【討論】総選挙結果について意見交換会(その2)

【討論】総選挙結果について意見交換会(その2)
               → 総選挙結果について意見交換会(その1)

<公務員政策はどうなるか>
E)国家公務員を2割カットという方向もでているけれど。
F)人員カットとセットでしょ。国と地方の二重行政の問題もある。ただし、賃下げ圧力は強まると思いますよ。
B)行政コスト削減・公務員の賃下げは、受けるんですよ。特に選挙になるとね。
C)先進国では一番公務員の数が少ないということも指摘されているし、教育費についても、少ないと言われているわけやね。
D)内需拡大の議論の中では、公務員の賃下げは全く逆効果になるんだ。大阪府は10%カットしているけれど、その逆の経済効果はかなり大きい。人勧制度では民間よりやや低めに設定されているわけで、自治体周辺の労働者、中小企業労働者への悪影響は大きいわけですね。
B)小泉も郵政選挙の時には、公務員攻撃が中心でしたね。大阪では同じ事を橋下知事が調子に乗ってはしゃいでますが。
E)現場では実感しますね。
F)もう少し意識改革しろよ、という奴もたくさんいますよ。悲しいかなね。
F)大阪市職員の「厚遇」問題・組合活動への批判を強めて、自民党の国会議員が大阪に調査にきたことがありましたね。民主党の実働部隊の労働組合を叩けという明確な意図がありましたね。それで一層公務員攻撃が強まった。一方、民主党政権になったけれども違った意味で緊張関係は残ると思いますね。官僚依存を批判してきたわけで、公と民の違った観点からの問題提起は出てくると思います。
B)民主党も地方分権を言ってますね。しかし、まだ国の行革の一環のような流れの中にある、従来型の地方分権論の域を出ていないという印象ですね。本来、地域づくりを市民と同じテーブルで議論していく、財源も含めて地域主権ということを考えているのかどうか。神野先生も、まだ上からの分権改革ではないか、と指摘されているわけですね。

<直接保障という手法について>
D)小泉は公約どおり「自民党をブッ潰した」わけですね。旧来の自民支持層であった農協や医療関係も離れた。そこを民主が取り込んだ。しかし、持続的な民主の支持層を獲得しようとする場合、それはどこに依拠しようとしているのでしょうね。
A)民主党は、今回子ども手当とか農家の戸別保障というのを言ってますね。旧来の自民党と違うのは、農協のボスにバラ撒いて仕切らせる。小泉はそれを止めた。戸別保障は農協を飛ばして、直接農家に支給しようというわけですね。ボスの中抜きをさせないでね。子ども手当も同様ではないでしょうか。労働政策分野ではまだ見えていませんが、農業分野ではそういう事ではないか。地方議会でも国の配分を自民党議員が仕切る、という構造があったのではないか。直接、市民に繋げる、という手法を取ろうとしているのではないですか。
E)まだまだ地方の民主党は足腰が弱いわけですね。特に町会や自治会というのは、地域のまとめ役的に旧来の構造が出来上がっており、補助金などもある。そこへ新しい住民が増えて、配分に対する不満も出てきている。この構造はまだまだ保守に結びつきやすく、民主がそのにどう切り込むか、というのは課題だと思いますが。市民型の自治体運営をどう実現するかということですね。
F)派遣労働への対応、農家の戸別保障問題、後期高齢者医療と各階層に矛盾が蓄積していた。その解決は民主党に委ねようというのが国民の選択だった。それに対して最初はばら撒き的な政策で繋いだとしても、旧来の構造の変革を展望しないと、また「自民党的」なものの民主党版が出てきてしまう。
B)子ども手当ですが、少子化対策が目的ですから、地方主権の立場から言えば、地方に少子化対策交付金を出して、待機児童対策や学校耐震化など各地方で有効なものを選択して実施するという方がいいと思います。

<公明党の今後は?>
F)公明は選挙協力に熱心でなかったんだね。
E)比例はお願いするが、小選挙区は手を抜いていたよ。
A)小選挙区は自民党、比例は公明党、あるいはその逆という形は徹底できる状況ではなかったようで、自公の大敗の原因はそこにもあったと思います。
F)ある選挙区を取るとね、公明の比例票の2倍を公明個人候補が取っている。それでも負けているんですが。公明は小選挙区制の下では、選挙協力がなければ当選できない。だから自公連立にこだわったわけです。それが、今回破綻して、大敗北となった。これで連立解消でしょう。参議院でも厳しいですよ。
A)政策的親和性から言うと、民主と公明はかなり重なるわけです。朝日新聞にも出てましたが。
B)本来、公明は右ではないわけです。福祉と平和が原点のはずなんですから。地方参政権の議論なども前向きですから。
D)公明も路線転換せざるを得ないでしょう。
C)路線転換で、自公連合解消となると、来年の参議院選挙は、自民党が一層厳しい立場になる。
F)自民党は、参議院選挙で惨憺たる結果になる可能性があると思います。野合はだめだけれど、利用する価値はあると思うね。

<終盤のネガティブキャンペーン>
A)今回の自民党ですが、選挙の出だしは政策で決めてくれ、と主張していたわけです。後半になったら、怪文書みたいなビラで「日教組に操られている」とか「民主党の正体」みたいな内容なんですね。証紙張ったビラですよ。昔、「共産党が当選したら土地を取り上げられる」みたいなビラを見たことがありますが、ひどい内容でした。ネットでもね。
D)政策選挙という割には、民主党のマニフェスト批判ばかりだった。
A)自民党の終盤のビラを見ていると、保守党の再生なんてないですよ。喜んでいるのはネット右翼だけですからね。今まで利益配分で維持していただけで、イデオロギーなんて付け足しだった。自主憲法制定も看板だけですよ。東西冷戦もなくなった、下野して経済の配分もできない。それでは何に依拠するのか。ひょっとしたらイデオロギー政党になる可能性もあります。
C)自民党の改憲派は、バタバタと落選しているんだ。民主党の改憲派は増えているけれどね。
E)世代交代という側面もあったね。自民党は若いのが落ちて、年寄りが復活するという逆世代交代だった。象徴的でしたね。
A)賞味期限の切れた首相経験者が通っても、しょうがないからね。

<ベーシックインカム論>
D)自民党に対する積極的否定の構造があったという議論なんです。A君が指摘した市民への直接補助という手法の問題です。やはり、低所得層が圧倒的に増えているという現実がある。高額所得を望んでいるわけではなく、ごく普通の安定的な生活や雇用を求めているわけです。高度経済成長を再び、とは思っていない。ワークシェアだとか再配分をどうするのか。まだ、明確なコンセンサスにはなっていませんし、まだまだ矛盾もたくさんある。民主党がどうリーダーシップを取れるかということでしょうか。小泉のようなヒーロー型ではない方法でね。
E)湯浅さんは、最低収入保障額を示せと言ってますね。
C)ベーシックインカム論だね。
F)私も興味を持っています。国民全員に10万円を保障すると。高い所得の人からは、税金で引きますということですね。社会保障のシステムが非常にシンプルになると同時に、低賃金の方へのインセンティブが働く。今の生活保護の最低生活費構造では、働いてがんばると保護が廃止になる。ケースワークという仕事も大変。しかし、ベーシックインカムだと非常にシンプルで、就労意欲ももっと喚起できる。
E)子ども・若者の問題は深刻ですよ。親が公務員の場合でも、子どもがフリーターなんてたくさんいます。
D)ハローワークでも高卒の場合、非正規しか職がないんですよ。
F)これだけ非正規労働者が増えると、自民党も民主党も企業ぐるみ選挙ができないわけですね。自民党も次の選挙を考えると、金儲け主義の経営者の方ばかり向いていたこれまでの政策を転換しないといかんわ。
D)その点では、連合と民主党との関係ですね。関係は薄くなってきていますね
A)だから、日教組を叩こうと、自治労を攻撃しようと、選挙に影響はなかったわけです。
D)それでも民主党が勝ったというのは、選挙が市民型になってきているという事だよ。
F)組織票が薄くなって、票が右に左に移動する傾向が強くなっているんですね。だから、明確なマニフェストの民主党の方がわかりやすかった。
C)昨日出た週刊金曜日は、今回の結果は破壊的衝動の結果であると書いていたね。
雨宮さんて言う人も、自民党と民主党が入れ替わっただけで、何も変わっていないというんだね。こういう評価がそれなりに存在している。新しい保守政権ができただけということ。
A)確かにドイツのように社民党があって、キリスト教民主同盟があってという場合ははっきりしている。イギリスも労働党と保守党がある。それ程の対立点はないにしても、アメリカに近い感じでは違いはあると思います。

<共産党の評価について>
F)時間も少なくなってきたので、共産党の評価はどうでしょうか。
D)社民・共産応援団の僕としては発言させてください。もう少し共産党は伸びると思っていました。確かな野党という言い方をしていました。健全な野党の仕事をします、というのは評価できる。さらに、全選挙区での擁立をしなかったこと。結果民主党に流れたと思います。社民党に流れるかなとも思いましたがそうではなかった。僕らは「よりまし政府」という形態を評価してきたわけで、これは評価したい。統一戦線的要素があったにも関わらず伸びなかった。
A)落ち込みを止めたという意味ではないですか。
C)票は前回より伸ばしたけれど、得票率では減少しましたね。
D)思ったより伸びなかったのが残念です。
A)都議選後のシュミレーションでは、もっと落ち込むという分析だったと思います。
C)共産党は最初から建設的野党といっており、政権交代は歓迎するという姿勢だった。
ただ、それなら反自公ということで、すべての政党に共同政策を提案するという事が必要ではないのか。

<鳩山論文の反響と評価>
C)鳩山論文について、アメリカが神経質な反論をしている。どんな内容かなと読んでみたけれど、中々いい内容です。要旨を紹介しましょう。「冷戦後の日本はアメリカ発のグローバリズムと言う名の市場原理主義に翻弄されて続けてきた。道義と節度を喪失した市場原理主義・金融資本主義に如何にして歯止めをかけるか、国民経済と国民生活を守っていくか、それがわれわれに突きつけられている。」「今回の世界経済危機は、冷戦終了後、アメリカが推し進めてきた金融資本主義・市場原理主義によってもたらされたものである。」とはっきり言っている。これにアメリカが反論しているわけです。
「友愛というもうひとつの国家目標は、東アジア共同体の創造であろう。日米安保体制は日本外交の基軸であり続ける。しかし、同時にわれわれはアジアに位置する国家のアイデンティイを忘れてはならない。世界はアメリカ一極支配の時代から多極化に進むであろう。覇権国家であり続けるアメリカと覇権国家たらんとする中国の間の狭間で、国際協力の構築をめざすことが必要である。そのためには各国の過剰なナショナリズムを克服し、国際協力と安全保障のルールを創り上げるべきであり、それが東アジア共同体の道であろう。」
 これにアメリカは過剰反応をした。日本は離れていくのではないか、という事だろう。
E)アメリカと対等だ、という主張は、アメリカにとって脅威と映るのだろうか。
C)現在は、すこし修正にかかっているけれどね。
D)アメリカ側の日本理解も不十分なところがあって、一面だけでの過剰反応だろうね。ただ、この間の鳩山・オバマの電話会談の内容が気になりますね。就任前ということで、誰も聞いていないし、内容も公表されていないから。
E)ブッシュよりはましでしょう。
B)ブッシュ・小泉の時代に、アメリカから年次改革要望みたいなものがありましたね。金融や保険業などについて、開放要求がこれまでありましたが、それはどうなるのかな。
C)あれは正に金融資本の対日要求ですね。郵政民営化もそうだった。今回、新政権はそれを止めようとしている。オバマ政権も経済の復活を金融資本に頼っている側面もあるわけだしね。

<小沢・鳩山の献金問題>
D)ギリギリまで心配していたのが、謀略や政略の類ですね。誰かが逮捕されるとかね。それはなかったわけです。そこでアメリカとの関係で、戦後の松川事件や、近くはロッキード事件の田中角栄逮捕も起こったという説もあるわけです。民主党の鳩山や小沢が脛のに傷がないわけでもないわけで。
C)実は検察は、小沢関連をしつこく調べているらしい。後、鳩山については起訴にもっていく方針のようです。
D)小沢の件は、政治資金規正法で言えば、記載漏れに近い問題で、略式起訴か罰金で済む話ではなかったのか。秘書逮捕までいきましたからね。
C)改めて小沢関係は下請けまで調べているようです。検察の面子もあるでしょうし。

<アジアと鳩山政権>
E)中国との関係はどうなるのだろう。
D)アジア諸国の首脳は、一様に歓迎ということですね。
C)東アジア共同体構想の前に、鳩山はアジア共同体というのを言っている。それを中国は支持していた。中国も鳩山を歓迎している。
E)靖国に参拝しない、国立の慰霊施設構想も出しているしね。
F)麻生も靖国にはいかなかったね。
A)彼はクリスチャンですからね。サミットでローマ法王と会えてうれしかったと言ってますよ。

<オバマとアフガン問題>
F)次は、アフガン問題ですね。
A)アメリカは、アフガンに自衛隊はいらないと言ってますけれど。
C)前原は、昨日のNHK番組で「アメリカからいろいろ言われても私達は独自に判断します。違った貢献があります。」と発言している。軍事とは違う方法の事だろう。
 前原が属していた日米文化交流協会という軍事産業の関係団体があった。事務局長が逮捕されたね。会長が久間だった。歴代防衛庁長官が名前を連ねていた。前原だけ入っていた。ところが全員今回の選挙で落選してしまった。前原からも事件のあと辞任していて、軍需産業の請負団体がその体をなさなくなった。前原も路線転換を余儀なくされている。
E)オバマは、アフガンへの介入を続けるのだろうか。
A)イラクの場合は実は根拠がなかった。大量破壊兵器ね。9・11もあり、実行犯のアルカイダをタリバンが囲っていた、という根拠もある。テロとの戦いという根拠はアメリカには残っている。
D)まだネオコン構造は強固に存在しているんじゃないのか。
A)オバマはF22の製造を止めましたね。アメリカの軍需産業にとっては決定的な事だと思います。政府として調達を中止した。
F)グリーンニューディール政策とかね、軍事産業依存から変化が出ているわけね。
A)あと、核軍縮をやれば決定的になりますね。

<民主党政権下で何をめざすか>
F)いよいよ民主党政権が始まりますが、その間に何を創りだすかですね。労働組合も既得権維持団体から、もっと大きな構想を持つ必要がある。どうチェンジできるか。
D)それは大きい問題です。A君が言った市民に直接繋がる民主党の政策には同感です。ただ、日本の労働運動を考えた場合、企業別・大企業中心の連合運動が一応、政権与党の立場にいる。しかし、圧倒的多数は非正規雇用なわけですね。これを吸収しないとダメですね。連合はある場面では政権を敵に回す覚悟がいるわけですね。同一労働同一賃金・ワークシェアリングも連合はまだ本気じゃない。非正規労働者の組織化を考えれば、まだまだ「保守的」なんですね。まだまだ贖罪的取り組みで本流になっていない。労働運動が後退して民主党が伸びるということが本当にいいのか。
E)旧来型労働運動の腐った部分もある。保守的な構造もある。そこを変えないとだめ。へたをすると反動勢力になる危険性もある。
C)田中康夫は、同じ主張で労働組合を攻撃していたね。それでも当選するわけでしょ。
労働組合官僚主義反対とね。
E)それは言いすぎだけれど、そういう面もある。
F)連合の構造で言えば、旧同盟系は小沢と繋がっている。また、派遣労働法案の時も連合は企業寄りの消極的な傾向だった。
D)今、ある意味でかきいれ時なんですよ。ユニオンも個別対応型で限界がある。民主党が市民と直接繋がる方向であるとすると、労働組合もさらに裾野を広げる取り組みをする必要があると思います。
E)企業内だけじゃなく市民との繋がりということですか。新しい運動形態を考える必要がある。大きな力・資源もあるわけだからね。
D)公務員労働者を入れても組織率20%を切っている。連合に期待することは大事だけれど、かなり限界という気がしますね。ユニオンの裾野をどう広げるか。湯浅さんのやっている方向はかなり参考になると思います。
E)連合のNPOとか、ユニオンとも湯浅さんところとも連携はしてますよ。
D)反貧困ネットは、共産党系とも連合とも等距離外交のスタンスですね。
A)田中康夫も新党日本ですが、ベーシックインカムを言ってるわけです。最低所得保障ですね。これをやったら、じかに政権と労働者が結ばれるわけですね。実現できるかどうかわからないけれど。

<少子化対策について>
B)あくまでも政権交代も手段なんで、どんな国家戦略を立てるか、なんです。もう人口増はないわけです。人口減少を前提に、どんな社会をつくるのかが問われている。
D)本当に少子化を止めなければいけないのか。
E)少子化は社会の問題と捉えるべきです。女性の地位や賃金が高い国では少子化は止まっているわけですね。高度経済成長や人口増加をめざす必要はない。制度を変えることによって、維持できると思います。
B)経済成長のための少子化対策ではなく、多様性を実現するための政策は必要です。
D)社会の問題としての少子化問題はある。ただ、ある程度成熟した社会になると人口増は抑制されてくる。今言われている少子化問題では、このままで減少が続くと労働力不足になるという議論ですね。僕は完全雇用が達成されていいじゃないかと思うわけです。しかし、経営側は違う。競争原理が働かないと困ると思ってるわけで、そこは区別する必要がある。
A)選挙中に麻生が金がないなら結婚するな、と言いましたが、わかりやすく自民党の政策を表現してくれました。(終) 

 【出典】 アサート No.383 2009年10月24日

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