青年の旗 1979年3月1日 第25号
【主張】 中国のベトナム侵略を糾弾する
<計画的で本格的な侵略行動>
二月十七日、突然開始された中国軍のべトナム侵略行動は、「限定的な軍事行動」という弁明にもかかわらず、今や長期化の様相を呈し始めている。
何故なら、十四日中国当局者は「全軍の撤収はきょう・あすにはない。べトナムにはもう少し”教訓”を与える必要がある」と述べ、侵略継続の方針を確認すると共に、撤退の目安となる国境線問題についても「当然中国が主張する国境線」だとし、侵略以前の国境線を守らず″この機会に領土拡張も〃という露骨な”覇権主義”を表明しているからである。
もともと、今回の中国の侵略行動は、ベトナムの中国領土侵犯に対する”制裁”という中国側の見え透いた言い訳に基づく一時的な「反撃」ではない。
鄧小平の帰国を待って決定されたこの侵略行動には朝鮮戦争当時の義勇軍司令官が最前線の指揮をとり、歩兵・砲兵・戦車を含む大部隊を投入し、長距離砲や重火器を使用し戦闘機の援護の下に、各省・軍基地の占拠・侵攻が進められており、この行動が計画的で本格的であることをよく物語っている。
中国がべトナムに対し軍事侵略に踏み切ったことによって、中国の世界政治における立場と役割が、今までになく鮮明なものとなっている。つまり、カンボジアでの民族民主連合政権の誕生によって一層前進したインドシナ革命と、ベトナム・カンボジア・ソ連など東欧社会主義諸国の同盟強化の中で、衰退する自国の政治的影響力・権威を挽回する為に米・日帝国主義と同盟を結び、反ソを煽り、世界各国での反革命行動を援助し、けしかけるという、血迷った民族主義・覇権主義が中国指導部の基本的立場だということをである。
<決定的な中国の孤立化>
しかし、この中国の野望と暴挙は成功することはないだろう。ベトナムの国境警備軍を簡単に打ち破れるという中国側の予想をはるかに上回る戦闘力がべトナムにはあることを米軍の情報筋でさえ認めており、焦点のランソン省も、圧倒的多数の中国軍をもってしても陥落されていない。
その上に、中国の国際世論における孤立は決定的になっている。以前の盟友アルバニアも非難しており、社会主義諸国でさえ、公然とは支持できず、「べトナムのカンボジア侵略」というありもしない口実と抱き合わせではあるが、中国の行動を”侵略”ときめつけ、その撤退を求めている。
Lかし、帝国主義者たちは、中国のこの愚挙に心中拍手を送っており、出来ればこの機会に社会主義の威信をおとしてやりたいと願っている。つまり、米国や日本の政府は、ベトナムもカンボジアから撤退すべきだというケンカ両成敗論に基づく筋ちがいの要求を持ち出すことによって、今回の紛争の原因があたかもベトナムにあるかのような印象を与えようとしている。ジャーナリズムは勿論、日本では社会党までがそれに同調しているのはゆゆしき事態である。
両成敗論は、米日中反ソ同盟を結び中国の加担者となり、ベトナムには援助を打ち切るなどの”制裁”を主張した日本政府の責任を免罪するものであろう。
わわわれは、今こそ中国がベトナムから即時全面撤退する事を求めるとともに日本政府が中国に武器を含む援助をせぬよう求めて大衆行動を起こす時だ。