青年の旗 1986年4月1日 第110号

青年の旗 1986年4月1日 第110号
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【主張】 国鉄分割・民営化阻止!
                                                         –国鉄労働者を中心に国民的統一闘争を!–

政府・自民党は三月十四日の閣議で国鉄分割民営化後の新会社と私鉄を合わせて規制する「鉄道事業法案」、既存の国鉄関連法案を一括して手直しする「国鉄改革等施行法案」新会社に対し固定資産税などの軽減特例を認める「地方税法等改正案」の三法案を決定し、二月二八日閣議決定した法案と合わせて、国鉄関連九法案が全て国会に上提された。
一方、社会党は、三月六日の中央委員会で”国鉄改革法案要綱”を決定した。この内容は″ニュー社会党”の「現実路線」を反映した「公共性をもった全国一社の民営企業にする」というものである。
九法案の内、現在緊急に論議し、押し通そうと政府が狙っているのは、国鉄長期債務約五兆円の振り替えと、一九八六年度中の約二万人の希望退職者募集に関する「国鉄の運営改善緊急措置法案」である。
その中での論議でも中曽根首相をはじめとする政府側は、「国鉄改革法案は二年余の再建監理委の論議の結論をふまえたものであり、国民の強い支持を得ている。来年四月一日の分割・民営化の実現へ全力を尽くす。」「国鉄は過剰人員をかかえており、分割前に希望退職などの緊急措置が必要」と強行姿勢である。
政府が「国民の強い支持」と強弁する背景は何なのか、ー「国鉄は分割・民営化で元気になります。」「新発想で地方の時代にこたえます。」という大衆宣伝広告が国民に受け入れられる基盤を既に国民に植えつけていると判断しているからであろう。
つまり、国鉄=赤字であり民間企業なら倒産状態でり、国民の税金を食いつぶしており、再建が必要である。国鉄は、サービスが悪く、職員もだらけている。違法ストライキで利用者、国民に迷惑をかけている。その原因は、『公共企業体で、「親方日の丸」経営になっていること、規模の巨大化による組織の麻痺状態にある。』以上の意識を、「国鉄スト迷惑論」からはじまり、やみ休暇、カラ出張、手当等と計画的な大キャンペーンで、国民に浸透させた。
政府・独占の国鉄分割民営化の真の狙いが、「戦後政治の総決算路線」の柱をなす最重要課題であり、具体的には、①政府独占が、巨大な利潤をむさぼりながら、一方で意識的に生み出してきた国鉄の赤字、債務(総額三十七兆円)を勤労人民に犠牲転嫁し、九万三千人の大首切り合理化を、政府の手を汚すことなくやり、且つ、二百兆円を準えるとも言われる国民の共有財産を、全て独占資本に、くれてやる。臨調「行革」の「二〇三高地」と位置づけ、国家財政再建のモデルケースをつくり出す事である。⑦中曽根の戦後政治の総決算路線の一層の反働化を阻止する抵抗線であり、戦後労働運動の主要な索引力であり総評の中核、公労協の中軸たる国鉄労働者、なかでも国労をつぶし、闘う労働運動を、最後的に葬りさらんとする事。これらは既に明白である。
しかし、今は、政府独占が、大衆運動としてキャンペーンをはり国民を総オルグしている時、「真の狙い」を連呼するのみでは、不充分である。
「国鉄分割・民営化の弱点として、選挙と、土地問題-国鉄資産問題がある。」との指摘がされているが、それを最大限利用し、活用できるか否かは、大衆闘争の更なる高揚にかかっている。
その成果は、雇用対策、「余剰人員対策」国労防衛という問題とともに、現場協約すら、締結できないという労働現場の労働者の声、国民の要求をいかにとらえ結合させ、国労の孤立化を阻止しながら闘争を組織するかにかかっている。
この声の要求を切りすててはならない。
現在、「国鉄の分割・民営化に反対する東京会議」、同様の大阪府会議、愛知県民会議をはじめとする運動体の結成が全国で進んでいる。又千葉勤労も、分割・民営化阻止でスト闘争を展開している。全国で様々な運動が存在している。そして何よりも、三千五百人署名を集めた現場国鉄労働者、支援団体と国民の意識が存在している事は間違いない。同時に、一日数千万人という国鉄利用者がいる限り、国鉄分割民営化が関心のない問題であろうはずがない。単純に見ても、国鉄労働者九万三千人の首切りと十六兆七千億円の赤字が国民負担(一人当り約十六万七千円)となる。更に、料金値上げ(「答申」によれば、八七年四月以降五年間、平均四~五%の値上げ)安全性の欠落等、数々の反国民的影響がでるのである。そして、総体として労働者・勤労人民を犠牲にして、独占資本が、利潤をむさぼる事を政府が誘導するという現代日本の金融独占の独裁という本質を彩やかに描いている。この攻撃に対抗して、国民思想的にオルグする為の大衆宣伝、扇動をもう一度徹底して展開する事。事態の重要性を認識し、労働現場における統一行動をもって、一大国民運動としての大衆闘争をつくり上げる事が必要である。

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