【コラム】ひとりごと--大阪市廃止・分解構想が、いよいよ住民投票へ
○3月17日大阪府議会は、大阪市を解体し、特別区を設置する協定書を、維新の会・公明党の賛成によって可決した。これにより、大阪市解体の是非を問う住民投票が、5月17日に行われることがほぼ確定した。○協定書案は、昨年10月の府議会でも大阪市会でも、維新以外の反対多数で否決されたものと、ほとんど同じ内容である。何とも理解しがたい事態だ。○公明党・創価学会が、政府与党内の圧力に屈し、地方で議論しつくした問題を蒸し返し、中央の見解を地方に押し付けるという「中央集権」型政治を強行した結果であり、この政党・宗教団体が、地方分権や地方自治の発展に何の価値も見出せない犯罪的行為を行ったことは、記憶にとどめる必要がある。○また、マスコミは相次いで「大阪都構想」について世論調査を実施している。2月上旬に朝日新聞が行った世論調査では、反対44%、賛成35%で、橋下市長の説明については、66%が不十分と回答している。また、毎日新聞が3月中旬に行った調査では、賛成43.1%。反対41.2%で、賛成がやや上回ったものの、賛否は拮抗していると伝えた。この調査でも、橋下市長の説明は十分か、との質問には、70.1%が不十分と回答。○ここから見えてくるのは、協定書の説明が、まだまだ大阪市民に理解されていないという現実であり、解体のデメリットの宣伝は、これからも一層強めていく必要があるということであろう。○さらに、橋下人気に乗っかる維新支持の傾向は、根強いということだろう。○毎日新聞調査では、大阪市議選挙で投票先についての質問事項があり、維新の会36.2%。自民党16.0%、共産党7.7%、公明党7.6%、民主党3.6%という数字が出ている。昨年12月の衆議院選挙の大阪市内の得票率は、維新33.16%、自民党23.1%、公明党18.36%、共産党14.05%、民主党6.55%であった。(民主党本部は、維新の党を反自民勢力と規定し、大阪市内に候補者を立てないという誤りを犯した結果でもあるが)○4年前の統一地方選挙では、大阪府議・市議選では維新旋風が吹き荒れたわけだが、相次ぐ民間校長、区長の辞任、果ては橋下のお友達教育長のパワハラ問題での辞任など、独善的強権的姿勢への賛否は厳しくなっており、「維新旋風」は、台風並みから強風に落ちてはいると思われる。しかし、油断はできないということだ。もっとも先の世論調査結果に焦っているのは橋下自身ではないか、と私は考えるが。○統一地方選挙で、まずは維新候補を減らし、維新の気勢を削ぐことが重要であろう。○自民・民主・公明・共産の4党は、「大阪市解体はNO!」という共通のキャッチコピーを候補者・政党ビラに使用し、統一地方選挙を、「住民投票」の前哨戦として戦うとしている。また、連合大阪は、民主党候補の出ない大阪市内選挙区では自民党候補を支持すること決定したという。○前述の世論調査から見えてくるのは、大阪市解体派自身が、その構想のメリットを「二重行政」解消程度しか説明できていないという彼らの弱点が明らかになったということだろう。「大阪市を解体すれば、大阪が発展する」というのは、橋下が強弁しているから、橋下支持層には受け入れられているのであって、大阪市解体・特別区設置による新たな財政負担の問題、大阪市民の税金が大阪府に吸い上げられ、自分たちで使途を決められないという事実、「大阪市を解体すれば、大阪がよくなる」のではなく、財源は大阪府に取られ、特別区は、財源も自由にならず、都市計画決定も大阪府に取られ、市町村以下の「自治体」になるという現実をしっかりと宣伝・説明することが求められている。○今回の住民投票は、法的拘束力があり、賛成が1票でも上回ると、大阪市解体が決まることになる。4月5月大阪は、もっと燃えなければならない。(2015-03-22佐野)
【出典】 アサート No.448 2015年3月28日