【翻訳】America なしでは the West ばらばらになり、枯れしぼみ、死んでしまうであろう。
The Japan Times、 February 27, 2025
“ Without America, ‘the West’ will splinter, wither and die.“
by Andreas Kluth and James Gibney : Bloomberg
[ Andreas Kluth is a columnist and James Gibney is an editor of Bloomberg Opinion .]
U.S President Donald Trumpは、多くの制度、慣行や規範を壊したり混乱させている。そしてなにが重要であるか、ないのかを追跡することが難しい。単なる興行的混沌(“chaos”)なのか?(TVリアリティー番組でビッグな演出する名士にふさわしく)或いは、それらは歴史的な破壊になるのか?多くの事柄は、それらは後者になることを暗示している。というのもTrump大統領は、一つの大きな思想/知識(“an idea”): それは、”the West”である、を埋葬する道を順調に進んでいる。(訳者注:the Westは、西洋、西側等に訳せるが、以降the Westのままとします。)
“Global South” 同様に、”the West” は, 本来地理上の概念ではなくて、欧州 や 北米の主要部は、アジアとそのほかの地域に対して、反対側との意味合いを持っている。”the West” は、代わって言えば、ドイツの歴史学者 Heinrich August Winkler が定義しているように、一つの規範的な企画 ― 進化していて漠然としている何か、しかしそれにもかかわらず、首尾一貫している価値体系の束である。Trump と彼の活動は、これら価値体系を、明白ではないが分かち合っていず、米国が過去80年にわたり引っ張ってきた欧州諸国に浸透しつつある。この実現は下剤となりうる。
Christoph Heusgen を取り上げてみよう。彼はドイツの外交官で私は、彼が Angela Merkel 前首相の時のNational security adviser であったとき知り合ったのだが、彼は先月、Munich Security Conferenceの会長となっていて、退職することになっているが、会議の終わりに「我々は、共通の価値基盤はもはや共通のものではなくなることを恐れねばならない。」と述べた。その数分後に彼は泣き崩れてステージを後にし、そして聴衆で涙を流さなかった人は誰もいなかった。Heusgenは、Trump’s vice president, J.D. Vanceのもう一つの演説に反応していた。Dachau concentration camp* を訪問した翌日、彼はMunich(ミュンヘン)の聴衆に熱弁をふるった。(* 訳者注、1933年にナチスが設置した強制収容所でドイツ南部Munichの郊外にあった。1945年4月米軍に開放されるまで、188,000人超が収容された。)
即ち、ヨーロッパはロシアや中国について、あまり心配すべきではない。恐れるべきは「内なる脅威」(“threat from within”)である、と。そしてその脅威とは何か?
それは明らかに反民主主義や選挙(ロシアの偽情報によって堕落したルーマニアの選挙のように)の中止で明らかになった、目覚めたように勃発した検閲、そしてAlternative for Germany (AfD) (訳者:「ドイツの選択肢」と訳されている。)のような抑圧する運動(動き)。AfDについてドイツの諜報機関はneo-Naziの傾向ありとして監視しているが、それにもかかわらず、AfDは、国会、メディアや社会や他の団体が有しているのと同様の権利を有している。その聴衆の多くの欧州人と少なからずいた米国人は、Trumpの助手たるVance副大統領―彼は2020年の米国大統領選挙時の投票数が盗まれたという大嘘を信じている―が今回の昨年行われた大統領選挙の正しさ、誠実さについての演説について、その厚かましさに口を大きく開けて驚いていた。
ドイツ人達にとっては、特にホロコースト(Holocaust)やDachauのような収容所の悲惨な出来事から彼らが引き出し、教訓にしているメッセージに対するVanceの歪曲を信ずることが出来ない。それらは、決して、再びあってはならないと。
ドイツ人にとって、その忠告は以下のことを意味している。
*虚言は、反対する人がいなくても、存在することを決して再び許してはならない。
*最高得票者の専制政治は決して再び少数者や個人の権利を粉砕してはならない。
*人間の尊厳は、不可侵で犯すべからずである。たとえその人が自国人であろうと移民であろうと。その人が、集団の人であろうと、集団外のひとであろうと。
しかし、今はTrumpの政権である。Russiaのプロパガンダを中継放送してAfDのような極右(“far-right”)政治活動を広め、Dachauでの写真でポーズを取りつつ歴史の教訓を弾き飛ばしている。何故にドイツ人がこの新しくWhite Houseから出てきた皮肉/冷笑にショックを受けているか? 理由がある。
このことには私にも共鳴するものがある。 というのは、ドイツと米国の二重国籍人として、私は今まで両国文化の境界で過ごしてきた。Holocaustの後、West Germansは善良なるEuropeansとなり民主主義者となった。しかし、彼らは、米国の保護監督と防衛の下でそのようになった。彼らは西洋価値観(“Western” values) を彼らの征服者から転じた解放者:米国人(“the Americans”)から学んだ。
歴史家 Winklerに戻ろう。私の本棚は西欧の歴史、価値観、現代の危機に関する彼の作品集の重さで、呻き声をあげている。しかし、彼の最高傑作は、何故にドイツ人が、ドイツは”West”の一部になったのか、ならなかったのかを把握するのに、そんなに長くかかったのか、という研究である。彼らドイツが、1848年から1945年まで、良くない方向へ変わったときは、結果は専制政治、全体主義、二つの世界大戦、そして多くのHolocaustであった。彼らドイツは、結果的に”the West”に合流した時、板すだれの間より、Washington(と同じ様にElvisやMarlboro Man)を注視して、歴史はより一層明るいものになった。
では、”the West” とは、何と呼ばれているのか? その哲学的根源の種は、Athens and Rome で蒔かれた。
そして、発芽、成長したのは中世の”Occident”(西洋)[“Middle East” における “Orient” と異なって] であった。より明確には、the Catholic の領域/国、そして、その後にキリスト教の Protestant (Orthodoxに対比して) の土地、領域、国であった。その形成、成熟は、啓蒙運動 (“Enlightenment”)— アメリカとフランスの革命を生んだ — 個人の自由、合理性、良識、自己決定の強調を啓蒙運動は旨とした。
それ以来、200年経過している中で、the West は、民主主義、法の支配、人間の権利、寛容と憲法主義に立脚して進化、発展して来た。それは常々、自身の悪、即ち、奴隷制度から植民地主義や権威主義までと対峙し打ち破らねばならなかった。各々の時代で、それは上手く行っていた。少なくとも、今までのところは。
The West は、第二次大戦における、Nazism and Fascism を打倒した後でのみ、地政学的概念(“geopolitical concept”) となった。その最初の公式的な組織/機構は”NATO” であった。それは当初は、Europeにおける Americans のために設立された。そこでは、Russiansは “out”で, Germansは “down” であった。そして、その他は、今日European Unionとなっている組織に含まれた。
多くの国々は、自分たちもthe Westの機関の一つなので、この組織に入りたいと望む。ウクライナ人はEuroの場において、2013-2014年にEU入りとMoscowから去りたいと望んだ。そのMoscowは、北京が台湾の人々に行い、Pyongyangが韓国人に行っているような権威主義を標榜し”East”を代表している。
従って、non-American West (非米国の欧州) における、認識されている不協和音は、以下のようなものである。U.S.の政府高官が直接、Saudi Arabia にてRussiaの高官と協議する— Ukraineの運命、それにWashington and Moscowの全面的緊張緩和について。— さらに次のようなことまで。
米ロ協議に招待されなかった the Europeansは、これらTrump尊敬者達がEuropeansを置き去りにすると見越して、別個に、平和を実現するために、Parisに集まった。
また、Trumpの脅迫— CanadaやDenmarkへの、他方、優しい言葉を彼のMoscowやBeijingにいる相手方にかけていることを、Europeansはいつも注視していて、不安に陥っている。
歴史において最も強力な国のリーダーたるTrumpは、the West の米国と世界の両方に値する価値を理解している、ということは、この度は何も暗示していない。さらにthe West は運命つけられている、ということは、重要ではない。しかし、それは、Ukrainians and Europeans にとっては、よくない前兆である。—より多くの自由と正当性を持つ世界を切望している、いかなる人々、いかなるところにとっても。 [完]
(訳:芋森)