【投稿】ダブル選挙 維新完勝で変わる政治地図 

【投稿】ダブル選挙 維新完勝で変わる政治地図 

<大阪秋の陣 維新の会が完勝>
 去る11月27日に投開票が行われた大阪府知事選挙・大阪市長選挙は、大阪維新の会の松井一郎、橋下徹両氏が、共に勝利した。市長選挙の方は、敗北したとは言え、現職の平松氏がよくふんばったように思える。知事選の方が、120万VS200万票で、予想もしない大差となった事と比較すれば、平松氏の善戦であり、勝ったとは言え、橋下の方は、少々苦い勝利となったことは事実だろう。選挙後、マスコミによく登場する橋下だが、幾分表情が硬く感じるのは、その成果だろうか、それともお決まりの「マスコミ対策」だろうか。
 「旧態依然たる規制政党」か「スピード感のある改革派」か、という事だけを選挙中に訴えていた維新の会。お役所批判や公務員・労組批判なら、街頭に出れば、言い放題という様相で、議論や政策の選挙ではなかったようだ。大阪地域の経済の低迷に対する閉塞感を持つ市民・府民が、「改革」を求めて選択したことは、事実であるとしても、大阪都構想、職員基本条例、教育基本条例など、維新の会のマニュフェストの実行に賛同したと言えるわけではない。
 
<何が目的がだったのか?>
 むしろ維新の会はアドバルーンは上げてみたものの、それを実行・実現可能と考えていないように見える。ダブル選挙以前に、大阪府議会では春の統一地方選挙で、維新の会が過半数を制していた。とすれば、両条例とも、10月の時点で府議会可決は可能であった。しかし、敢えて採決をしなかった。そして、これがダブル選挙の争点だとしたわけである。ところが、今度はダブル選挙で勝利したにも関わらず、松井新知事は、職員基本条例案は、来年2月に案文修正の上で知事提案すると、就任早々に表明している。
 選挙の争点と言いつつ、選挙で勝っても、自らが幹事長として提案した案を、たな晒しにするというわけである。本来ならばわけのわからない話ではないか。
 さらに、大阪都構想にしても同様である。選挙後、橋下は「都構想実現のためには、国政も視野に入れる」と語りだし、さらに目標を国会に向け始めた。地方自治法等の改正なしに「大阪都構想」が実現しないのは、最初から分かっていた話である。4年以内に云々と「スピード感」を持って実行すると言っているが、残念ながら彼らの言う「二重行政」に少々手を付けるだけで、またぞろ、舞台を変えて「国政」へと舵が切られようとしている。

<擦り寄る「既成政党」>
 少々情けないのは、選挙後の「既成政党」の対応であろう。選挙で敗れた途端に、「大阪都構想も検討する必要がある」と、民主・自民両党の中央から発言が飛び出した。2年以内に必ず来る総選挙を考慮し、国政選挙に影響を与えかねない大阪維新の会に、擦り寄ろうとしているのは明らかである。政権与党である民主党こそ、地方分権・地域主権を実現する決意と政策を明示する責任がある。ここでグラグラするようでは、先は見えているのではないか。
 確かに、府議会を制して、知事、政令都市大阪の市長をも獲得した政治勢力がどう動くか、に対して慎重に判断することは、必要であろう。
 人気はあるが、大阪府知事時代を思い起こせば、橋下に何の成果があったのか。学力テスト結果の公開をさせて、「学力」が上がったのか。WTCビルを買って、巨額の後年度負債を増やしたのは誰なのか。何がしかの成果を上げることができるかもしれないが、マイナスの方が、はるかに大きいだろう。
 
<職員基本条例案、大阪市・堺市で否決>
 さて、職員基本条例案と教育基本条例案は、もう一つの政令都市である堺市議会にも、ダブル選挙中に議員提案され、審議されている。選挙後の11月末から12月初旬にかけて、本会議での質疑、常任委員会での質疑を経て、最終本会議で、他会派からの賛同を一切取り付けることもできず、否決されている。本会議質疑の様子は、インターネットで見ることができる。(市議会のHP)
 公明・民主(ソレイユ堺という会派)・自民・共産、無所属議員が、本会議で質問に立っている。焦点となった点は、条例と地方自治法との関係(地方公務員法第5条、地方の条例制定は認めているが、それは法の趣旨の範囲を逸脱できないという規定がある)で、違法性のある条例案ではないかという点、局長級以上の職員は、準特別職とし、外部の人間を任期付職員」として市長が指名するというが、これも「任期付職員を求めた法の趣旨に反する」という点、そして人事評価において、職員を相対評価で5段階評価し、最低ランクのD評価(5%)が2年続くと免職させるという点、人事委員会が、分限処分の審査をおこなうという点などであった。
 
<ボロボロの議会質問への対応>
 インターネットで、議論の顛末を見てみたが、維新の会の答弁はひどすぎる。とにかく、「違法性は無い」とペーパーを見ながら繰り返すだけなのである。ある維新の議員は「民意は改革してほしいということであり、我々は、現行法制度上で運用されていることにも多少の疑義を持っている。現行、法制度に疑義があるのだから、完全に一致することはできない、違法性の恐れがあるのか、本当に違法なのか、そんなところに踏み込んでいこうと考えている。」と答え、むしろ「違法であって何が悪い」とも取れる発言をする有様である。良識ある議会は、当然にもこれを完全に否決したわけである。
 奢れるものは久しからずであろう。「民意」があるから、何でもできると思っておられるらしいが、選挙だけがすべてではない。
 
<大阪に「冬の時代」が・・・>
 11月19日橋下大阪市長が誕生する。すでに総人件費2割カットや大阪地下鉄の民営化など、大阪市労連に結集する労働者に的を絞った公務員攻撃が始まっている。おそらく、大阪の公務員労働運動に「冬の時代」が到来することだろう。しかし、これに耐え、効果的に反撃し、橋下の「仮面」を剥がして、地方分権と大阪の復権を実現しなければならないと思う。(2011-12-19佐野秀夫) 

 【出典】 アサート No.409 2011年12月24日

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