派遣労働』法案-「労働者派遣法改悪案」実質審議入り」
「生涯『派遣労働』法案-「労働者派遣法改悪案」が12日、衆院本会議で実質審議入りした。「同法改悪案」は二度、廃案になった経緯があるものだ。
今国会には「残業代ボッタクリ法案=労働基準法改悪案」も控えており、これから労働法制を巡る論議が本格化する。今回の「同法改悪案」の具体内容は先の「今、闘わなければ、いつ闘う!改悪労働者派遣法」に詳しく記載しているので再度、一読して頂きたいが、特に大きな改悪ポイントは「派遣労働者(本人)個人単位の派遣期間が3年が限度(クビ)」に対し派遣先事業所は事実上、3年毎の更新手続(労働組合or従業員代表の意見聴取)さえ行えば、永続的に派遣労働者を使用できる点だ。
安倍総理は12日の国会で「派遣期間が終わった場合、正社員になったり、別会社で働き続けたりする事ができるようにする。賃金等の面で待遇改善を図る」と実際には根拠となる仕組みもなく詭弁説明した。しかし、この安倍総理の詭弁説明に社民党・共産党等は当然のこと、多くの派遣労働者から反発ブーイング。今まで「労働者派遣法改悪」で何度も騙してきた結果のブーイングだ。本当に「今こそ闘うとき」だ!(民守 正義)
(編集委員会より)
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【出典】 アサート No.450 2015年5月23日