【投稿】ウクライナ戦争は、いかがわしい商売だ

【投稿】ウクライナ戦争は、いかがわしい商売だ

                         福井 杉本達也

1 ウクライナ戦争は、いかがわしい商売

4月30日、ペロシ米下院議長が突如キエフを訪問した。日経新聞によれば、ペロシ氏は「330億ドル(約4兆3干億円)に上る追加支援の早期承認に意欲を示し」「うち200億ドルは武器・弾薬など軍事支援」であり、2月24日のウクライナ侵攻以降「累計約37億ドルに達する米国の軍事支援を大幅に増額する構えだ」と報じた(日経:2022.5.2)。これに先立ち、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官がキエフを秘密裏に訪問。オースティン国防長官は4月25日、ポーランドでの記者会見で、ロシアが「弱体化することを望む」と明言した(日経:同上)。こうした一連の発言は「経済制裁や貿易制限を通じてロシアの国力をそぎ」・ウクライナへの軍事支援を通じて、米ロの「パワーバランスを大幅に改善する」狙いがある(日経:同上)。

属国である日本では、宗主国である米国の戦略にのっとり、「戦争の長期化を避けるには、制裁する側も犠牲を払う覚悟がいる」(共同通信:金沢秀聡:福井:2022.5.3)と「経済制裁」を声高に叫ぶものばかりである。鈴木宗男氏や山本太郎氏・鳩山由紀夫氏など、極少数を除き、骨のある政治家はほとんど駆逐されたが、宗主国米国にはまだ骨のある政治家がいるようである。

元米下院議員のロン・ポール(Ron Paul)は「1935年、米国のスメドリー・バトラー少将は、『戦争はいかがわしい商売』(War is a racket)と記した。」「ごく少数の人々の利益のために、多数の人々を犠牲にして行われる。戦争から少数の人々が莫大な財産を手にしている。」と書いている。ポールはより具体的に「戦争で大きな利益を得ている特別な利益団体のひとつが、米国の軍産複合体である。レイセオン社のグレッグ・ヘイズCEOは最近、株主総会で次のように述べた。今日ウクライナに輸送されているものはすべて、もちろんDOD(国防総省)やNATOの同盟国からの備蓄品であり、それはすべて素晴らしいニュースだ。いずれ、我々は補充しなければならないのでビジネスに利益をもたらすだろう。彼は嘘をついていない。レイセオンは、ロッキード・マーチンやその他無数の兵器メーカーとともに、ここ数年見たこともないような大儲けを楽しんでいる。米国はウクライナに30億ドル以上の軍事援助を約束している。彼らはそれを援助と呼んでいるが、実際には企業福祉だ。米国は武器製造業者に何十億ドルも支払い、武器を海外に送り出しているのである。」と書いている(耕助のブログ:2022.4.29)。オースティン米国防長官は退役後大手軍需産業であるレイセオン・テクノロジーズの取締役に就任しており、軍産複合体の代理人である。

ポールはさらに続けて「ジャベリン対戦車ミサイル(レイセオン社とロッキード・マーチン社が共同製造)のような兵器の出荷は、ウクライナに到着するとすぐに爆破されてしまうそうである。レイセオンは、このことをまったく気にしていない。ウクライナでロシアに爆破された兵器が増えれば増えるほど、国防総省からの新たな注文が増えるからだ。旧ワルシャワ条約機構加盟国で、現在NATOに加盟している国もこの詐欺に加担している。彼らは30年前のソ連製武器を廃棄し、米国や他の西側NATO諸国から最新の代用品を受け取る方法を発見したのだ。」と語る(耕助のブログ:同上)。「ドイツはウクライナへの戦車送ることを承認した」と報道されたが、送られるのは「ゲバルト」という対空システムであり、ショルツは米国が要求した、「本物の戦車や装甲歩兵輸送車の代わりに、これらを提供することに決めたことは、良い方法です。それは、ウクライナ人が戦争が終わる前にそれらを使うことができないことを保証します。2門の35mm機関砲を搭載したゲパルトシステムは50年以上前のものですが、…ドイツ軍は2010年に最後の1隻を退役させた。それ以来、それらは保管庫に保管されています。」(MoA Politico 2022.4.27)という代物である。ウクライナへの軍事援助とは米軍とNATO諸国の在庫一掃セールである。

2 ウクライナを借金漬けにする米「レンドリース法」

米国の中立法を回避するために第二次世界大戦中に開発された「レンドリース」法を使って、アメリカ兵器をウクライナに送る計画は、米議会によって4月28日に承認された。第二次大戦中のレンドリースの物品は英国に1ドル当たり約10セントという底値で売却され、その額は10億7500万ポンドに上った。返済は2 % の金利で50年間に渡って行われ、最後の返済が終わったのは2006年である。

奇妙なことに、この法案はロシアがウクライナ侵攻をする1か月以上も前の2022年1月19日に、共和党のジョン・コーニン上院議員によって、ウクライナ民主主義防衛レンドリース法(S.3522)として提出された。それは米議会の公式:Congress.gov から確認できる。レンドリースは無料ではなく、何世代にもわたるウクライナ人は、プログラムの下で、米国がキエフに供給する兵器の代金を支払う。ウクライナ国民の多くの将来の世代は、米国が届けた兵器、弾薬や食料供給に支払い続けなければならない。レンドリース法は軍事貸与によって将来にわたりウクライナを借金漬けにすることにある。しかも、これは米国によってロシア軍のウクライナ侵攻の前から計画されていたということである。

カテゴリー: ウクライナ侵攻, 平和, 政治, 杉本執筆 パーマリンク

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