青年の旗 1983年5月1日 第75号

青年の旗 1983年5月1日 第75号

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【主張】 改憲・軍拡・行革に反対する反独占統一戦線をめざして

八二年九月二五日、中曽根首相は、自らが塾長を務める右翼青年集団「青雲塾」三五周年集会で次のように演説している。
「今や日本は、更に国際経済摩擦、破局寸前の財政危機や不況に直面し、信念と歴史的洞察力を以って、世界と日本の将来を見通した真の救国政治の実現が要請されている。私の担当している行政改革は、この救国政治を迎え、断行する呼び水であり、国の改革への血路である。昭和二十二年に制定した青雲塾の綱領、原理、宣言、決議の精神は、再びこの救国政治を導く原動力として甦らなければならない」。
中曽根首相の言う「救国政治」がなんであるかは鮮明である。

<1> フアシズムヘの危険をはらむ反動中曽根内閣と独占資本の軍拡・行革・改憲路線との対決「八三枚治決戦」の緒戦と位置づけられた第十回統一地方選挙が終了した。
現実は冷酷である。反動路線を直進する中曽根政権への反発・危機感が反自民の”浮動票”を結集させるのではないかという淡い願望は、見事に打砕かれた。自民党を軸とする、”保守・中道”が圧勝し、勤労人民の政治的無関心は一層増大した。
これが統一地方選挙の基本的特徴と結果であり、勤労人民の政治的無関心は、保守・中道支配の安定を支える補完物としての役割を果たしている。東京及び大阪における知事選挙に見られた社・共の泥試合、恥ずべきセクト主義の業病と唯我独尊的独善主義は、統一によってこそ生み出される独占と反独占の対決の構図、反軍拡・反改憲を掲げ反独占・反自民の統一の隊列を構築するという基本的戦略を瓦解させ、闘わずして敗北するという政府独占の満足するところの結果を生み出している。
知事選が六三・二%、県議選が六八・四%という結果であり、東京都知事選に至っては、前回の五五%を大きく下回る四八%にまで低下している。そして労働者の牙城であった都市部においても、区・市町村選挙の結果に明らかのように、保守・中道諸派は着実に票を伸ばしたのである。

<2>
かかる全国市町村、県議会議員選挙は、八三春闘においても同様の結果がでている。
すなわち、選挙における、保守・中道の合同は、八三春闘においては、全民労協・JC系の超低額・一発回答・一発妥結になった結果を通じて、日本資本主義の危機は労使協調による運命共同体で、労使一丸となって危機乗り切りを果たそうということである。このことは、行革容認となるのである。
既に、軍事力増強に関しては、既成事実が先行し、「シーレーン千カイリ防衛」においては、フィリピンやインドシナ半島まで、日本軍の守備範囲とすることが容認されつつある。
中曽根首相のASEAN諸国歴訪は、軍事面での合意取り付けと、引き続き、資源と市場の供給国としての役割を取り付けることにある。中曽根は、統一地方選と八三春闘の大勢をみきわめてのASEAN歴訪であり、ASEAN諸国首脳との会談においても、中曽根の政策の説得材料をたずさえての歴訪であり、このASEAN諸国歴訪の獲得目標そのものが、近づく、先進国首脳合議での発言力につながるのである。

<3>
今や、反ファッショ、平和・生活防衛・改憲阻止の課題を前面に掲げて、すべての職場・地域・学園での闘いの組織化が問われている。
近づく参院選、いや衆参ダブル選挙は、以上の課題の実現か、改憲・ファッショ・生活破壊かの激突となろう。
我々は、八三春関において、労働運動と選挙を別々に闘い、厳しい局面を引き起した苦い経験を厳しく総括し、大衆運動を先行させて、選挙戦に臨まなければならない。
今、一度、大衆の中へ八三春闘の結果が何をもたらすのかを宣伝・煽動し、組織することである。
可処分所得の目減りは誰が見ても明らかであり逆に、社会保険費、大衆消費材の値上げは必至である。行革容認と労使協調のもたらした代価は極めて高いものになっている。もはや、労使協調路線は、労働組合の機能を失なう方向に歩み始めている。
今日の事態は、かつてのドイツが戦時国債を社民党を巻き込んで可決したことに行革推進の動きは似ている。事態は、手をこまねいている間にどんどん進展して行くのである。
再度、職場・地域∴宇園から闘いを開始しなければならない。職場の要求は、地域の要求は、学園の要求は、何が障害になって実現できないのか、敵を明らかにし、隊列の強化・拡大を志向しつつ、全力で聞い抜こう。

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