青年の旗 1983年2月1日 第72号
【主張】 日韓・日米首脳会談と日本の軍事大国化
<異例の日韓首脳会談>
一月十一、十二日日韓首脳会談が開催された。日本と韓国の経済協力問題を巡って、一年以上ももめつづけていた両国の関係からみると、今回の首相訪韓は突然であり、異例といえるものである。会談で決定されたことは、総額四〇億ドルの対韓援助、より緊密な形での安保協力である。中でも、発表された共同声明の中では、「朝鮮半島の平和と安全維持は日本を含む東アジアの平和と安定に緊要である」とされ、日本としても「国力に相応する役割を遂行する」と明言された。
今回の首脳会談の背景には、直後にひかえた日米首脳会談があったし、アメリカのレーガン戦略があった。反ソ包囲網を確立しようとするレーガンにとって、全斗煥体制の韓国は重要な拠点であり韓国と日本の関係の強化、とりわけ軍事面での結びつきが強められねばならないのである。
<日米首脳会談の危険な合意>
中曽根首相は、訪韓に引き続いて、十七日渡米、レーガン大統領との首脳会談を行った。八十三年度予算での軍事費突出、武器輸出三原則をふみにじる対米軍事技術供与の決定、日韓会談の成果–対韓関係の修復、経済協力問題の解決、日韓安保協力の実質化など、数々の手みやげをもって会談にのぞんだ。中曽根は、「日米は太平洋をはさんだ運命共同体」「日本列島は不沈空母のような存在であるべきだ」「日本列島をとりまく四つの海峡の完全な支配権を持つことだ」などと発言し、日米の同盟強化、日本の軍事大国化を打ち出した。かねてから、日本に対する軍事力増強要求を強めてきたアメリカのレーガンにとっては、中曽根の一連の発言が期待に沿うものであることは明白であり、その発言をそのまま日米の合意にしたのである。
<軍事大国化ねらう中曽根外交>
中曽根の訪韓・訪米によって、日・米・韓軍事同盟を新たな段階へと強めようとする支配者側の意図は明らかになった。レーガンの戦略から位置づければ、欧州からアジア太平洋地域におよぶ帝国主義陣営全体の安保体制に組み込み、アジアの前進基地化をねらっているものに他ならない。
我々が見すごしてならないのは、中曽根の果している役割である。彼は、独占資本の意図を代弁し、積極的に軍事大国化を押し進めている。とりわけ、アジアにおいては、アメリカの力の後退の中で、日本帝国主義が軍事をはじめ様々な面で脅威となってきている事実は重大である。
<中曽根の軍事大国化路線に歯止めを>
中曽根の危険な性格は、いよいよ明らかである。その姿勢は、一連の国会答弁のやりとりに見られるとおり、極めてタカ派であり、独占資本の意向をうけて、反動的な政策を進められるところまで進めるという開き直りで貫かれている。こうした中曽根の性格に対して、国民諸階層はもとより、自民党一部にまで危惧の念が出てくるなど、極めて強い反発が高まってきている。日・米・韓の軍事同盟の強化、日本の軍事大国化をねらう中曽根内閣の危険な策動と対決する闘いも、当然広範な闘いとならぎるを得ない。大衆的な統一闘争の構築で、中曽根の危険な意図を粉砕し、日本の軍事大国化への質実化を阻止するために団結しょうではないか!