【投稿】総選挙と同化した東京都議選

【投稿】総選挙と同化した東京都議選

<<都議選で麻生に復讐する>>
 東京都議会議員選挙の投開票日7月12日まで、1か月を割った。告示は、7月3日であり、本来は終盤戦のはずであるが、情勢は急速に変転している。
 ここ1週間で、都議選の動向を判断する上で重要な2つの事件が立て続けて起きた。
 一つは、千葉市長選で、民主推薦の31歳熊谷氏が、52.9%の得票で当選したことである。東京都心部への通勤圏内であり、住民は「千葉都民」とさえいわれている。政治意識と投票行動において、「東京都民」と異同はなく、都議選にも同じ傾向が期待される。
もう一つは、警視庁による統一教会幹部逮捕である。容疑は、霊感脅迫印鑑商法である。系列政治部隊と見られている国際勝共連合は、永年にわたり首都圏の各級選挙で自民党に活動家を派遣してきた。この時期での幹部逮捕で、選挙事務所の行動隊配置に、相当の支障が出る候補者もいるようだ。
 馬の鼻先につけたニンジンのように、衆院解散・総選挙を小刻みに引き伸ばされてきた有権者は、その代償をまず都議選において得ようと、国政と都政を一体の塊りとして意識してきているようである。6月に入り、各報道機関の世論調査が続き、その結果は、「麻生自民党」に対する不支持評価が、そのまま都議候補への選択にスライドした様相を強めている。

<<「争点は石原」ではなくなった>>
 6月5~7日に、東京新聞は、都議選に関する世論調査を行なった。その結果は、石原知事周辺にとっては、「分かっていたけど、でも衝撃的」であった。2007年参院選よりも、都政与党(自民・公明)にとって悪い傾向を示している。民主党は、黒い霧刷新都議選(半世紀前1965年)の社会党45議席に迫る勢いを持ってきた。
 石原知事は、対立軸を「石原支持」に移そうと必死になっているが、麻生国政の否定的インパクトがあまりにも強く、その目論見は効を奏していない。
 その上、麻生自身が自民都議全候補者事務所訪問を表明(「異例の自民候補予定者全員の応援入り」毎日)し、14日には「都議選、負けると極めて深刻」(産経)と演説する始末である。現時点でも麻生国政の評価によって、都議選が乗り越えられると考えているのだろうか。それとも、情勢や都民の意向などまったく読めずに、また助言できる参謀が存在しないのだろうか。
(東京新聞調査では、石原都知事支持は、
・支持する41.4%
・支持しない23.3%
・どちらともいえない34.2%
となっている。)

<<東京新聞世論調査の結果>>
 東京新聞都議選調査の数値を追ってみる。
1.投票政党は、
・自民20.3%+公明7.9%=28.2%
・ 民主32.5%+共産4.9%+社民1.3%
+生活者ネット1.1%=39.8%
・無所属6.4%
(なお、同じ調査で、次の衆院選比例での投票政党は、
・自民20.3%+公明7.8%=28.1%
・ 民主36.5%+共産4.8%+社民2.6%
+国民新党0.3%+新党日本0.2%=44.4%
となり、都議選と近似値を示している。)

2.政党支持は、
・自民19.3%+公明7.3%=26.6%
・民主21.2%+共産3.8%+社民0.8%+生活者ネット0.7%=26.5%
・支持政党なし44.1%

3.投票に行くかは、
・絶対行く53.8%+たぶん行く29.5%=83.3%
(前回2005年都議選調査は76.3%で、実際の投票率は43.99%)

<<選挙の目標>>
都議定数は127である。
前回当選は、
・自民48(得票率31%)+公明23(得票率18%)=71(得票率49%)
・民主35(得票率25%)+共産13(得票率16%)+生活者ネット3(得票率4%)=51(45%)
・その他1(得票率1%)+無所属4(得票率6%)=5(得票率7%)
ところが、2007年参院選(比例)では、自民26%、公明12%、民主39%、共産9% となっていた。このときの投票率は57.86%であった。

 個別の特殊な選挙区事情はあるが、あえて概観してみると、
(1) 都議の選挙区は42あり、定数は1から最大8となっている。
(2) 定数1人区は7選挙区あり、前回は、民主の2勝5敗であった。今回これが逆転すると、都議会与野党差は、それだけで6も短縮する。
(3) 2人区は16ある。基本的には1:1になる。
(4) 3人区は5ある。公明が入り2:1となる。
(5) 4人以上区は14ある。複数候補か会派乱立となる。
これらを集計すると、石原与党の自民+公明の過半数割れは十分に見込めることになる。ではそれは、民主の過半数獲得を意味することになるのか。

<<麻生NO!>>
 ところが、民主の立候補予定者は、過半数64を下回る60にとどまる。民主の目標は、都議会における比較第一党になることに過ぎない。
 この候補者が足りなく議席獲得目標を高く置けないのは、前回選挙の35という低水準が大きく影響している。小選挙区制ではない場合、一挙の挽回は困難なことを学ばなければならないだろう。
 自民候補者の多くが、選挙区内ステイク・ホルダーの代表者という性格を持つ。いわゆるどぶ板活動のベテランである。(反面、民主は、全42選挙区に候補者をそろえるために、落下傘さえ用いた。)
 ところが、有権者の判断基準は、麻生自民党に対する評価を基軸にしているようだ。前述したように、麻生自身も「わが身中心主義」を推し進めている。「比較第一党獲得」と宣言し、首相自らハードルを高めた。
 「麻生NO!」と民主が掲げ、麻生自民党は「麻生YES!」とそれに応えた。この構図が、都議選における民主の有利な局面を切り開いてきた。
 さらに、名古屋市長→千葉市長と続いた大都市での首長選挙が、来るべき衆議院議員選挙の前哨戦となった。
 都議選は、さらに強く衆議院議員選挙と一体となった様相を示すだろう。都議選勝利(自民「比較第1党」+公明による過半数獲得)への夢想を、完膚に打ち崩すために、もう一歩の奮闘が必要になっている。
【注】都議選では、石原都政に対する評価も、改めてし直さなければならない。(都民の主要関心事も、前回とは大きく転換してきている。)しかし、今回は論旨を絞ったためそこまで言及できなかった。
(2009.6.16 和田三郎)

 【出典】 アサート No.379 2009年6月21日

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