【投稿】インターネットの衝撃
年末になってやっとインターネットができる環境が整ってきた。昨年10月にはすでに「プロバイダー」から、IDを取得していたのだが、それを活用するには暇と心の余裕がなかった。少し長い年末年始の休暇をいかにすごすか、を考えて、ちょっと入れ込んでみたわけだ。年末の日本橋で28800bpsのモデムも1万円で買えたし、ソフト、関連書籍を買い込んで、田舎回りもノートパソコンとケーブル持参で、・・・・。
年賀状にも、「昨年パソコンを買った」とか「インターネットに繋がった」という書き込みが目に付いた(アサート読者だが)。パソコン通信のIDとインターネットのIDを書いているひとが出てきたわけである。
<パソコン通信とは世界が違う>
このアサートの編集にはパソコン通信が欠かせない。原稿の依頼、入稿、印刷所への指示などニフティで行っている。もう7年目になる。富士通のメインコンピューターを経由しての個人間のメール交換の形をとっている。一文書の最大でも8000字程度の文字データのやり取りならパソコン通信で十分だと思う。
さて、インターネットだがこちらは、メインコンピューターではなく、それぞれのネットワークコンピューターを経由して情報のやり取りをおこなうわけだ。電話回線を通じて日本のみならず国を越えて世界中のコンピューターに繋がるわけだ。
ホームページという言葉をよく聞くが、それは情報を提供しようとする団体・個人がコンピューターネットワーク上に開いた「玄関」のようなものだ。
民主党のホームページ、ホワイトハウスのそれ、日本共産党のそれ、など・・・・。
パソコン通信のような単調な画面ではなく、カラフルな画像も音も聞ける。そしてあたかも隣の家を順番にまわるように、世界中の公開されている「玄関」を瞬時にノックして「話が聞ける」というのもすごいことだ。
<背景にあるコンピューターの発展>
アメリカのゴア副大統領の「情報ハイウエイ構想」というのが思い出されるが、インターネット上で行われている情報のやり取りを可能にしているのが、技術革新と世界基準の統一の実現であろう。個人であっても1秒間に64000バイト(全角文字で32000文字)のデータをやり取りすることが可能になっている。私がパソコン通信を始めた8年前は、せいぜい1200バイト/秒で通信をおこなっていたのだから。
インターネット上のコンピューターでは世界中で識別可能な番号が振り分けられている。12桁の数字で管理されている情報の整理によって、瞬時に世界中のコンピューターを識別し、接続することができるわけだ。
<地方自治体もプロバイダ設置>
最近は、大阪府内の各自治体も「情報化」と「市民サービス」の意味からインターネットのプロバイダーを設置する方向になっている。大阪市、池田市などでサービスが開始されている。これはインターネット接続の中継窓口であると同時に、自治体のホームページを開いて情報提供をしようというもの。(大阪市が外郭団体で行っているサービスの中には部落解放同盟日の出支部もホームページを開いている。)
<急増する利用者>
昨年春先から、インタネットブームに新しい火をつけたのは、家庭用のデジタル回線である、NTTのINS64である。既設電話なら3000円+工事費で家庭からデジタル回線が利用できる。すでに昨年末で100万件を超える加入があったという。また、これまでのパソコンが、ある程度ビジネス分野、ワープロや表計算ソフトなどをターゲットにしていたのに対して、明確に「エンターテイメント」的利用でパソコンを使う人々が参入してきたわけで、今後情報機器としてのパソコンが、家庭用電化製品的に普及する傾向にある。オールインワン型のパソコンはまさにそれである。「お母さんは家計簿、僕はゲーム、お父さんはインターネット」などの宣伝もあるように。(ちょっとこだわるところもあるが)
一日に5万・6万とアクセスがあるホームページもあるというが、結構アダルトものらしい。いろいろ議論があると思うが、ホームビデオにせよ、パソコンにせよ、インターネットも同様に、こうしたセクシャルな欲求・関心が利用者を拡大させている面は否めない。
<情報の氾濫と選択>
現在世界中には、200万を超えるホームページが開かれており、わけがわからないといった感もないわけではない。アダルトものも結構多いし、朝日新聞のホームページのようなニュース系、政党や労働組合も開きはじめた。
これからも企業、個人のホームページ開設が続いて、情報は氾濫状態になるだろうが、淘汰も同時進行で進む。アサートでも面白いホームページの紹介・情報交換の必要もあると思う。(いっそ、ASSERTのホームページというのも考えられるが・・・)
(追記:こうして流れに追いつこうとすると、また新しいコンピューターがほしくなるというもの。近々にNEWマシンの検討に入ろうと思っています。
(佐野秀夫)
【出典】 アサート No.230 1997年1月25日