【ロシアレポート】ロシアの人々の意識調査
次に紹介するのは、現在ロシア・サンクトペテルブルグ在住の大木のりさんから送られてきたレポートです。価格自由化後のロシアの人々の意識調査について詳細に伝えています。見出し等は、編集局の責任で付けました。
その1 価格自由化は年金生活者を直撃
以下はアンケートは社会的プロセス予測研究センターがペテルブルグ市民約2500人に行ったものである。(提供在サンクト・ペテルブルグ大木のり)
1 価格の自由化以後食事の質が
著しく悪くなったと感じている人 59%
少し悪くなったと感じている人 24%
いかなる変化も感じない 15%
逆によくなった 2%
2 女性の中で質の変化を感じている人 63%
男性の中で質の変化を感じている人 55%
特にこれを強く感じている年齢層は60歳以上の人で彼らの72%がそうであり、8%は以前のレベルを保っている。またこれとは逆に30歳以下の人は24%が以前のレベルで52%が著しく下がっている。全体としては高年齢ほど悪くなっている。またこれを職業分や別に見ると未熟練労働者や特別な資格のない事務職員がもっとも悪く、以前のレベルを保てている人は彼らの約10%である。文化系・技術系インテリで以前のレベルを保てているのは20%、が学生では25%。最も良い状態にあるのはいわゆる”新しい経済体系”で働いている人で、アンケート時で40%が保持あるいは良くなったという事である。国営で働いている人で保持あるいは改善は16%である。しかし最も打撃を受けているのは働いていない年金生活者で76%が著しく悪化6%が維持。学歴では初等教育の
人は悪化率が高い。比較的打撃を受けていないのは学生である。高学歴の人ほど維持できる自信がある。
1月半ばまではまだ以前の価格で買いだめしておいた物を使用しているのでそれほど危機的ではない。しかしそれ以後に成ると38%が食料品のストックが切れ、31%1月末までは以前のレベルを維持できるだけのストックがある、15%約2カ月、7%約3カ月、8%3カ月以上、1.5%どのくらいの量か計りかねる。全くストックなしの71%質が悪化し維持10%、1月末までありの60%悪化15%、2カ月分持ち52%20%、3カ月41%27%、3カ月以上25%47%。今のところ食事の質の悪化度を決める決定子は職業等ではなく、ストック量による。全体の33%価格の自由化に絶対的に反対であり、それほどは強くないが反対であるが17%である。27%は賛成。残りの22%は今のところはっきりした意見を持っていない。これらの数値は12月末の結果とあまり変わっていない。(当時価格の自由化が肯定的な結果をもたらす事に疑問を感じている人は44%であった。)
サンクトペテルブルグ市民(様々な社会的グループごと)の食料品ストック量
92年1月中旬以降
ストックなし 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月以上
市全体 38 31 15 15
男性 38 32 16 14
女性 38 31 16 16
30歳未満 35 35 14 15
30歳以上45歳未満 32 32 16 18
45歳以上60歳未満 41 30 16 13
60歳以上 46 28 12 11
未熟練労働者 51 18 16 12
熟練労働者 46 31 12 10
資格なし事務員 36 33 17 14
有中級資格事務員 29 31 20 18
学生 34 34 17 11
技術系のインテリ 31 37 14 18
文化系のインテリ 32 31 18 17
労働者の指導にあたっている人 30 36 7 25
現役軍人及び民警 44 35 7 12
国営企業に勤務 37 32 17 13
新しい経済体系に勤務 25 31 16 27
働いていない年金生活者 48 28 11 10
貿易部門 26 31 18 21
市民へのサービス部門 34 29 17 19
保健衛生関係 31 26 20 21
教育、文化、学術関係 29 36 20 14
産業 43 29 13 13
学歴中等教育以下 53 25 14 6
中等教育 35 30 16 17
高等教育 32 34 14 19
食事の質が悪くなった 46 32 13 8
食事の質が良くなった 22 27 18 32
社会的なことに対してオプティミスト 35 32 13 17
社会的なことに対してペシミスト 40 31 15 13
個人的なことに対してオプティミスト 29 27 17 22
個人的なことに対してペシミスト 41 32 14 11
(夕刊ペテルブルグ 92年1月22日付け)
その2
市民はエリッィン大統領を支持しているか
以前のデータは地方紙”夕刊ペテルブルグ”の1月22日付です。また表で社会的な事に対してオプティミストの最後の数字の8は間違いで正しくは17です。今回のは22日付の地方紙”スメーナ”からです。この調査も前者のものと同じ素材ですが、違う質問を主にまとめたものです。
11%の市民が現在のロシア大統領の行動は経済的危機から国を救うと確信している。29%確信はないがこの意見に同意している。20%現在ロシアで行われている経済改革に断固反対。14%特に確信はないが反対意見に同意。従って確固たる確信があるなしに関わらずペテルブルグ市民の40%が大統領の経済改革賛成で34%が肯定的に見ている。残りの26%この質問に対して明確な答えを持っていない。しかしエリが予定されている価格の自由化を宣言した11月末に同じ質問をした結果は、明らかな賛成派47%反対30%であった。しかしその当時はまだ私たちがぶつかるであろう困難*****を抽象的しか想像することができなかった。今日価格の自由化によって明らかに以前の食事の質が悪くなったと思う人59%、24%少し悪くなったと感じている、2%逆に良くなった。また1%反対者が増加したのはロシア政府がとる必要があった措置が明らかに感嘆を呼び起こさなかった報いであると見なすのは無理がある。
もちろん大統領にも良い時期はあった。8月の勝利に酔いしれ希望の絶頂期であった9月では、78%が支持、11%のみ反対、14%明確な答えを持っていない。これはブッシュ大統領がペルシャ湾での勝利のすぐ後に高い支持率を得ていたのと同様にエリツィン大統領にとっても人気のピークであった。また表からも分かるように男性の方が女性より常に厳しい評価をしている。昨年の春の段階では成人に比べて若い世代にエリのオポネントが多かったが、状況は代わり今では年齢が上になるほど大統領の政策を信用していない。また最もエリを支持している人は文系・技術系のインテリと学生である。ごく最近には中等教育修了労働者と熟練労働者の間では大統領に対する信用が低下している傾向にある。この両者はいまやエリの賛同派より反対派の方が多いということに関しては一つのグループであると見なすことができる。現役軍人、警察は他と比べて特にエリに好意的であるとはいえない。最近彼らの中で明らかなエリのオポネントが増えていると言うよりはむしろ彼の明らかな賛同者が減っているという方が的確な用だ。これらの2つの職業グループは今日大統領にとって最も警戒すべき存在である。
最近では伝統的な国営企業や諸機関で働いている人に比べて”新しい経済形態”で働く人がかなり大統領を信頼している。今日これらの2つの勤労者グループの差異はよりはっきりとしてきている。また顕著なことはロシア大統領に対する評価は教育程度によってはっきりと違っている。9月の時点では8年制中学校教育を受けたものと高等教育卒業者ではほとんど違いはなかった。しかし今では高等教育の方が8年制中学卒業者より約2倍大統領の賛同者が多い。
大統領に賛同している人の中により多く存在するのはまださらに経済危機が深まっていくと見ている人(社会的ペシミスト)”より今後半年で経済状態が改善する”(社会的オプティミスト)と信じている人の方がはるかに多い。同様に大統領に賛同している人の中により多く存在するのは自分自身の生活状態一層悪くなると思っている人(ペシミスト)より改善すると信じている人(個人的オプティミスト)の方が多い。大統領に対する味方は個人的オプティミストより社会的オプティミズムにより関係している。
現在食事の質を維持できている人の中でエリを信用している人は48%で彼に対する信頼を失った人の29%より約1.5倍多い(23%棄権者)。またこの半月の間に自分の食事の質が悪くなったと感じている人の中では数の上では**大統領への信頼を失った人の方が信用している人の数を越えている(38%対34%)。
以前の食事の質を維持している人の大部分の市民は昨年”古い値段”で購入した食料品のストックを使用しているおかげである。38%がストックをもうすでに使いきっており1月末にはさらに31%のストックがなくなる模様である。*****を感じている人は44%であった)。
ロシア大統領の行動に対するサンクトペテルブルグ市民(様々な社会的グループごと)の見解の変動(1991年5月-1992年1月)
エリツィン大統領の行動はロシアにたちはだかる諸問題の解決を促進しいることに賛成か?
賛成 反対
5月 9月 11月 1月 5月 9月 11月 1月
市全体 60 78 47 40 25 11 30 34
男性 61 78 48 40 23 10 29 33
女性 58 78 48 40 27 12 31 36
30歳未満 56 79 46 40 28 10 31 30
30歳以上45歳未満 54 78 48 42 26 11 27 35
45歳以上60歳未満 63 78 48 40 23 10 30 32
60歳以上 64 77 43 36 23 14 34 40
未熟練労働者 43 75 46 39 35 8 32 34
熟練労働者 60 75 46 33 23 14 32 38
資格なし事務員 54 84 50 37 28 5 22 40
有中級資格事務員 58 77 43 39 26 13 32 36
学生 55 77 57 48 33 15 26 25
技術系のインテリ 67 82 48 47 20 9 31 29
文化系のインテリ 69 83 45 51 19 6 28 31
労働者の指導にあたっている人 55 68 52 45 26 21 27 30
現役軍人及び民警 45 74 54 36 37 18 31 33
国営企業に勤務 59 78 46 38 25 11 31 35
新しい経済体系に勤務 61 85 51 52 23 8 22 29
働いていない年金生活者 65 76 43 36 22 14 33 38
学歴中等教育以下 52 76 38 25 28 15 39 41
中等教育 58 78 46 40 24 11 30 36
高等教育 65 79 40 47 21 10 30 20
ソ連共産党離党者 70 87 58 * 20 7 23 *
信念をもった党員 38 51 34 * 42 28 54 *
社会オプティミスト 84 57 49 * 10 21 30 *
社会ペシミスト 75 43 36 * 13 34 37 *
個人的オプティミスト 87 61 54 * 6 21 29 *
個人的ペシミスト 74 44 38 * 15 33 37 *
全体 60 78 47 40 25 11 30 34
(92-2-2 ペテルグルグ発)
【出典】 青年の旗 No.172 1992年2月15日