【投稿】不透明な「拉致問題解決」へ

【投稿】不透明な「拉致問題解決」へ

6月13日、日本政府は、前日まで北京で開催されていた日朝公式協議において、北朝鮮が①日本人拉致事件について再調査を行うこと、②「よど号ハイジャック犯」の引き渡しに協力することを表明したと報じた。また、それに伴い経済制裁の一部を解除することも併せて明らかにした。
これを待っていたかのように、アメリカのライス国務長官は18日、シンクタンクで講演し、まもなく北朝鮮が中国に対して、核計画に関する申告書を提出する見通しである、として、それを受け、テロ支援国家指定解除と対敵国通商法による経済制裁解除を、議会に通告する意向を明らかにした。
日本政府は「拉致問題解決なしの核問題解決」という「煮え湯を」飲まないため、「拉致問題解決」を取り繕うのに必死となっている。これまでも何をもって拉致問題の解決とするのかは、政府与党、運動体の間でも曖昧だったが、今回は皮肉にもそれが功を奏した形となった。「拉致被害者の全員帰国」を解決としていたなら、今頃は完全に立ち往生しているところである。
政府は、「進展」「前進」という言葉を使い分け、自らハードルをどんどん下げながら、テロ支援指定国家解除の効力が発生する議会通告後45日前後に発表されると予想される、北朝鮮の拉致再調査結果をもって事実上の「解決」とせざるを得なくなっている。
これは、日本政府、とりわけ小泉、安倍政権が拉致事件を政治利用し、拳を振り上げ駆けのぼったところが、アメリカに梯子を外されてしまった、ということである。したがって小泉、安倍の尻拭いをしているつもりの福田としては、多少の無理は我慢しろ、ということなのだろう。
しかし、このような動きは、拉致被害者家族はもとより、安倍晋三ら拉致問題強硬派には我慢ならないことであり、「福田応援団」の山崎拓らの動きを激しく批判している。
この前総理と元副総裁の場外乱闘は、政府・与党内の混乱に拍車をかけている。当初は再調査着手をもって経済制裁の一部解除方針を示していた外務省も、高村大臣が22日テレビで「再調査は日本による検証が必要」とのべ、次回日朝協議で北朝鮮が日本の関与に合意して初めて、制裁の一部解除に応じると軌道修正した。
また斎木アジア大洋州局長も19日、ヒル国務次官補と会談し、拉致問題が進展しない限り、テロ支援国家指定を解除しないよう求めた。
しかし、現在の日米両政府のスタンスでは、これらは時間稼ぎ、アリバイづくりにしかならいだろう。核廃棄という第3段階にいたる、「平壌の45日」の幕は間もなくあけるが、日本は脇役でしかないのである。(大阪O)

【出典】 アサート No.367 2008年6月28日

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