【投稿】「東京都を女たちが変える!キャンペーン(3/3)」に参加して

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「東京都に今何がおこっているか?」を分析・討論する集まりが行われた(シリーズで第2回目)。石原都政が2期目に入って、福祉や医療の現場ではどんな変化が起こっているのか、下記の4つの視点から分析し、ともに考える企画であった。

1)「石原都政の進める新公共経営とは」–新自由主義「石原」なるもの–
2)都政はどう変わったのか(1)  –福祉の分野から–
3)都政はどう変わったのか(2)  –医療の分野から–
4)石原知事の政治手法  「ファムポリティク」編集者から

<このままじゃ大変>
平成15年4月、石原知事が308万票を獲得し、2期目の当選を果たしてから、東京は強権かつ非民主的な政治の発信地になった。都立七生養護学校(日野市)の「性教育」否定と教員処分(*1)、国旗・国歌の強制と教員の大量処分、歴史教科書をつくる会の教科書採択問題、「ジェンダーフリーという用語の不使用決定と男女混合名簿の禁止」(*2)、都立4大学の一方的な統合、都立病院の統廃合(*3)、男女特性論の明記と「東京ウイメンズプラザ」を男女平等政策の拠点と明記しない条例の策定など男女平等政策の後退が起こっている。

<東京都の先駆的役割を否定・放棄>
これまで、教育・福祉・人権の各分野で東京都が先進的に制度を作るなどフロントランナーとして果たしてきた役割は完全に否定・放棄されている。
都知事の女性蔑視発言(*4)が撤回されないまま、続々と政治家たちの差別発言が続き、石原知事の障害者、外国人に対する差別発言をみると、この人には他人を思いやる心や想像力はなく、人は皆平等で「教育を受ける機会を社会が均等に提供すべき」などという近代社会のリベラル思想が皆無であると思える。
また公務員である知事たるものは、本来憲法を守る義務がある。ところが知事は雑誌やTVで「自分は憲法を認めない」とくり返して言っている。直近の教育審議会委員の選任では、経済同友会出身者(高坂氏:憲法改正論者)始め経済団体関係者を3人(委員6人中)選任したという事態になっている。

<都議選や知事選挙にむけて>
3/3集会主催者は「今年は都議会議員選挙がある。石原都知事と同じ路線で、都政をとんでもない方向に引っ張っている都議会議員を再び都議会に送り出す訳にはいかない。都議選は状況を変えるチャンスであり、石原都政がますます勢いづくような状況にストップをかけたい。」と具体的な目標を提起している。
彼女達は「憲法や教育基本法を生かし、男女平等を進め、子どもからお年よりまで安心して暮らせるよう」東京都を変えたいという思いを行動につなげて、あと2年半となった都知事選を射程距離に入れている。
市民運働や女性運動団体、環境や反核平和勢力、労働組合は、東京のこの反動的な流れを変えるために分散している力を結集しなければならないと思う。(東京E,T)

注1  七生養護学校で取り組んできた「こころとからだの教育」に対し教員を処分:知的障害や自閉症の子はきちんとした知識がないとレイプされて妊娠し、しかもそれに気づかないような悲劇が後を絶たない。その子が人生を大切にする為に性教育が必要と考え現場の先生たちが工夫し進めてきた養護学校での性教育を「不適切な性教育」とし145点の教材・教具や授業記録を没収した。石原知事は「指導要項より子供の人生の方が大切とは考えないか?」との議会での質問(福士敬子市民派無所属都議会議員)に「学習指導要項にそった指導が大切、教材の人形をご覧になったことがあるか。あんなグロテスクで醜いものはない」と壇上で怒鳴っている。都教育委員会は「性教育に不等な介入」を行い他の養護学校も含めて116名の校長・教頭・教職員を「処分」した(平成15年12月)。これに対し「子供の必要な教育を受ける権利の保障を求め『人権救済』の申し立て」(児玉法律事務所)をしている。
注2  都は「ジェンダーフリーの思想は誤解を生みやすく現場を混乱させる」として不使用を決定しており、知事は、「ジェンダーフリーの思想は男女を区別せず同一視する『そういう危険な思想は考え直さなきゃね』」と本会議で答弁している。
注3  都立病院の統廃合:1999年4月第1期石原知事当選。同年、東京都監査条例が施行され、外部監査を行う。その報告(都立病院の医師数が全国自治体病院の平均より多い、看護師の給与が同平均より高い、人数が多いなど)をうけ、2000年都立病院改革会議が設置される。2001年「都立病院改革マスタープラン」が出される。そのテーマは東京発医療改革であるが、1、16あった都立病院を8の直営とその他は廃止、統廃合、公社化に再編する 2、東京ER(府中、広尾、墨東)の整備を方針として明らかにした。以後平成14年の母子保健院の廃止を皮切りに、平成16年4月大久保病院を公社化した。18年に荏原病院の公社化予定。梅が丘病院(小児精神科)と清瀬小児病院を府中キャンパスへ移転統廃合などを予定している。
注4  石原都知事は「週刊女性」01年11月6日号のインタビューで「これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典(東大大学院教授)がいってるんだけど、文明がもたらしたもっともあしき有害なものはババアなんだそうだ。女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪ですって」などと述べた。
これに対し、石原知事が雑誌のインタビューなどで女性に差別的な発言をしたことで名誉を傷つけられたとして、首都圏の女性131人が都知事を相手に慰謝料計約1400万円の支払いなどを求めた訴訟を起こた。その判決で河村吉晃裁判長(東京地裁)は都知事の発言を「個人の尊重を定めた憲法の理念と相いれない」と批判する一方、「原告個々人の名誉が傷つけられたとは言えない」として請求を退けた。
判決によると、河村裁判長は「松井教授の説には、都知事の説明とは異なり、おばあさんに対する否定的な言及はみられない」と指摘。発言について「教授の話を紹介するような形をとっているが、個人の見解の表明」としたうえで、「女性の存在価値を生殖能力の面のみに着目して評価した」「多くの女性が不愉快になったことは容易に推測される」と述べた。

<参考>  ホームページ http://womenchange-tokyo.jp

【出典】 アサート No.328 2005年3月19日

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