【投稿】牙をむく橋下・大阪維新の会 反ファッショ統一戦線の形成を

【投稿】牙をむく橋下・大阪維新の会      反ファッショ統一戦線の形成を
元田 隆文

<迫る大阪市長選挙>
11月に予想される大阪市長・府知事のダブル選挙に向けて、橋下大阪府知事を代表とする地域政党「大阪維新の会」は15日、府と大阪市、堺市を再編する大阪都の実現とそこに至る工程表を記した都構想推進大綱、府知事選と大阪市長選のマニフェスト(素案)を公表した。大阪都への移行時期を2015年4月1日とし、都による都市経営権の集中と、民営化、職員数の削減などを特色としている。
「これほどはっきりとビジョンを示した迫力あるマニフェストはない。史上最高だ」と橋下知事は大ミエをきって自画自賛する(維新の会の政治資金パーティーで)。しかし、都構想の内容は従来のものに多少色づけした程度のものでしかない。しかも、それぞれ完成版は10月末とするという。小出しにしつつ、マスコミの報道を煽り、批判的な指摘についてはそれを無原則に取り入れて修正していく、という例のポピュリズムの手法である。
詳細な分析は別途として、ここでは、これらの内容が従来明らかにされたものより一層問題の多い危険なものへと深化していることを指摘しておきたい。また、橋下知事が、自らの政治手法の危険な性格を、より露骨に隠すことなく表明しだしていることにも注意しなければならない。

<矛盾を深める「大阪都構想」>
大阪都構想に関して、この間次のようなことが報道されている。
選挙後、府、大阪・堺両市に「大阪都移行本部」を立ち上げ、知事や市長らをメンバーとする協議会を設け、両市を人口約30万~50万人の特別自治区に分割する。都は、成長戦略や警察、環境、危機管理、雇用対策など、区は、保健衛生や福祉、小中学校教育、防災などを担う。区議会のほかに「ボランティア議員」の役割を担う地域協議会も設置。区議会の定数と議員報酬はより低いコストに抑え、都と区の総職員数は現在の7割以下に。区は中核市並みとし、財源は1000億円規模とし、都区間の財源調整は、都に39%、区に61%に。また、地下鉄、バス、水道は民営化し、大学、病院などは一体経営とする。日銀や参議院など首都機能を大阪に分散するよう要請する。また、府内の市町村の合併も進める、など。
問題は、従来言われてきたことよりも「都に一層権限を集中する」こと、また、特別自治区での格差と市民サービスが切り捨てられる虞について全く解決されていないことである。大阪全域の公立26病院を地方独立行政法人によって一体的に経営するというのは、そのうちの多くの施設の廃止にすら繋がりかねない。他方、海外資本によるカジノなどの大型エンターテインメント施設などの誘致が優先課題に挙げられている。財政の建て直しと行政の効率化という名の下に、都の財源は大規模公共投資に。利権に繋がらないものは、市民のボランティアに。教育、福祉、医療は切り捨てと利権化へ。自治体の使命は、独裁とカネ儲け、そして利権に奉仕すること、と言われても仕方のないものである。

<公務員攻撃の目指すもの>
橋下知事は9月12日の維新の会合で、「大阪都構想」などに反対する大阪市幹部職員を降格させる意向を示し、また、構想実現に参画させる大阪市の幹部候補者を10月初旬をめどにリストアップするよう指示した(各紙の報道)。そして、「「政治に足を踏み込んできている市職員がいる。根こそぎ外しにかかってください」と力を込めた」(9月13日朝日)。「大阪市長選出馬を示唆する橋下知事は早くも、都構想の賛否を巡る市幹部職員の選別に乗り出した」(9月13日毎日)のである。
これに先立ち、維新の会は、5月府議会で、学校行事での「君が代」の起立、斉唱を処分で強制する条例を各党の反対を押し切って強行採決したほか、教育への政治関与を明示する「教育基本条例」や、公務員の「整理解雇」条例の提出を予定している。
これらの一連の公務員・教員への攻撃について、橋下知事や維新の会は、「公務員は、政治家である知事や市長の言いなりに黙って従うべきである」という論理を振りかざしている。これは、市民の公務員に対する不満と妬みに依拠して選挙の票にしようとするためである。同時に、独裁者の国家、公務員に対する本質的な要求が露骨に現れたものと見なければならない。公務員、教員は、国家、自治体に対して忠誠を誓うものではあっても、時々の個別権力者におもねるものではない。法令に基づき、公平、公正、継続性、に立った公務を誠実に行うべきものである。また、公務員といえども政治的な基本的人権は守られるべきものであり、職員組合などが政治的立場を表明することに何らの問題はない。
大阪市職員は、維新の会という一議会会派や別の自治体の長でしかない府知事の言いなりになることは許されるべきものではない。ましてや、現大阪市長の平松氏は「大阪都構想に反対」なのである。橋下知事の発言自体が地方自治の精神や法体系の趣旨に反するのである。
橋下知事、維新の会の狙いは、自らの独裁体制を築くため、公務員を法令に反してまでも、自らの意のままに操ろうとしたい、このために公務員攻撃をしているのである。さすがに、教育基本条例には橋下知事が任命した府の教育委員ですら反対しているという。
付言すれば、維新の会幹部は、経済産業省大臣官房付の古賀茂明氏に出馬要請したという。同氏は現民主党政権をマスコミで公然と批判しており、まさに知事のいう政治的活動をしている典型的な公務員である。自らの言動に矛盾しようが、都合の良いことは勝手に行い、法令や他者の基本的人権は侵害してもかまわない。独裁者的発想である。

<守れ!大阪市の自治>
橋下知事は、前記のパーティーで「世界の大都市と張り合えるトップじゃないと大阪の未来はない。平松大阪市長には退陣していただく」と述べた。現職の知事の発言である。何様であろうか。しかるに、マスコミでは何の批判もなく繰り返し報道されているのである。
大阪市長選挙では、平松現大阪市長は、政党を超えた支持を得るため完全無所属での出馬を予定している。しかし、共産党は渡司考一氏の出馬を決め、また、自民・公明両党は独自候補を立てる予定と報道されている。おそらく橋下陣営有利との判断の下、自らの陣営のアピールだけを考えているのであろう。こうした候補者乱立は橋下・維新の会陣営を有利にするだけであろう。自民・公明の陣営においては、橋下路線がいかに危険なものであるかの認識も薄いのではないかとすら危惧される。いかに国政が末期的状況にあるにせよ、大阪の地方自治と市民生活を守るために、反橋下・維新の会路線という一点で結束し、平松現市長を統一候補として、その再選を期することが望まれる。

【出典】 アサート No.406 2011年9月24日

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