【投稿】「『新しい歴史教科書をつくる会』に抗議する
女たちの緊急アピール」を支持します!
「アサート」の先月号に、「新しい歴史教科書をつくる会」についての意見を寄稿したが、この「会」のその後の活動並びに呼びかけ人について情報を得れば得る程、腹立たしさがこみ上げてくる。
日本国が戦争中行った非人道行為に目をつむり、過去のマイナスな行為を闇の中に葬り去ろうとしている「会」の人々。9人の呼びかけ人には、聞いて「エツ!」と驚くようなメンバーが入っている。そのひとり小林よしのり氏に対しては、彼の出身地である福岡の市民団体から次のような申し入れ書が出されている。「かつて、小林よしのりさんは、部落差別の問題を、漫画作品『ゴーマニズム宣言』に取り上げ、社会派漫画家としての評価を得ましたが、はたして、現在の状況はどうしたことでしょう。小学館発行の雑誌『SAPIO』1996年8.28/9.4号の『新ゴーマニズム宣言』第24章『従軍慰安婦カマトトマスコミを撃つ』に至っては、もはや、私たちは黙っていられないほどの衝撃を受けました。『マスコミを撃つ』と言いながら、その内容は元『従軍』慰安婦へ、そして、全女性に向けられた差別意識の吐露であり、元『従軍』慰安婦の女性たちの支援をしてきた人たちへの誹謗中傷です。」
そして、昨年12月15日、「『新しい歴史教科書をつくる会』に抗議する女たちの緊急アピール」が出された。以下、アピールの一部分を紹介したい。
「つくる会」は、結成にあたっての声明文で、この6月に検定を通過した 7社の中学歴史教科書が「日本の近現代史全体を、犯罪の歴史として断罪」する「自己悪逆史観」に貫かれているとし、その例として、「証拠不十分なまま『従軍慰安婦』強制連行説をいっせいに採用した」ことをあげています。さらに記者会見では、「慰安婦」問題の記述全体の削除を要求しました。同様の要求はすでに「明るい日本」国会議員連盟、「日本を守る国民会議」、自由主義史観研究会などによってなされていましたが、今回の「つくる会」結成には言論界・経済界から78人が賛同人として名を連ね、さらに広がる気配をみせています。私たちは、「従軍慰安婦」問題解決への真摯な取り組みが、アジアとの共生と女性の人権確立につながると考え、ひれびれに努力を続けてきました。今回の「つくる会」の結成はこうした私たちの努力を真っ向から否定するものであり、なによりも勇気を奮って名乗り出た元「慰安婦」の方々の名誉と尊厳を傷つけるものです。とうてい見過ごすことはできません。ーーー
紹介したようなアピールや申し入れ書が、今後どんどん出てくることを期待したい。「つくる会」の主張そのものをそのまま取り入れた意見書が、各地方議会から出されるような状況を考えると、抗議・反論が必要だ。真の「国際化」を大切にしていくためにも、今後とも、この問題に関心を持ち続けたいと思っている。 (大阪 田中雅恵)
【出典】 アサート No.230 1997年1月25日