【日々雑感】少しの光明を見る思い
遅ればせながら、新年のご挨拶をさせていただきます。本年もよろしくお願い致します。
元旦の朝3時頃、タバコを吸いに表玄関を出てみると、荷台に山ほど新聞を積んだバイクが危なっかしそうな状態で通り過ぎました。後で知人の配達員さんから聞いた話によると元旦は、チラシ・折込が多いから普段の3倍位の量になるので、毎年のことながら3回に分けて店を往復して配るとのこと。
そんなに苦労して配らせている元旦号だから、おそらく新聞各社共に、熱の入った記事を載せているだろうと期待をして読みました。私の読んだのは、毎日新聞ですが、その添付された正月特集の記事に感心しました。内容を長々と書くわけにはいかないですが、色々良い記事が載っている中で、エネルギー問題が大切だという観点から、二つ三つ紹介させていただきます。
一つは、清水建設が提唱する「ルナリング」構想で、巨大な太陽光発電所を月に建設するもので、同社技術研究所の金森洋史宇宙・ロボットグループリーダーは「発電所に必要な個々の原理は、すでに実証されている」と、自信をみせているそうです。
「電力不足問題に萎縮しないで、大きな夢を描こう」と金森氏は呼びかけています。
もう一つは、ジェット気流で風力発電というもので、浮かせた風車とジェット気流で発電し、地上に電力を届ける、こんなユニークな発電について研究しているのは、東京農工大学の長坂研准教授(電気電子工学専攻)です。熱い赤道から冷たい北極に流れ込む空気と地球の自転により生まれるジェット気流は、日本列島がある北緯30度あたりで絶え間なくk西から東へ流れている。ジェット気流の端にあたる標高300mあたりでも毎秒30m程度の風がある。風船型風車はこの風を活用し、空中で発電する計画だ。地上とはワイヤなどで接続し送電する。土地がほとんどいらず、設置コストも格段に安いのが売りだ。かつて航空会社の事務員だった長坂准教授は「地下資源の少ない日本にも、空には豊富な天然資源が吹いています。」と話す。頭の中には、風船型風車がそこに浮かんでいる未来の世界が見えているという長坂准教授の写真入りの記事です。
さらにもう一つは、水と二酸化炭素から「人工光合成」というもので、トヨタグループの豊田中央研究所(愛知県長久手町)が、植物と同様に水とCO2だけの原料で人工光合成に成功、世界初の快挙を成し遂げたとのこと。同研究所は、石油の代替資源を探している中で「自動車が排出しているCO2を資源にできれば一石二鳥だ」とひらめき、約5年前から人工光合成の研究に着手、10人弱の研究チームで実験に取り組み、試行錯誤の末、特殊な触媒を活用することで、水と水素と酸素に分解して電子を抽出する反応と、その電子をCO2とくっつける反応を同時に起こすことに成功。「ギ酸」という有機物をつくり出すことに成功したというものです。
この技術の応用で世界のエネルギー問題は解決に向けて大きく前進する。将来的にはアルコールなど、より付加価値の高い有機物をつくり出せる可能性もある。梶野勉主席研究員は「『温暖化の元凶』と悪者にされているCO2が資源になれば、将来の有機物を使った循環社会という理想の社会に近づくことができる」と夢を膨らませる、という記事でした。 私は思います。東は東京電力という電力資本の横暴、西は橋下のハシズムと揶揄される、芽のうちに摘み取らなければならないファシズム的な動きが危惧される、うっといしい日が続く一方で、科学技術の分野でこんなに努力されている人々もいるのだなあと。少し光明を見る思いです。(2012-01-19 早瀬達吉)
【出典】 アサート No.410 2012年1月28日