【編集局発】ソ連保守派によるクーデターに断固抗議する!
–ベレストロイカの後退を許すな–
8月19日ソ連の国営クス通信はゴルバチョフ大統領が健康上の理由でで辞任し、ヤナーエフ副大統領が同日大統領職を引き継いだと報じた。さらに、ソ連指導部が一部地域に6ケ月間の非常事態宣言を発令し「国家非常事態委員会」に全権力が委譲されたことを報じた。
その後の報道を注視すれば、政治締済を巡る、ソ連国内の深刻な対立を背景に、軍部とKGBなど保守派が、民主的手続きを経ずして、暴力的なクーデターを行い、ゴルバチョフ大統領の失脚を謀ったことは明らかである。
共産党の指導力の実質的な解体、ソ連社会全体を巻き込む深刻な国内情勢の中にあって、ゴルバチョフ大統領の改革推進を恐れた保守派勢力の前時代的、非民主的な暴挙に対して我々は断固抗議するものである。
改革派の指導者ヤコプレフが「党の中心的指導部の中に、ベレストロイカ路線に反対するスターリン主義のグループが形成され、クーデターが準備備されている。党の民主的改革は不可能であり、不道徳だ。次の攻撃目標はゴルバチョフとされている」と警告し、離党声明を行った矢先の今回の事態である。
8/20に新連邦条約の締結開始を前して連邦維持で一致する保守派勢力による極めて計画的な行動であるが、ベレストロイカの5年間は国内の民主勢力、改革派を育て、改革を後戻りさせることはもはや不可能であり、ロシア共和国をはじめ、党、軍、政府関係者の中でクーデター不支持表明、市民の抵抗が開始され、20日にはレニングラードでは10万人の抗議集会が行われている。
また、各国も次々と「新政権」不支持を表明している。「新政権」はベレストロイカ推進を表明しているが、国際的孤立は益々明らかになっている。
もちろん、保守派によるクーデター後のソ連情勢は、現時点で不透明と言わざるえない。改革派へ報復、暴力装置の発動、内戦の危機も十分予測されているが、我々は、ソ連人民の民主的イニシアチブによるゴルバチョフ復権、民主主義の回復、ペレストロイカ・改革の推進を断固支持するものである。 (8/20)
【出典】 青年の旗 No.166 1991年8月15日