【コラム】ひとりごと –参議院選挙に思う—-

【コラム】ひとりごと –参議院選挙に思う—-

○安倍政権最初の国政選挙となる参議院選挙が12日に公示され、1週間が経とうとしている。今月号が手元に届く頃には、残り1週間となっている。○筆者の経験から考えて、選挙というものは、市会議員であろうが、国会議員選挙であろうが、本当の水ものである。○最後まで結果はわからないのが常識である。私も組合の本部時代に選挙に張り付いた経験がある。しんどい、しんどいと言っていた選挙が、終盤に「風向きが変わって」民主党に風が吹いたことがある。○逆に言うと、最初から有利だと言われている選挙は、ふたを開けると、負けてしまう事が多いのである。○今回の選挙については、明らかに安倍政権に逆風の中で推移している。比例区の投票先についての朝日新聞の調査では、5月中旬と公示後の7月14・15日分の推移を見ると、自民党(28%→22%)、民主党(21%→30%)と逆転し、選挙区についての7月調査でも、自民党(31%→26%)、民主党(22%→32%)と、民主党優位の結果が出ている。内閣支持率も不支持が55%、支持が30%であり、安倍効果は裏目に出ている。○閣僚の失言(確信犯だが)の連続、政治とカネをめぐる不透明拡大、年金ショックの爆発と、「戦後政治のレジューム」「憲法改正」は焦点から吹き飛び、民主党の「生活が第一」の方に現在のところは強い追い風が吹いているように思える。○最近の国政選挙で、自民党が事前調査でここまで不評であった選挙はなかったのではないか。しかしである。自民の敗北が見えてくると、一定の層は、世論調査結果の逆の行動に出る可能性もあるので注意が必要だ。○さらに、与党に逆風が吹いているのは当然としても、政党支持率では、民主党支持率が目だって上昇していないのは気になるところであろう。○ただ、「参院で与野党逆転できない場合、政界を引退する」と発言し背水の陣の小沢党首に対して、安倍首相は、カンペしか読まないような印象を与えているし、「安倍不人気」は益々自民離れを引き起こしているように思える。身内をかばい続けるのも、自民党内の不協和音を増幅させているのではないか。公明・学会内部でも相当の安倍政権批判があるとも言われている。○衆議院で圧倒的多数を確保しているものの、今回の選挙では民主党・共産党・社民党など野党勢力の躍進によって、自公与党の憲法改正・新自由主義路線に対して、No!を突きつけることが必要である。(佐野秀夫)

 【出典】 アサート No.356 2007年7月21日

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