『詩』 名もなき党員たちよ
大木 透
特権もたぬ
名もなき党員たちが
声をひそめる
ついぞ最近まで
党エリートであった者たちが
党本部を再占拠し
群衆を
魔女狩りに
かりたてる
俺は憶えている
初来日の
ヤコブレフを
党決定ばかり繰り返す
つまらんパネラーだった
ビソツキーが
絶唱していた時
唾を吐いて通りすぎた
大男は
一体誰だったのだろう
いま
おかしなことに
ロイが
保守派と罵られ
嘲笑されている
ブレジネフの
手先になって
彼を
虐げたのは
誰だ
ロイは
昔に戻れ
新旧ノメンクラツーラの
厚い仮面を
剥ぎ取れ
ミハイルよ
エリツィンよ
その他云々よ
君達は
潔白と言えるのか
特権もたぬ
名もなき党員よ
寄り添って
嘆いている時ではない
いまこそ
ロイを
党首に仕立て
告発者として
立ち上がれ
(1991.8.31)
【出典】 青年の旗 No.169 1991年11月15日