【投稿】参議院選挙 勝利のカギは野党共闘の前進だ!

【投稿】参議院選挙 勝利のカギは野党共闘の前進だ!

7月の参議院選挙まであと5ヵ月を切った。一強多弱と言われる中、少なくとも自公と改憲勢力を3分の2以下に減少させることができるかどうかがメルクマールと言える。そこで、自公に対抗する野党勢力に問われているのは、如何に野党勢力の足並みを揃え、一人区(32選挙区)での統一候補を実現できるかどうかである。
そこで、筆者が把握している全国の状況について整理しつつ、今後の課題について考えてみたい。
複数区では、6人区(東京)、4人区(埼玉・神奈川・愛知。大阪)、3人区(北海道・千葉・兵庫・福岡)2人区(茨城。静岡・京都・広島)、そして一人区が32選挙区という中、一人区について、見ていきたい。

<15区(県)で、一本化進む>
共産党候補の去就問題を残しているとは言え、15県で野党統一候補、または立憲民主党と国民民主党との間で調整が進み、候補者の名前が明らかになっている。栃木・群馬・石川・長野・岐阜・三重・奈良・和歌山・岡山・愛媛・長崎・熊本・大分・鹿児島・沖縄である。無所属での野党統一候補擁立となっている県もある。
東北6県は、現状ではまだ調整が進行中である。前回の選挙では東北6県では、野党候補が勝利しており、統一・共闘が実現すれば大きな力となる。新潟は、前回選挙では野党統一候補が勝利、さらに原発再稼働問題を焦点とした2度の知事選挙を通じても野党統一を実現、地域レベルまで「市民連合」が活動している地域である。
問題は残り10選挙区の状況である。滋賀では立憲・国民両党間の調整が難航している。すべての一人区での調整が求められている。ほとんどの一人区では、共産党は候補者の擁立を行っているが、野党共闘・市民共闘重視との方針であれば、候補1本化のための決断も共産には求められており、野党共闘路線の本気度が試されている。

<2人区では若干の混乱>
2人区では、自公・野党が一人ずつ当選ということが最低求められるわけだが、茨城では立憲・国民間で問題が起こっている。現職の国民民主党候補が、立憲民主党への鞍替えを表明。原発関連の電機・電力系労組の力が強い連合との間で軋みが生じている。他方、安倍政権側は自民候補2人擁立の動きも出ている。両党での調整が課題である。京都でも立憲・国民からそれぞれ立候補の動きがある。広島では、現職で野党は一本化している。
このように、2人区では、茨城・京都で、立憲・国民間での競合問題が惹起しており、野党共闘とは名ばかりとなっている。

<3・4人区で野党の戦い方が問われる>
3・4人区には、自民2、または自公で2名が立候補し、野党と激突という構図である。4人区では立憲・国民・共産・自民・公明がそれぞれ立候補する構図となる。前回3人区の北海道では、2議席を野党が獲得。4月の北海道知事選挙では、野党統一候補が実現し、自公候補との一騎打ちとなり、参議院選挙の前哨戦という状況になっている。すでに、共産党を含む全野党と市民連合が石川候補と政策協定を結ぶ方向となっており、注目されている

<立憲民主党と国民民主党、分裂の構造>
こうした選挙区状況を見てみると、野党共闘に大きな影を落としているのが、立憲民主党・国民民主党という旧民進党グループの分裂状況である。
国民民主党は、結党以来支持率が低迷し、統一地方選挙でも、地方議員が国民民主党を離党し、立憲民主党への入党・推薦での立候補という流れが強まり、参議院選挙結果次第では、党存立の危機を迎える可能性が高い。そうであるが故に、安易な妥協ができないというお家事情があるため、野党統一の大きな障害となっている。
同様に、立憲民主党も「安易な政党の離合集散」には組みしないという枝野代表の、頑なとも言える姿勢は、少なくとも野党共闘という課題にとっては、評価できないものがある。
両党の分立状況を抱えつつ、少なくとも一人区では、自公に議席を渡さないという原点に立ち返ることが求められている。

<両党支援という連合の矛盾>
旧民進党が、二つに分裂し、一昨年の総選挙以降連合は、立憲民主党・国民民主党の両党を支援するというスタンスを取っている。自治労・日教組・私鉄総連・情報労連などは立憲民主党支持、電機連合・電力総連・UIゼンセンなどが国民民主党支持と、産別の政党支持は分断されている。そこで大きな意見の違いが、原発再稼働など原発への考え方であろう。国民民主党の玉木代表は、民進党時代の「原発ゼロ」をめざすという考え方に理解を示してはいるが、支持労組の電力総連や電機連合は、脱原発を訴える立憲民主党の候補者には明らかな拒否姿勢であり、野党統一候補への調整や選挙行動において消極的な姿勢で、さらには妨害行動も起きている。
原発再稼働を支持するとは、公言できない。もし、そうなれば国民民主党支持は限りなくゼロになり、政党としても残ることはできない。せめて、原発は将来的に自然エネルギーに置き換えるという姿勢に転換が求められている。連合内も各県連合で色合いが異なっており、市民連合などの統一推進派にも慎重で寛容な姿勢が求められていると言える。

<沖縄県民投票・統一地方選挙・北海道知事選挙で弾みをつけて>
7月参議院選挙までには、2月24日の辺野古基地建設の是非を問う県民投票、沖縄などの2つの衆議院補欠選挙、そして北海道知事選挙など統一地方選挙がある。政権末期状態の安倍政権に対する国民の意思はどう示されるのか。そして、改憲勢力を参議院で3分の2以下にできれば、さらに展望が開かれることになる。
野党統一に本気かどうかで、参議院選挙後も生き残れるかが決まるだろう。総選挙に向けた野党の再編も
その結果次第ということであろう。
立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党・自由党などの野党への働きかけを強めて、野党共闘・統一候補で、参議院選挙に勝ち抜いていきたい。(2019-02-19 佐野秀夫)
【出典】 アサート No.495 2019年2月

 

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