【投稿】朝鮮半島和平の行方  

【投稿】朝鮮半島和平の行方  

<激変した朝鮮半島情勢>
 10月2日~4日、平壌で開かれた第2回南北首脳会談は、韓国の盧武鉉大統領と北朝鮮の金正日総書記が、会談の成果を盛り込んだ共同宣言=「南北関係発展と平和繁栄に向けた宣言」に署名し終了した。
 宣言では両国が経済、政治分野などで両国間の往来、交流を推進するとともに朝鮮半島の非核化、休戦状態にある朝鮮戦争を終結させ、恒久的和平の実現に向け、全力を傾注することが明らかにされている。
 今回の首脳会談は、今年2月の核問題に関する6カ国協議での合意以降、米朝協議の進展から、安倍政権の崩壊へと劇的に変化した情勢のなかで開催された。日米はこれまで朝鮮半島における民族主導の和平に対して、干渉をして来たが、政策転換と政権交代により韓国、北朝鮮はほぼフリーハンドで会談に臨むこととなった。
 朝鮮戦争から冷戦時代においては、米ソのくびきのなかで翻弄されつつ、時にはそれを自らの独裁政権の正当化に利用してきた、南北両国であるが、冷戦崩壊後、民主化を達成した韓国と、金日成亡き後の北朝鮮は、新たな環境のもとでの存立を模索してきたといえる。
 それが2000年の第1回首脳会談として、具現化したものの、翌年の9,11テロによるブッシュ政権の対テロ戦争=「悪の枢軸」発言=イラク侵攻という緊張激化策のもと、和平進展は停滞した。
 さらに、北朝鮮の核武装計画の推進、とりわけ昨年10月の「核実験」により緊張は高まったが、今年に入っての急激な局面変化により首脳会談開催の環境は再び整ったのである。
 ただ、首脳会談の切望度については、大統領選挙を控える盧大統領側がより大きく、本来なら金総書記がソウルを訪問するのが筋であるにもかかわらず、訪朝するなど、大幅な譲歩をしたのは事実である。

<朝鮮戦争終結、非核化へ>
 共同宣言では、朝鮮戦争について「南北は現在の休戦状態を終結させ、恒久的和平を構築するという共通認識」のもと、終結宣言に向け「3~4か国による会合を開催」すると述べている。
 これに関し、中国政府は劉建超外務相報道局長が記者会見で「中国は停戦協定の重要な締結国である。朝鮮半島、北東アジア地域の平和メカニズムの問題で、重要で建設的な役割を果たす」とのべ、積極的な姿勢を示している。
 アメリカとしても、先にヒル国務次官補が「朝鮮戦争の休戦協定に代わる朝鮮半島の恒久的和平体制を目指す機構の創設」を提案しており、ブッシュ大統領も盧大統領との電話会談で「4カ国会談」に賛意を示したという。
また、共同宣言を踏まえ、11月には南北国防相会談も予定され、軍事境界線付近における緊張緩和、衝突防止策が具体化されていくこととなっており、朝鮮戦争は実態的にも国際法規上も終結へ向かうこととなる。
 こうした動きと連動し、6カ国協議の進展も加速化している。アメリカ政府はニューヨークで、北朝鮮と実務者レベルの協議を行い、金融問題やテロ支援国家の指定解除など、米朝間の問題をテーマ別に議論する分科会の設置について検討した。
一方、宋旻淳韓国外交通商部長官は10月8日、朝鮮半島終戦宣言に向けた4カ国首脳会談を、北朝鮮核施設の無能力化を前提に推進することを明らかにした。 宋長官は「非核化と平和体制は両輪の輪のように並んで進行する」との認識を示した。
こうした流れから、来年初めまでには、韓、朝、米、中の4カ国会談が実現する可能性が大きい。年内に「無能力化」が達成できれば、連続して「朝鮮戦争終結」「テロ支援国家指定解除」に進むことが考えられる
 さらに、北朝鮮の核施設「無能力化」に向け、平壌入りしたアメリカの専門家チームは、年内の「無能力化」実現のため、具体的な計画策定を進めている。

<政策転換せまられる日本政府>
 このような環境変化に日本政府は対応できていない。小泉―安倍政権下であまりに硬直した北朝鮮政策の転換は容易ではないだろう。福田政権は北朝鮮への経済制裁延長を決定した。ミャンマー軍政への制裁に関し「中国、ロシアが不参加では実効がない」と消極的なのに比べると、明らかなダブルスタンダードである。
 しかし、日本政府もいずれは軌道修正を余儀なくされるだろう。福田首相は記者団の質問に対し、在任中の訪朝―日朝首脳会談の可能性に言及した。タイミングとしては6カ国、4カ国会談の日程をにらみながら、解散総選挙への影響を考慮し進められるだろう。福田政権としては、小泉政権のように拉致被害者帰国を最大限利用したいところであろう。ところが先の首脳会談で金総書記は盧大統領に対して「拉致日本人はもういない」と言い放ったという。政府はこの発言に対し、無視を決め込んでいるが、今後「進展」があったとしても「遺品の返還」くらいが関の山ではないか。
 拉致問題を日朝交渉の機軸にする限り事態は動かないのは明白である。朝鮮半島の非核化、東アジアの緊張緩和に日本がどう関わるかが問われているのであり、国会での論議の深化、総選挙での争点化が望まれる。(大阪O)

 【出典】 アサート No.359 2007年10月20日

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