青年の旗 1979年12月1日 第34号

青年の旗 1979年12月1日 第34号

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【主張】 一九八〇年代へ–激動の時代と大衆闘争–

<カーターの重大かつ危険な賭け>
米・イラン紛争を頂点に、一九八〇年代への移行を目前にして、内外の情勢は極めて重大な激動の情勢に突入してきている。
カーター政権と国際石油独占資本・メジャーは、イランの”米大便館ジャック”を、自己の帝国主義的戦略に明らかに利用せんと、危険極まりない挑発政策を日毎に強化している。
カーターは、米国内の排外主義的で冒険主義的な世論を意識的にあおり立て、中東への軍事介入姿勢を露骨に示している。今やインド洋からアラビア海は、横須賀地からの攻撃型核空母ミッドウェーのインド洋入り、空母キティホークのアラビア海への急行をはじめ、米海軍機動部隊十数隻の”砲艦”がうろつきまわり、ペルシャ湾”出撃”の機会をうかがう軍事脅迫外交が押し進められている。事態は極めて重大な”一触即発”の情勢をもたらしつつある。
カーターは、イランの在米ドル資産凍結、イラン石油禁輸、食糧輸出禁止、さらには十一万人緊急動員部隊の投入、軍事介入発言等々、他の帝国主義諸国に対しても強圧的な共同行動の要請を行なっている。
米帝国主義は明らかに、本年二月のイラン革命によって失った中東油田地帯の重要拠点の奪還へ、イラン・ホメイニ体制の目まじるしい混乱を利用して、危険極まりない必死のまき返し、あがきを展開しているのである。
しかしながら、このようなアメリカの強圧的なまき返し政策は、逆に、ますます産油諸国のドル離れを促進し、ドルの衰退を一層明白にさらけ出し、通貨市場の大混乱から、政治・経済・金融・通貨危機に至る全面的な危機の爆発をさえ準備するものである。十二月十七日から開かれるOPECのカラカス総会はそのことを明瞭に反映するであろう。

<デタントの破壊を許すな!>
今、全世界に、緊張の新たな増大と激化、デタントの破壊の道を突き進むのを許すのか否かが問われている。
アメリカの危険な賭け、軍事的冒険主義を歓迎しているのは、国際石油独占資本、帝国主義的反動、中国北京指導部だけである。
このような時に、もはや矛盾と対立、腐敗と指導力低下で身動きのとれぬ大平内閣は、一方で米軍指導下の挑発的な大規模軍事演習「環太平洋合同演習」(リムパック80)に海上自衛隊を参加させることを広言し、同時に来年度予算における福祉生活関連予算の大削減、公共料金一斉大巾値上げとは反対に、十三兆円にものぼる反ソ「五次防」予算を目論み、反ソ同盟強化へ北京訪問をしようとしているのである。
このような政策は、破産を運命づけられている。ここ数年、とりわけかすびがましく宣伝されてきた”ソ連の脅威”論はもはや内外情勢のいかなる事態においても通用するものではなく、時代錯誤以外の何ものでもないことが歴然としてきているのである。ソ連はSALTⅡからさらにSALTⅢへと、軍縮への大胆な歩みを着実に押し進め、中部ヨーロッパのソ連軍兵力の一方的削減、中距離核運搬手段を一方的に現水準より削減する用意、軍事関係予算の削減、等々、全世界の目の前で、その明瞭かつ断固とした平和の闘いを展開しているのである。
米・イラン紛争に直面して、「対米原油禁輸で浮いたイラン原油に飛びつくような”火事場泥棒”的行為は困る」(外務省)、「対米関係も重要だが、対イラン関係も大切だ。軽がるしくイランを刺激するような発言は資源外交上迷惑」(通産省)と大平内閣が右往左往している時に、革新勢力は、共産党までが先頭にいる、こそくな反ソ民族主義・議会主義的セクト主義を投げ捨てて、断固とした平和と軍事予算削減、生活擁護の大規模な大衆闘争をこそ組織するために全力を傾けなければならないのである。
一九八〇年代、激動の時代の突入は、そのことを要請しているのである。

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