【投稿】維新の会、終わりの始まり

【投稿】維新の会、終わりの始まり

<突然の提案>
 6月2日、松井一郎日本維新の会幹事長(大阪府知事)が、懸案となっているアメリカ海兵隊のオスプレイ輸送機の日本国内の訓練について「八尾空港で受け入れることを検討する」と発言した。
 あまりの唐突さに、地元八尾市の田中誠太市長が「事前の説明が一切ない」と苦言を呈すると、松井幹事長は「府知事ではなく政党の幹事長の立場での発言なので地元自治体への説明は不要」と開き直った。(それなら、地元選出の維新国会議員には相談したのか、との声が出ている)
 そもそも、八尾空港がどのような環境下にあるか、空港近隣に居住する松井幹事長が知らないわけがなく、オスプレイの訓練など実現の可能性が無いことを見越したうえでの三文芝居であり、首長、政治家として無責任極まりないものである。それとも「地元住民の提案」とでも強弁するつもりなのだろうか。
 今回の発言は、従軍慰安婦問題を巡る暴言で批判の嵐、とりわけアメリカからの厳しい批判にさらされた橋下徹日本維新の会共同代表(大阪市長)への援護射撃である。
 先に大阪市議会で問責決議案が可決されんとした際、松井幹事長は「問責決議が可決されれば出直し市長選挙=参議院とのW選挙になる」と恫喝をかけた。
 これに市議会公明党が動揺し、急転直下、問責決議案は否決され橋下市長は窮地を脱した。これに味をしめて2匹目のどじょうを狙ったのが今回の発言である。
 「沖縄の負担軽減」と大義名分を言いながら実際は、アメリカ政府への追従、安倍、自民党へのすり寄り、さらには一昨年の府知事、大阪市長W選挙の際、対立候補を支援した田中市長に対する意趣返しであることは、あまりに明白である。

<安倍も同じ穴のムジナ>
 橋下共同代表自身「実現性についてはわからない」などと評する無謀な提案を、安倍総理、自民党は「真剣に検討する」と受け入れた。あまりに愚劣な政治ショーに加わったことで、安倍総理はアメリカでの評価を一段と下げただろう。
 いくら周辺が「日本政府は橋下発言とは一線を画する」と言ってみても、官房長官が「防波堤」として面会しているにもかかわらず、総理自ら執務室に招き入れるようでは、同一視されても致し方なかろう。
 橋下発言は、例えるならサンフランシスコの市長が「黒人奴隷は必要だった」と発言したようなものである。同市からの姉妹都市宛とは思えない厳しい内容の拒否メールがそれを物語っている。

<終わりの始まり>
 そうしたなか一人訪米した松井知事は「批判も質問もなかった」と能天気そのものである。役に立たない視察をするくらいなら、自分の発言に責任を持つためにも、オスプレイの搭乗を希望すればよかったのではないか。今回は「府知事」としての訪問だからなのだろうか。
 一連のパフォーマンスにもかかわらず、維新の会の支持率は下降し続けている。この間の自治体選挙でも負け続きであり、風俗店活用発言で頼みの綱の「大阪のオバチャン」も引いてしまった。
 「みんなの党」からは早々に絶縁され、党からの離脱者が現れ始めた。参議院選挙も目玉候補がアントニオ猪木という惨憺たる状況である。まさに、維新の終わりの始まりというべきだろう。
 橋下共同代表は東京都議選、参議院選挙の結果では進退も考えると述べているが、早々に政界からは引退すべきだろう。(大阪O) 

 【出典】 アサート No.427 2013年6月22日

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