【投稿】堺市で維新敗北 都構想に赤信号

【投稿】堺市で維新敗北 都構想に赤信号

去る9月29日投票の堺市長選挙では、大阪都構想に反対する現職の竹山修身氏が当選を決めた。
(竹山修身(無所属)198,431票 西林克敏(維新)140,569票)

今回の選挙の特徴は、投票率が大きく伸びたことであろう。投票率は50.69%であった。堺市長選挙の投票率は、前々回32.39% 前回が43.93%であり、4年前の選挙から7%近い伸びとなった。増えた票が竹山陣営に大きく流れたのである。従来、無党派層票の大半を獲得してきた維新戦法は堺市では全く通じなかった。大阪都構想に対する拒否の姿勢を堺市民は示したと言える。
竹山陣営は、「堺はひとつ!」「堺をなくすな!」と、大阪都構想による堺市の分割反対のみを掲げた。一方の橋下維新は、大阪市の解体によって「一つになる大阪」に堺も合流することで、堺が発展できると主張した。堺分割論は元々受けが悪く、この問題を回避して、論戦を挑む道もあったはずだが、橋下が押し切り、大阪都構想1本勝負とも言うべき戦略に出たことが、裏目に出た。橋下維新の戦略的敗北である。下降期には、情勢が読めなくなる、人気がまだあると思い込む、強気発言連発で人気を博してきたが、落ち目になっても、それが通用すると考える、まさに「負け」パターンにはまったわけである。
ただ、これで橋下維新の流れを止めたと喜ぶわけにはいかない。今後3年間は国政選挙が望めない中、橋下維新は、これから2015年4月のリミットまで、大阪市解体に向け必死になるだろう。
一方、勝利した竹山氏だが、バラマキ政策はあっても、都市戦略は皆無という人物である。今後「堺の停滞」は約束されたも同然である、と私は考えている。

<維新、慢心の選挙で敗北>
実は、竹山陣営の政策には、政令都市のメリット云々という表現はあるものの、具体的な都市政策は無いに等しいものだった。中心市街地の活力低下は目を覆うばかり、北大阪や阿倍野の商業施設に人々は流れ、北区を除いて人口も減少。活力を失った泉北ニュータウンは、高齢化と人口減少が同時進行している。課題は山ほどあるのに、対応できていない。本来こうした課題、その解決策をめぐる論戦こそ市長選挙に求められていた。
しかし、橋下維新自身も、この論戦を回避し、大阪都構想の是非を中心においた。竹山陣営も同様に政策は「堺はひとつ」のみ。堺における大阪都構想問題には決着は着いたのであろうが、シングル・イシュー選挙は、堺市民にとっては、不毛な選挙であったとも言えるのではないか。

<大阪都構想の行方>
今回の選挙について、大阪都構想が問われた選挙であるとマスコミは伝えてきた。大阪府・大阪市では、特別区設置のための法定協議会が設置され、区割り案・財政調整の段階にあって、2015年4月までに大阪市の特別区への移行ができるかどうか。この動きに、同じ政令都市堺市が加わるのか、どうかは、確かに大きな焦点であった。
選挙の結果で、堺市の大阪都構想への参加は閉ざされた。2015年4月までに、住民投票を行い大阪市を特別区に移行させるという方針は、堺市長選挙の敗北によって勢いを挫かれたのは事実だろう。
2015年4月は、次の統一地方選挙がある。この時点までに、住民投票を終えるというのが、橋下維新のもくろむ大阪都構想スケジュールであろう。しかし、区割り案も財政調整策も、現時点でまとまっていない。大阪市会では、維新派だけでは過半数に及ばず、公明の同調が必要条件と言える。今回の堺市長選挙で、公明は自主投票と表明していたが、明らかに公明票は竹山支持にまわった。政権与党の自民・公明が、維新をけん制したということも考えられる。公明が自公路線を貫き、大阪市会でも維新派が孤立する場合、大阪都構想の実現は有り得ないのである。
橋下の大阪府知事当選に始まる大阪の停滞、人権無視、地方自治の破壊、不正常な労使関係などを生み出した維新勢力の解体に向けて奮闘しなければならない。(佐野秀夫)

【出典】 アサート No.431 2013年10月26日

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