青年の旗 1983年9月1日 第79号
【主張】 行革・軍拡予算を打破し、臨時国会包囲の統一闘争を
九月八日、第百臨時国会が召集集された。中曽根言うところの行革国会は、生活関連予算を削減し、軍事予算拡大を目的とする収奪国会である。
また臨時国会に先だって行われた第十三回日米防衛首脳定期協議では、八一年の同事務レベル協議で米側から要求されたシーレーン一千カイリ防衛をまかなう正面装備として、ミサイル護衛艦七十隻、潜水艦二十五隻、P3C対潜哨戒機百二十五機、F15戦闘機等三百五十機を要求してきた。防衛費概算要求で六・八八%増で後年度負担を一層強めるものとなっている。さらに八三年度版防衛白書では「東西間の軍事バランスは東側優位に傾くすう勢にある」として、ソ連の軍事力増強に対抗する軍事力確保を示唆している。
しかし、昨年開催された野村総合研究所の「八〇年代の国際環境・専門家フォーラム」の報告書では、核戦力・空海軍いずれも米側有利とされている。
<つくられたソ連の脅威>
こうしたソ連の脅威にかっこうの口実となったのが大韓航空機事件である。しかし、全世界の人民は、この撃墜事件の真相解明を要求しながらも、反ソ大合唱のなかで、真相を知ることは困雉な状況である。現在明らかなことは、大韓航空機が領空侵犯をし、それに対し、ソ連空軍機が迎撃行為に出たということであり、結果は極めていたましい事態となった。日米両国以外の国では撃墜糾弾と保障を要求しているが、日米両国は、「だから、必要に応じた軍事力が問われており、緊急に軍事力の整備が必要」との発言である。この事件を、アメリカの実質上のINF交渉のサボタージュとして利用させないことが必要である。
さらに、F16三沢配備等で、日米地位協定に基づく日本の負担は強まる一方であり、臨時国会、予算国会は、中曽根自民党内閣の軍事力拡大政策を阻止することを課題として院内外の闘いが問われている。
<行革・軍拡の中曽根内閣打倒に向け統一闘争で闘い抜こう!>
すでに今臨時国会のもうひとつの課題である減税に関しては、年内実施を公言しているが、その対象は、中堅所得者層とする政府自民党内の対応は、まさしく総選挙対策であり、年収三百万たらずで、「中流意識」を押しつけられている多くの労働者は、引き続き生活破壊が進行するのみである。今日、果すべきことは、中曽根内閣が進める行革・軍拡がたどる軌跡を徹底的に暴露するとともに、平和・生活防衛の課題で行革・軍拡の中曽根内閣打倒に向けた統一闘争を構築していくことである。
そのためには、すべての民主勢力は、減税の実施時期を明らかにしないことに示される中曽根内閣の行革優先政策を断ち切る闘いが必要である。そのことは、先にふれた日米防衛首脳協議で日本の谷川防衛庁長官がF16三沢配備にともなう設備費三百億ドルを日本が負担すると確約したことに対する抗議をはじめ、ひとつひとつの具体的施策に対して抗議行動を組織することである。
さらに、九月三〇日には、米最新鋭原子力空母カールビンソン(八一、六〇〇トン)が日本に寄港することが決定しており、日本政府のなしくずし的日米安保拡大・強化策動を阻止することである。
<内閣打倒こそ総労働の任務>
以上の闘いを担うのは言うまでもなく、すべての労働組合である。いまだ、公務員、三公社四現業職員の賃金はすえ置きであり、臨時国会を巡る状況からして、人勧仲裁完全実施は、予算国会まで引き延ばされる可能性が強い。さらに完全実施どころかかなり値切ろうとしており、今秋期の闘いなくして公労協、公務員共闘の再生は極めて困難になることを踏えた闘いが必要である。
もはや、賃金はもとより、すべての労働条件は、政治的解決を経ずして改善されるものではないと言っても過言ではない局面を迎えていることを一致させることが重要である。そのことを抜きに対政府・統一闘争は実現できない。すべての労働組合、すべての民主勢力が参議院選の轍を踏むことなく、課題の実現のためには、どうあるべきかを提起し、統一の努力を進めるべきである。
そのためのイニシアチブを総評をはじめ、労働四団体はとらなければならない。かかる動きこそ、中曽根自民党内閣に対する物理的力となるのである。