【投稿】「パリ協定」を離脱するトランプ政権

【投稿】「パリ協定」を離脱するトランプ政権
         —日本も温暖化対策を転換せよ—
                       福井 杉本達也 

1 地球温暖化説を巡るマスコミの大嘘
トランプ米大統領は6月1日、地球温暖化対策の国際ルール『パリ協定』から離脱すると発表した。朝日新聞の3日の社説はこのトランプの離脱表明に対し「米国第一の身勝手な振る舞いに、怒りを禁じ得ない」と批判した。しかし、この社説には数々の嘘がちりばめられている。①「先進国と、成長の恩恵を十分に受けていない新興国・途上国が、利害対立を乗り越え…190を超える国が温室効果ガス削減に取り組むことになった。協定は画期的」というが、パリ協定では温暖化ガス削減の数値目標は「通知」のみであり「義務」ではない。温暖化対策推進論者である東北大学の明日香壽川氏でさえ、「パリ協定の誕生は京都議定書の死を意味する。名前だけではなく、京都議定書が持っていた各国目標に対する法的拘束力も消えた。」(明日香:「パリCOP21:終わりと始まり」2015.12.24)と嘆いている。つまり、協定で各国が提示している削減目標をすべて達成しても、協定の目標である「世界の平均気温上昇を、2度未満」にできないことが最初から分かっており、対策推進論から見ても、画期的な国際協定とはいえない。②「海面の上昇で国土が水没しそうな島国もある」というのも嘘である。「1978年にツバルが独立して,首都がこの島に定められると, 100~200人だった人口が現在は5000人近くまで急増して、海水がわき出す凹地に居住域が拡大していったというのがツバル水没の真実です。昔はこんなことはなかったのではなく,昔はここには人が住んでいなかった」(「ツバルで異分野を俯瞰する」茅根創:「科学」2016.12)のである。③「異常気象による災害や凶作は世界各地で頻発している。」というが、これは何の根拠もないデマである。異常気象と温暖化の関係は科学的に全く証明されてはいない。全ての異常気象を地球温暖化のせいにしたのではたまったものではない。マスコミは地球温暖化説においても、嘘を垂れ流す装置と化している。

2 温暖化はCO2ではなく太陽が主役
 太陽は我々に光と熱という電磁波と宇宙線を送ってくる。気候を考えると光と熱の電磁波が関心事となるが、衛星による大気圏外での測定結果では電磁波の強度はほとんど変化しないことが明らかとなっている。したがって、気候変動の外的要因として「太陽の活動が地球の気温に影響することはほとんどない」として太陽活動は不当に軽視されてしまった。しかし、宇宙線の強度の変化の方は雲量の増減をもたらし、気候変化をもたらすことが明らかとなってきた。宇宙線は大気とぶつかってイオンが生じ、イオンが増えることによって、イオンをタネにして低層雲がたくさん生まれる。低層雲は太陽光を反射するため地表の気温を低下させるのである。深井有氏によれば、太陽磁場は20年前から急速に弱まり、宇宙線強度は強くなるので、雲が増え気温が低下する。この結果CO2による温暖化が打ち消され、寒冷化する可能性が高いとしている(深井:『地球はもう温暖化していない』)。地磁気が反転する時も宇宙線強度は強くなる(かがくアゴラ「78万年前磁場で地球寒く」北場育子 日経:2017.6.2)。

3 パリ協定脱退はグローバリズムとの決別
 5月末にイタリア・シチリア島で開催されたG7サミット後の米国と他の諸国との関係はぎくしゃくしたものとなった。Trends Watcherは「トランプ大統領はホワイトハウスでの公式のパリ協定脱退表明で『グローバリゼーションがアメリカの利益を損なうもの』であるとして、暗に欧州を率いるドイツ(メルケル政権)を批判した。パリ協定の実態が(排出量税金として)アメリカの富を分配する機構になっているという批判は的を得ている」と。対する「メルケル首相は『パリ協定の取り組みへの反対がグローバリゼーションに逆らうもの』として、グローバリゼーションを代表するドイツの姿勢を明確に示した。『グローバリゼーション』を根拠にして欧州をまとめ、移民を受け入れるメルケル首相の本音が垣間見える」と評している(Trends Watcher net 2107.6.5)。「パリ協定」の中身である地球温暖化の防止に特に熱心であるわけではない。グローバリズムの中での交渉手段だからである。
 トランプ氏が反グローバリズムの旗を掲げるのには大企業からの支持もある。FINANCIAL TIMES米国版編集長のジリアン・テッドは「トランプ氏の就任前から、経営幹部はグローバル化への妄信を捨て始めていたということだ。良くも悪くもローカル化は進む」とし、理由として「中国の賃金コストの相対的な上昇」や「大規模なサプライチェーンの構築・維持には政治リスクや物流リスクが伴うと経営者が気付いた」ことなどをあげ、今期でGEのCEOを退任するイメルト氏は『最低の労働コストを追求するビジネスモデルは過去のものだ』とする(日経:2017.6.5)。

4 『地球温暖化』問題は冷戦後の新たな『プロパガンダ』として始まった
 オーロラ研究の第1人者で、アラスカ大学の赤祖父俊一氏は、原子力発電と結びつけてイギリスの科学者集団の意図を指摘している。「その原因については、冷戦時代まで遡らなければならない。冷戦時代には米ソ両国が、世界の人類を何回も抹殺できる原爆を抱えており、実際核戦争勃発の可能性も何回かあった。したがって世界中の科学者がその危機を危ぶみ、核兵器の撤廃について数百人の科学者が一致して署名したこともあった。」「ところが旧ソ連邦の崩壊が始まると冷戦の危機が退き、一部の指導的立場にある科学者などは、将来の大型研究プロジェクト創出のために世界的問題を摸索していたに違いない。その直前(1988年)、コンピュータによる将来の気候変動を研究していた米国のグループが炭酸ガスの放出を続けると100年後には温暖化が重大な影響をもたらすことを予測した。指導的立場にある科学者(核兵器の撤廃を叫んでいた科学者を含めて)が『地球温暖化』という問題をプロパガンダとして取り上げたことは容易に考えられる。『プロパガンダ』という言葉を使ったのは科学以外に政治的含みがあったからである。つまり、英国の科学者らが音頭を取ってこの問題を国連に持ち込み「Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)」という組織を設立したのである。もともと英国では原子力発電を促進するために温暖化を持ち出すことが一つの理由として使われたようである。IPCCは学会でもなく、特に権威のあるものではない。英国の科学者などが中心になって温暖化問題を国連に持ち込み、IPCCを設立し世界中の学者を動員した腕はさすがと言わざるを得ない。」(赤祖父:『正しく知る地球温暖化』p146)。
 「しかし、100年先の温暖化の脅威を謳うだけで世界を動かせるわけがない。IPCCがモンスター化したのは経済原理、平たく言えば地球温暖化は金儲けの種になる」「国のレベルで商売になると判断されたからに他ならない」「気候変動枠組条約締約国会議(COP)は、現実には地球温暖化を種とした国家間の商取引の場」であり、EUは「排出権取引で儲けられると踏んでいた」からである(深井有:上記p156)。「空気のような存在」という言葉があるが、IPCCは人間の生活になくてはならない社会的共通資本である空気さえも儲けの種にしたのである。精神的腐敗の極みである。

5 環境問題を巡る中国の事情
 中国がパリ協定を批准したのは、世界第一のCO2排出国としての国際的批判をかわす意味もあるが、高度成長の結果、国内のPM2.5などを含む凄まじい大気汚染を放置できなくなったからである。EUは米国のパリ協定離脱後も中国との連携でパリ協定を推し進めていくというストーリーを描いたが(日経:2017.6.3)、結局、首脳会談では、EUが中国をWTO協定上の「市場経済国」と認めないという貿易問題を巡る対立が深く、発表予定だった気候変動を巡る共同声明は出せなかった(共同:2017.6.4)。中国としては、温暖化対策の国際的枠組みの大きな責任を追うことには後ろ向きである。最優先課題は国内の大気汚染の改善であり、結果としてCO2が減ればよいのである。成長の足かせとなるような排出総量の削減には否定的である。パリ協定はグローバリズムの中で、中国の権益を守るための交渉の一つの手段に過ぎない。

6 大気をも商品化するグローバリズムの極限形態
 パリ協定を離脱したトランプ政権が環境政策の理解が深いかどうかは疑問であるが、少なくとも反グローバリズムである。日本ではトランプ政権は温暖化を認めず「反科学的」であるとする論調が目立つ。「大多数の科学者」が「人間活動が温暖化を深刻にする」という考えを支持するからといって「科学的」というわけではない。これまでも米国では温暖化予測の不確かさの要素として、○太陽光を反射・吸収する大気中の微粒子、○熱の量を変える雲、○海洋循環の影響、○太陽活動や宇宙線の変動、○大規模噴火などをあげられ、科学論争がなされている(日経:2017.6.5)。日本はトランプ政権の政策転換を奇貨として、温暖化対策一辺倒の政策を改めるべきである。①気候変動の原因はCO2だけではなく、太陽活動が重要である。②CO2による温暖化と太陽活動による寒冷化は打ち消し合い、今後、気温は横ばいか寒冷化する。③CO2の増加そのものは何ら害を及ぼさない(深井:同上p175)。
 地球温暖化論は、ついに我々生物が呼吸する大気までをも商品化するというグローバリズムの究極形態である。大気中のCO2が増えれば植物の生育はよくなる。あたかも人体に害を及ぼすかのように大気中のCO2を減らそうとする政策は全くの無駄である。CO2を減らすために石油や石炭などの化石燃料の使用を減らすというのは逆立ちした論理である。将来の世代に備えて化石燃料の使用を控えるというべきである。ましてや、CO2を減らすために原発を推進するというのはとんでもない話である。一旦、環境中に漏れ出た放射能は膨大なエネルギーを投入しても回収は不可能である。

【出典】 アサート No.475 2017年6月24日

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